2019年に買った本でよかったシリーズ

突然、2019年に買った本でこれよかったシリーズ その1。

https://amzn.to/2QOlmC0

これは松井先生のBlogで知ってポチッとしました。2015年の投稿を読んで、今頃という感じですが、やはり良かったです。
松井先生も書かれていますが、「心身共に健康な時に咀嚼するのが良かろう」というぐらいの気持ちで読まないとズタズタにされますが、基本的には、普段学校で生徒を指導しているときに生徒に教えていることや自分で文章を書くときに思っていることが歯に物着せずで書かれています。

なお、本書は論理性だけでなく、冒頭から「色々言ってもどうせ分からないから、まずやらせて悪いところを直す」的なことが書かれており、実践的指導者としては肯くところも多々ありました。具体例を挙げると、面接練習などで、生徒に「もっと感情を強く言って」などと抽象的に言うケースをよく見ますが、そういっても生徒には伝わりません。私自身はそういう抽象的な言葉をできるだけ避けて、「ぜひ〜したい」「心から思います」など、「ぜひ」「心から」等の副詞をつけ、その副詞を少し大きめに声を出すように言い、それが自然とできるまで指導しています。

作文についても、普段から疑問に思っているところが、確かにそうだ!的な部分があり、参考になります。

論理的観点を考える本シリーズとしては、三森ゆりか氏の下記の本もまたオススメです。
論理的に考える力を引き出す―親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング

何度も読まないとなかなか生徒に伝える教師としての「論理性」は身につきませんが、ディベートについて指導するときなどに具体的にどのようすれば良いかという実践例「問答ゲーム」が詳しく載っており、共通テストの英語で出題が検討されている「事実と意見の違い」の指導例など参考になります。ディベートをこれから勉強したい、指導したいという人にもいいのではないでしょうか。まあ、この本にも来賓の祝辞など「5WiH」のスピーチについて、小学生が批判的に批評していた例も載っており、辛辣なダメ出しが優しい言葉で書いてあります(^^;。

この本から学び、個人的に普段から言っているのは、「〜とか」「〜など」と生徒が言ったときには、「〜とかっていうことは他は何?」と言ったり、「先生、プリント!」と言われても「プリントがどうしたの?」などと聞き返していますが、よく考えたら生徒にとってはうるさいオヤジにしかなってないかも知れんと思ってはいます(自覚あり)。

まあ、今日はそんなところです。さりゅー。

観点別評価をどうするか その2

観点別評価をどうするか その1につづき、その2です。様々な資料を探してみます。

国立教育政策研究所の資料

まず観点別評価については、以前示したこともある国立教育政策研究所の資料をみてみます。この資料は読み込むと、とてもわかりやすく書いてあることが
わかります(きっと著者がとても明晰かつ親切な人なのだろうと思いました)。
指導資料・事例集:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

情報が多々あるので、箇条書きで引用、まとめてみます。

  • 観点別評価の定義(そのまま引用)「観点別学習状況の評価とは、学習指導要領に示す目標に照らして、その実現状況がどのようなものであるかを、観点ごとに評価し、生徒の学習状況を分析的に捉えるものです
  • 3観点(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)は1回の授業ではなく、単元や題材ごとに評価する
  • 「十分満足できる」(A)と言える状況は、生徒が実現している学習の状況が質的な高まりや深まりがある状況である
  • 学習評価は、学校における教育活動に関し、生徒の学習状況を評価するもの。(1)学習成果の確認、(2)教師の指導改善、(3)生徒自身の学習の振り返りの3つに留意する
  • 「知識・技能」の評価例:ペーパーテスト「事実的な知識の習得を問う問題」「知識の概念的な理解を問う問題」をバランスよく出す。また、文章による説明、観察・実験、式やグラフでの表現など実際に知識や技能を用いる場面を設ける。
  • 「思考・判断・表現」の評価例:ペーパーテスト、論述やレポート、発表、話合い、作品制作、ポートフォリオ
  • 「主体的に学習に取り組む態度」の評価例:ノートやレポート等の記述、授業中の発言、行動観察や、生徒の自己評価や相互評価等。ただし、生徒の発達段階や個性を考慮して、「知識・技能」や「思考・判断・表現」の観点の状況を踏まえて評価する。
  • 大学入学者選抜において用いられる調査書を見直す際には,観点別学習状況の評価について記載する

