2019年に買って良かった本シリーズ その2

2019年に買って良かった本シリーズその2です。

中田達也さんの「英単語学習の科学」です。主に教員向きだと感じました。Paul Nation氏に師事されただけあって、勉強になります。軽い気持ちで購入したのですが(!)、思わぬ収穫が多かったと感じています。

特に心を惹かれたのは、第2章、第5章、第6章以降、第20章です。以下レビューします。

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観点別評価をどうするか その3

観点別評価シリーズその3です。こんなにアップしていて暇なのか?いえ、まとめないと忘れるのです。

さて、前回、今回の予告を以下のように書きました。

次回は、評定の出し方について、中学校のやり方を確認し、高校のやり方を考察してみます。

しかし、今回はそれは全く無視して(おいっ!)、高校の英語科の観点別評価の出し方を考察していきます。

1 学習指導要領ではどのように目標を示しているか(学習評価を考慮に入れて)

まず、普通3観点とは「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」の3つを指すと考えますよね? 

・・・。でも、違うんです(え!?)。「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」は「育成すべき資質・能力の3つの柱」とされています。つまり、育成目標と。じゃあ、何を評価するのか? 

実は、H31/3/19に示された「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」でそのことはしっかりと述べられています。引用します。

2.学習評価の主な改善点について
(1)各教科等の目標及び内容を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の資質・能力の三つの柱で再整理した新学習指導要領の下での指導と評価の一体化を推進する観点から,観点別学習状況の評価の観点についても,これらの資質・能力に関わる「知識・技能」,「思考・判断・表現」,「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理して示し,設置者において,これに基づく適切な観点を設定することとしたこと。その際,「学びに向かう力,人間性等」については,「主体的に学習に取り組む態度」として観点別学習状況の評価を通じて見取ることができる部分と観点別学習状況の評価にはなじまず,個人内評価等を通じて見取る部分があることに留意する必要があることを明確にしたこと。

とされているので、「資質・能力の3つの柱」と評価の3観点は少し違う(ここ重要)ということを頭に入れておく必要があります。

まあ、まとめると、高校における資質・能力の「3つの柱」と評価の3観点は下記のように異なるのです!

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3観点の相違点

ま、それはそれとして(軽っ!)、目標をまずそれぞれ、学習指導要領解説の「第 3 節 外国語科の目標」で、どのように示されているのか見てみます(p.13以降)。

1.1 知識及び技能

知識及び技能については、以下のようにp.13に示されています。

外国語の音声や語彙,表現,文法,言語の働きなどの理解を深めるとともに,これらの知識を,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて,目的や場面,状況などに応じて適切に活用できる技能を身に付けるようにする。

ここでは、「知識」は「外国語の音声や語彙,表現,文法,言語の働きなどの理解」と読み取ることができます。また「技能」は「知識を,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて,目的や場面,状況などに応じて適切に活用できる」ことと読み取ることができます。この技能については、例えばused to/wouldの状況に応じての使い分けや相手によってshould/had betterなのかなどと適切に活用できるかまでを示しているのかなと思いますが、まだよく考える必要がありそうです(この「技能」については、いわゆる「聞く・読む・話す・書く等の4技能」と「技能」という単語が同じなので、ちょっと混乱します。気をつけないといけないです)。

1.2 思考力,判断力,表現力等

この点については、以下のように示されています(p.14)。

コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,日常的な話題や社会的な話題について,外国語で情報や考えなどの概要や要点,詳細,話し手や書き手の意図などを的確に理解したり,これらを活用して適切に表現したり伝え合ったりすることができる力を養う。

p.15を読むと、このことは以下の学習過程を経ることがわかります。この営みの中で、思考・判断を評価したり、表現を評価したりということがなされると考えられます。

  1. 設定されたコミュニケーションの目的や場面,状況などを理解する
  2. 目的に応じて情報や意見などを発信するまでの方向性を決定し,コミュニケーションの見通しを立てる
  3. 目的達成のため,具体的なコミュニケーションを行う
  4. 言語面・内容面で自ら学習のまとめと振り返りを行う