最後の「主体的に学習に取り組む態度」については、以下の図より、粘り強さ(=実際の取組)と計画性(途中での調整含む)の2点から評価することが推測されます。

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主体的に学習に取り組む態度

以上が、国立教育政策研究所の資料ですが、「観点別評価をどうするか その1」で示した約80%の高校が「定期テストに加え、平常点を加味して、評価を行っている」(平成30年)という状況を考えるに、以下の改善が必要になるのではないかと思われます。

  1. ペーパーテストの改善:知識・技能を直接問う問題だけでなく、知識・技能があって解ける問題を工夫する。また、問題ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」のどちらを問うているのか明確にする。
  2. パフォーマンス評価の工夫:論述やレポート、発表、話合い、作品制作、それらをまとめたポートフォリオでの評価が必要になる。時間がかかることが予想される項目もあるので、どの単元・題材で行うのか年間計画が必要。ルーブリックと評価の手順を生徒に示すことができるように事前準備も必要。
  3. 計画・実践の評価:「主体的に学習に取り組む態度」では、粘り強さと自己調整力の2点から評価できる。私見だが、実際には単元の学習活動について具体的な学習計画を生徒が作り(何月何日に何を学ぶ等)、実際に学習計画にしたがった学習の成果やその提出等で評価可能だ。自己調整力としては、(1)個人内での調整(計画変更)、(2)他者との調整(先生や友達に支援を求める)の2点が考えられる。ちなみに粘り強さとされる「GRIT」は将来の成功の是非に非常に関わるとされる項目である。

以上が、上記の書類から読み取れることです。繰り返しますが、3観点の評価については、年間計画を定め、どの単元でどの資質・能力をどう育成し、どう評価するかという点を定める必要があります。

「観点別学習状況の評価」実施の手引き(大阪府

年間計画やシラバスについては、大阪府がまとめている文書『「観点別学習状況の評価」実施の手引き』にかなり具体的に出ているので、参考になります。実際の各教科・科目のシラバスの作成例等が載っています。平成28年のものなので、4観点で掲載されていますが、3観点で作る際にも参考になると思います(ただし、評定をどう計算するか等は載っていません)。

評定をどうするか

観点別評価を行った際に、やはり高校現場としては、評定平均等がどうなるかが気になります。検索したところ、下記の資料が参考になります。

まずはこれ。平成31年1月に出された「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」です。この本文のp.19に「観点別学習状況の評価と評定の取扱いについて」という項目があります。
www.mext.go.jp

それからこれです。
教育課程部会 高等学校部会(第4回) 配付資料:文部科学省

この「資料1-2 高等学校における学習評価に関する参考資料(2)」に以下の図表があります。

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資料1-2 高等学校における学習評価に関する参考資料(2)

これを見てみても、やはり観点別評価をもとに評定を定めることが想定されています。また、前述の国立教育政策研究所の資料にも以下の図表があります。

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国立教育政策研究所の資料

これもまた、3観点をもとに評定を出すように定めています。次回は、評定の出し方について、中学校のやり方を確認し、高校のやり方を考察してみます。
今日はこんなところです。さりゅー。

観点別評価をどうするか。その1

はじめに

観点別評価の指導要録への記載は、高校では2年後(令和3年度)入学の1年生から始まりますが、まだ不勉強なため、まとめてみます(なお、一応念のため書きますが、このブログではあくまでも個人的な見解を書いていますので、詳しくは各自お調べください)。

問題点としては、次の点が挙げられるので、このブログでは以下のことを調べていきます。

  1. 観点別評価をどのように実施していくのか。例えば、各授業か、単元ごとか、学期ごとか。
  2. 評定とどう結びつけるのか。中学校ではBBBは3となるが、調査書への影響はどうなるか。
  3. 生徒へのFeedback(通知表)と授業改善の点からはどのように考えられるか。

これに答えられれば、だいぶいいかなと思っています。

まず、本当に指導要録に記載ははじめるのでしょうか。次の文言が平成31年3月29日付の「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」の「3.指導要録の主な改善点について」の(2)に書かれています。

高等学校及び特別支援学校(視覚障害聴覚障害,肢体不自由又は病弱)高等部における「各教科・科目等の学習の記録」については,観点別学習状況の評価を充実する観点から,各教科・科目の観点別学習状況を記載することとしたこと。

なぜいま、観点別評価が話題になるかというと、指導要録に観点別評価のABCの記載が必須になるからです。「いやいや、観点別評価は以前から入っていたじゃないですか!」と言われるかもしれませんが、高校の評価や評定が目標準拠ではなく、集団準拠であることは様々なところで指摘されています。

現状分析

では、実際にはどうでしょうか。平成30年1月の報告書には、高校では「定期テストなどに加え、平常点を加味して、評価を行っている」が8割とされています(学習指導と学習評価に対する意識調査 報告書(p.28))。グラフではこんな感じです。

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観点別学習状況の評価の実施状況

また「観点別学習状況の評価は実践の蓄積があり、定着してきている」は、「そう思わない」に振れています(p.24)。他にもいくつか同報告書から引用します。

  • 中学校・高等学校では「中間や期末などに実施する定期テスト」が、それぞれの観点別の評価を行う際の主たる方法であると考えられる
  • 特に高等学校では、過年度と比較しても観点別学習状況の評価の定着があまり進んでいないのではないかと考えられる
  • いずれの観点についても、小学校・中学校に比べ、高等学校では円滑に実施できているとの回答割合が低い
  • 高等学校においては「知識・理解」により重点が置かれることが多いことがうかがえる
  • 高等学校では「観点別学習状況の評価を『評定』にどうつなげるかが分かりにくい」という項目に関して、指導している生徒の人数が相対的に多い場合のほうが課題認識が高くなっている

学習指導と学習評価に対する意識調査 報告書


このように、現在は定期考査を評価に用いる割合が高く、観点別評価の有用性は「授業の目標が明確になり、学力などを多角的に育成することができる」と好意的に捉えられている一方で、「授業改善に活かせてない」(真面目ですね)「評定にどうむすびつけるかわからない」(確かに)などの声があがっており、「人数が多いとムリゲー」となっているのが現状のようです。

じゃあ、外国語(英語)科ではどう評価するの?

そうなんですよね。どう評価しようか・・・。となるのですが、文科省がどのような観点で評価するか案をまとめています(外国語教育における観点別評価・たたき台(イメージ)案)。

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観点別評価・たたき台

書き出してみると、以下になります。

【知識・技能】

  • 外国語の4技能(聞くこと、読むこと、話すこと、書くこと)について、実際のコミュニケーションにおいて活用できる知識・技能を身に付けている。
  • 外国語の学習を通じて、言語の働きや役割などを理解している。

【思考・判断・表現】

  • 場面、目的、状況等に応じて、日常的な話題から時事問題や社会問題まで幅広い話題について、情報や考えなどを外国語で的確に理解したり適切に伝え合ったりしている。
  • 聞いたり読んだりしたことなどを活用して、自分の意見や考えなどを話したり書いたりして表現している。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • 他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、外国語で聞いたり読んだりしたことを活用して、自分の意見や考えなどを話したり書いたりして表現しようとしている。
  • 言語やその背景にある文化に対する関心を持って、自律的、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとしている。

これが観点別評価のABCであれば、B段階の中心的なイメージとなるのではないかと感じています。しかし、現在の「定期テストなどに加え、平常点を加味して、評価を行っている」と比較すると、より細やかに生徒を評価することになることがわかります。

おっと、出勤の時間が迫ってきました。今日はここまでです。さりゅー。

情報化の波と教育

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。下記はEdTech x English EducationというFacebookのグループに投稿した内容のコピーです。もしお時間があれば、お読みください。