またここで理解するものは「概要や要点、詳細、意図」であることも示されています。逆に言えば、理解「読むこと」「聞くこと」については、この4点がまずは問われるべきポイントだと言えると思います。さらに、表出については、学習指導要領解説のp.13にあるとおり、「表現する」「伝え合う」と2つに整理されていますので、ここも確認すべきポイントかと思います。

さらに、新学習指導要領では、技能統合という面も打ち出されていますので、ディベートやエッセイライティングなどにおいて、上記の4つの過程を経ることも多々出てくるのではないかと考えています。

1.3 学びに向かう力,人間性

学びに向かう力,人間性等については、以下のように示されています(p.16)。

外国語の背景にある文化に対する理解を深め,聞き手,読み手,話し手,書き手に配慮しながら,主体的,自律的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

この目標から考えられるのは、「配慮」「態度」という2つのキーワードに留意すべきだということです。また「主体的、自律的」となっていますので、生徒が「主体的・自律的」であったかどうかという点もポイントとなると考えられます。

しかし、上記で示したように、評価においては、前回の投稿(その2)で示した国立教育政策研究所の「学習評価の在り方ハンドブック」の項目にあるように「主体的に学習に向かう態度」を評価します。同ハンドブックは以下のように示していました。

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主体的に学習に取り組む態度

抜き出します。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、(1)知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、(2)1の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面、という二つの側面から評価することが求められる。

高校現場で実際に行われていることを考えれば、(1)については、必要な語彙や文法を学ぶための宿題の提出や小テストの合格などの点が「知識及び技能」の評価になりそうだと考えられますし、「思考・判断・表現」については、例えばディベートやプレゼンにおいて、粘り強く最後まで準備して活動に向かったかどうか(例えばrevisionの回数など)で評価できそうです。また、(2)については、これまではあまり鑑みられてこなかった、「主体的・自律的」ということを考え、生徒が自らどのような計画をたて実行してきたか、評価することも考えに入れる必要が出てきます。例えば、プレゼンにむけていつまでに準備し、練習し、発表するか、計画とその実行ができて初めて良いプレゼンにつながります。教員も無理なく活動が行えるように支援が必要ですが、生徒一人一人も自分の学習に責任を持ち、学んでいくことが大事になります。これは割とあまりされてこなかったことだと思われますが、ポートフォリオやデジタルの提出日での確認などによって評価がされるような感じがします。

2 ここまでの考えはあっているか

しかし、この考え方はあっているのでしょうか。

平成28年6月15日に示された「高等学校における学習評価に関する参考資料」では、p7に以下のようにまとめられています。

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各教科等の評価の観点のイメージ

また、その2ヶ月後の平成28年8月26日に示された「外国語ワーキンググループにおける審議の取りまとめ」のp.43では、以下のようにまとめられています。

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観点別評価のイメージ

同じですね。この書類をみると、以下のようにまとめられます。
知識及び技能 ここまで述べたこととほぼ同じ。知識、技能の定義は学習指導要領と同じ。
思考・判断・表現 ここまで述べたこととほぼ同じ。「概要・詳細・意図」について「理解する」「表現する」「伝え合う」(下に抜き出しました)。

〇場面・目的・状況等に応じて、幅広い話題について、情報や考えなどの概要・詳細・意図を外国語で的確に理解したり適切に表現したりしている。
〇外国語で聞いたり読んだりしたことなどを活用して、場面・目的・状況等に応じて、幅広い話題について外国語を話したり書いたりして、情報や考えなどの概要・詳細・意図を適切に伝え合っている。

主体的に学習に取り組む態度 ここまで述べたことと異なる。相手の背景を配慮・尊重しながら、自律的・主体的にコミュニケーションを図る態度や表現する態度について書かれている。

〇外国語の学習を通じて、言語やその背景にある文化を尊重し、自律的・主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとしている。
〇他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、外国語で聞いたり読んだりしたことを活用して、自分の意見や考えなどを話したり書いたりして表現しようとしている。

このことから、やはり「主体的に学習に取り組む態度」については、さらに検討が求められると感じました。

3 どのタイミングで評価するか。または評定との関係は?