さて、EdTech関連の話ですが、下記は知り合いの小坂先生から教えていただいたサイトです。250ページある文書を9000字でまとめてくださっていますが、理解するのに時間がかかりそうです。少しずつ読んでいき、正月休み中にすべて目を通したいと思います。


blog.ict-in-education.jp


また、昨年12月はPISAの読解力が下がった理由の1つに「日本の生徒がコンピューターを使った解答の仕方に不慣れな点」などが挙げられた記事も多かった印象がありますが(https://www.kyoiku-press.com/post-210466/ )、それに対しては、まずデータえっせいの2020年の比較記事。そしてさらに下の「学習者も常時使う文具へ」を読んでどのように今後教育を進めるべきか考える必要があります。


tmaita77.blogspot.com


gakko.site


勤務校でも、生徒が個人所有PCを持ち込んでいる状況はよく見ますが、校内LANには当然つなげず、Wordでレポート形式にまとめたり、発表のためのプレゼン作成に使用することが多いです。一番上の文書中に出てくる「情報活用能力の体系表(例)」では、思考力・判断力・表現力に関するBの項目を行なっていることが多いかなという感じです。


情報活用能力の体系表(例)


今年からまた環境がどんどん変わっていきそうですが、まずは理解からでしょうか。それではまたよろしくお願いいたします。

ダミーか錯乱肢か。

テストの錯乱肢は「3つでいい」と何度も会議で発言していますが、本意が分かってもらえてないかもなーと感じているので、revisitです。

個人的に大きな衝撃を受けた発表からすでに15年ほどたっていると思いますが、静先生が学会で発表されています。
2006_LT(final).pdf

テストの選択肢は4つ必要なく、3つでいいという論文です。日本語でも書かれていますので、長くなりますが、引用します。

それでは錯乱肢はいくつ必要であろうか。現在の標準テストではほとんどが、正答1+錯乱肢3の4選択肢形式をとっている。しかし今日までの実証研究の結果をみてみるとほぼすべてが実は正答1+錯乱肢2の3選択肢形式の有効性を示しているのである(Haladyna & Downing 1994など)。見かけ上は4つの選択肢があるように見えてもそのうちの1つはほとんど誰にも選ばれず、実質上は存在しないのと同じということが多いのだ。つまり

●選択肢は3つで十分

なのである。
 「でたらめにやっても33%は当たってしまう」というのがよく聞かれる懸念だが、次の理由でその心配は無用である。

(1)2選択肢でも5選択肢でも、十分な数の問題があれば、能力の低い者の正答数は能力の高い者の正答数より小さくなる。
(2)時間が十分にある状況では、でたらめな選択をする者は非常に少ない。
(3)見かけ上の正答数が高くなるのが不満なら、33%分の得点を全員から減点する、という方法もある。(不要な操作であるが。
出典:056 testmon - Zuke's Home Page

英語論文にもあるとおり、数学的にも、論理的にもしっかりとした錯乱肢を作れば、3つで十分です。あとこれで、錯乱肢に残る問題は、「錯乱肢と呼ぶべきか、ダミーと呼ぶべきか」問題だけですね(^^; ちょっとしたrevisitでした。

今日はこんなところです。さりゅー。

語彙の定着について考える

(下記の文章は割と前に書いた文章に加筆しました。元ネタはhttps://ciee50.jp/toefl/webmagazine/takers-seminar/1906/
※加筆しました(Oct 24)。

1.覚えたい語句は何回処理すべき?

ライフハッカーを読んでいたら、次の文章に目が止まりました。
「ハーバード教育大学院のNonie Lesaux教授によれば、子どもがある言葉とその意味を理解するには、その言葉を13~15回、タイミングと文脈を変えて見聞きする必要があるそうです」
子どもの語彙力を高める方法|反復と文脈を意識しよう | ライフハッカー[日本版]


で、ほんとかなーと思い、原典を探す旅に出ました(ライフハッカーを出典としてもいいけど、念のため。ライフハッカーは好きだけど)。

まずNonie Lesaux教授と書いてあるのだから、その名前とexposure 13 15と入れてぐぐります。Hitされたのを見ましたが、あまり効果なし。で、ちまちまと色々とクリックし、最終的に次のpdfにたどり着きました。
https://www2.ed.gov/about/inits/ed/lep-partnership/interventions.pdf?fbclid=IwAR3w_8rMTEppj2ukh0lfGqXLmachSJPjd8z1ZDTv0oce6Hmccd2d-2TPi5A


んで、20ページに次の文章を発見です。

it is the academic language of middle and high school classrooms and texts that prove most difficult for ELLs and in spite of the fact that ELLs—and their classmates—need between 12 and 14 exposures to a word and its meaning, across multiple contexts (different texts, classroom discussions, writing activities), in order to gain deep understanding of a word.

・・・12から14回と書いてある。あらーという感じですね。以前もWorld Economic Forumの間違いを指摘しましたが、孫引き(誰かが書いたことを読んで、また他の記事が書かれている場合)によく起こっているようです。

閑話休題

で、ポイントは授業中に12-14回出会わせる方法が大事に成ります。評価問題を作成するときに難しい語彙について、「一回教えましたよ(だから、大丈夫)」「教科書に出てきました(ので大丈夫)」というコメントには違和感を覚えていて、一回教えたから覚えているというのは、幻想に過ぎないと僕は感じています。そんな楽な話があったら、警察はいらないですよね。

ではどのようにして生徒に10数回その語句を処理させるか。いくつか考えてみます。

2.語彙の選択

まずはどの語彙を覚えさせるか考える必要があります。認知語彙と使用語彙にまずは分けるといいですよね。このとき、English Profileのサイトが使えます。このサイトでは、CEFRレベルを分けることができます。基本的には、B1までだとできれば使用語彙に、それ以上の場合は認知語彙に、C1を超えたら注釈をつけてあげようという感じです。注釈をあげる語句については、授業だったら、先に意味を教えてあげる語彙です。単語を辞書で引くべき語句は認知語彙や使用語彙に限定してもいいかもしれませんね。なお、CEFRでレベルが高いとされていても、日本の入試などの文脈では割と見るよねということもあるので、最後は教員のさじ加減となると思います(なお、CEFRタグ付けはデフォルトでは、writingになっているので、readingの場合は、本家Text inspectorで確認した方がいいのではないかと高知県の松田先生より指摘をいただきました。)
arishima.hatenadiary.jp


3.認知語彙

認知語彙を増やすのに適した活動は? 普段やっているのは下の活動です。

  • Matching game:語句とその意味を左右に書いて、線をひいてマッチングさせる活動。
  • Word Hunt:英語で定義を与えて、その語句を教科書の本文から探して下線を引かせるか、単語を書かせる活動。
  • Cloze問題:本文に空所を開けて、その空所に何が入るか選択肢から選ぶ活動。
4.表出語彙

では表出語彙を増やすのに適した活動は? いくつかあげてみます。

  • Quick Writing:となりの人と何回その単語をかけるか競争する。割と生徒ははまる。
  • Cloze問題:本文に空所を開けて、その空所に何が入るか考えながら音読/Shadowingする。音読の場合も時間制限を与える。
  • 置換モード:静哲人先生の「大技・小技」(https://amzn.to/2pJWJLC)にある活動。英文に日本語訳を組み込み、音読させる。
  • 図表モード:教科書本文を図表(グラフィックオーガナイザー)で表して、それで内容を英語で説明させるが、使うべき語彙を図表に書き込む。で、その語彙を表出語彙にする。生徒の話す内容は、先生がする手本のコピーで構わない。練習するとだんだんと自分でもできるようになっていく。
5.プロジェクト型もいい。

とはいっても、上はまだ守破離の「守」。本当に英語を使うには、それではダメで、生徒がなんども話したり書いたりする仕組みを取り入れた方が学習効果が高いのではないかと考えます。どのような活動があるでしょうか。

  • ポスター発表:教科書と同じ内容の他のことでポスター発表させる。使うべき語彙を指定すると早いが、例えばCarbon dioxideやemitなどは環境の話では結構出てくるので、生徒は自然とその語彙を使ったり、聞いたりする。
  • 即興ディベート:テーマによって語彙が割と決まるので、最初から単語リストを配布しておく。その中に、覚えてほしい語彙を入れる。
  • 多読、多聴:たくさん読んだり聞いたりすると、よく出てくるフレーズなのが腑に落ちるようになってきますよね。詳しくは、書物で!(え?)
6.まとめ

書くのが疲れたのでこれで終わりですが(え?)、語彙学習についてもいろいろとありますね。今日はこんな感じでしょうか。さりゅー!

引用文献は下。この本面白そうなので、ちゃんと読んでみたいです。
Francis, David & Rivera, Mabel & Lesaux, Nonie & Kieffer, Michael & Rivera, Hector. (2006). Research-Based Recommendations for Instruction and Academic Interventions. Practical Guidelines for the Education of English Language Learners. Book 1 of 3. Center on Instruction.

思考力・判断力・表現力を考える。

「大学入学者選抜改革推進委託事業成果報告会の開催について」という文部科学省のサイトで、「思考力・判断力・表現力」をどう出題するかが検討された状況が発表されています。読んでいくと「思考力・判断力・表現力」の定義をどう考え、評価していこうととしているかということが分かります。

国語

まず国語では北海道大学がまとめていますが、次の表のようにまとめています。縦軸が問題形式で、横軸が知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力に分けられています。「思考力・判断力・表現力」にあたるのは「情報抽出・内容解釈・文章表現・心情理解・主張推測・仮設形成・知識思考・共感説明・思考発展」となっています(が、それぞれが何を指すのかまた確認が必要ですね)。

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国語

この文書では、さらにスライド13でまだ出題されていない範囲が掲載されています。このマトリックスからまだ見たことのない問題が作成可能というわけです。

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出題されていない範囲(国語)



なお、私見ですが、筆者のこれまでの経験では、英語の問題作成において「本文からはっきりと分からないことは出題しても良いか」ということは頻繁に話題にあがっています。国語科の先生と話をすると、「最適なものを選ぶ」問題では出題しているとしています。上記にもありますが、文章を「読んでまとめる」「次の行動を予測する」「心情を理解する」などは本文に書かれていないことが多いので、「推測する」ということを評価する上では、今後は「書いていないが、多くの人はこう考える」ということが正解となっていくのかと考えています。

理数

次に理数分野です。思考力・判断力・表現力に関して直接まとめられたスライドはなかったように感じられたのですが、次のように場面に応じて評価することができるとした選抜方法例を示しています。これを見ると、例えば思考力は主にグループワークで、知識は調査書や研究論文で見ることができるとされています。AO入試や推薦入試(来年から名称が変わりますが)などではこのように総合的に評価されることも可能ということです。これらの力をどの場面で育成していくかということに興味があります。

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理数分野

情報

情報の分野はとてもおもしかったです。「思考力・判断力・表現力」はBuzzwordであると明言し、便宜的定義を作成しています。個人的にはこのように分類して形成するのが好きなので、楽しく読みました。引用するとあまりにスライドが多くなるので、リンクを貼ります。

概要:情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発
定義:思考力・判断力・表現力の評価方法と情報科への適用
作問例:思考力・判断力・表現力を評価する問題作成手順

例えば、表現力を見てみると、次のような文章があります。

(Ex) Expression . (与えられた基準において有用な) 表現を構築/考案/創出する力。
基準としては、次のものが考えられる。
・日本語記述としての適切性(内容が過不足ない、把握しやすい提示順序、適切な接続関係の採用など)。
(以下略)
・出典:情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発

これを英語に応用すると、以下のような問題が作成できます。これであれば、PREP形式に述べることがわかっているかどうか(表現力)について知識を持っているかどうか問うことができます。

以下の2つのグラフについて、A君はデータを引用しながら自らの意見を述べようと考えています。説明がもっとも聞き手に分かりやすくなるように、AからFの英語での説明を並べ替えて、その順番を記号で書きなさい。

また問題作成例も楽しいです。文書から引用します。

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作問例(抽象から具体へ)

これまでも英文に下線がひかれ、あてはまる例を選んで答える問題は出題されていました。このように分類され、どのような思考力を問う問題なのか示されると、より明確にCan-doなどと絡めた出題が可能になります。

まとめ

以上、授業や評価問題の作問についてのヒントがかなりあると感じました。様々な分類はとても参考になります。一度しっかりと各教科の視点や概要をまとめて、どのような発問が可能なのか考えてみたいと思います。なお、なぜこの中に「外国語」がないのかという疑問が浮かびますが、またそれは別の機会に探ってみたいと思います。