先に示した国立教育政策研究所の資料では、評価はすべての授業ではなく、「単元や題材などの内容や時間のまとまりごと」と示しています。しかし、わからないことも多々あります。学校では定期考査がありますし、定期考査をもとに成績を出してきた経緯があると思われます。具体的には、評点と評定があります。そのため、各学期の成績や、学年の成績(評点)の算出方法が必要となります。また評価の観点ごとに学期ごとに示すべきでしょうか。

まずは、現在の4観点評価について、岩手県が「岩手県における授業改善・学習評価の改善の取組について」という資料を出されています。平成30年5月30日付の文書です。下記のようにわかりやすく示しています。


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岩手県資料


この文書は理解するのにちょっと時間がかかりますが、定期考査で測れるもの、測れないものの区別、各学期の評価と各学年の評価などが示されています。

さて、ちょっと疲れてきたので、実際に各単元とパフォーマンステスト、定期考査、提出物などからどのように英語の成績をつけるかの試案を次回は示します。今日はこんなところです。さりゅ。

テスト問題作成について

昨年度、作成したものを忘備録として公開します。上山先生の本(以下上山本)などで学んだことが多いです。感謝です。ぜひ参考本をご参照ください。

1 はじめに

期末考査や実力考査などは、生徒がとても大事にするものです。当然考査問題には我々教員の普段の指導が反映されますし、また逆に考査の出題傾向が授業に反映されます。丁寧に作っていきましょう。

2 参考となる書籍等

問題を作成する前に、テストについての様々な基礎知識が必要です。以下の本が参考になると思うので、ぜひお読みください。

特に上記の1番目から3番目を読むとテスト設計から考える良いヒントとなると思います。

3 発問に関して

特に読むこと(リーディング)についてどのような問題例が考えられるかと問われることが多いのですが、上記の書籍(特に高等学校英語教員のための定期テスト作成簡易マニュアルはわかりやすいと思います)や、センター試験「筆記」や大学入試の過去問を解いてみることが早道だと思います。なお大学入試の過去問については、旺文社の教員用冊子Argumentに長く連載されている「〇〇年入試 長文読解〈良文+良問〉問題 ベスト・セレクト 勝手に20題!」が参考になります。例えば、2019年春の入試であれば、大阪大学「人間の問題解決の仕方」島根大学人工知能の進歩に必須の因果関係を読む能力」一橋大学アメリカにおける家の強制退去と貧困問題」上智大学「便利な最新科学技術がもたらす副産物」などが良問として挙げられています(ちなみに、この表をiPhoneExcelアプリで撮影すると、自動的にExcelの表に変えてくれます。世の中は便利になっています)。なお、最近10年間のものを全て確認していますが、数年前にどうしても冊子が見つからないとき、旺文社に電話したらすぐにFAXしてもらえました。とても親切な対応していただいたと思います。

また、本格的に発問について勉強されたい方は、田中本3冊がとても参考になります(田中武夫先生は、本当に良い先生です)。

個人的には、2冊目が気に入っています。

4 テスト作成前に行うこと

さて、テスト作成に入っていきます。テスト作成前に行うことは、次のことです。

  1. テスト範囲の決定とテスト細目等の決定
  2. テスト作成スケジュールの確認
  3. フォーマットの共有

4.1 テスト範囲の決定とテスト細目等の決定

まず、テスト範囲とテスト細目等の決定を行う必要があります。テスト範囲を決めている例はよく見ますが、テスト細目を決めていない例が多い感じがします。テスト細目を決めずにテストを作ると、様々な問題が発生します。

まず一般的なテスト範囲例です。

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テスト範囲の例

しかしこれでは、教員側としてはCan-do項目、4技能、との結びつきや、外国語理解の能力、表現の能力、言語・文化の知識理解、コミュニケーションへの関心・意欲・態度という評価の観点との結びつきが不明です。また、どの項目が何点か明示されておらず、意図せず偏った問題を出す可能性もあります。また、生徒も何を中心に勉強すれば良いか漠然と分かっても、実際にはどれに力を入れて、あるいは何をどう勉強すればよいかよくわからない場合があります。以上のことから、テスト細目を定める方がメリットが大きいと感じています。特に2022年度からは、観点別評価が導入されますので、年間計画上で示された「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」のどれを定期考査で測っているのかしっかり計画する必要がでてきます。

そのため、テスト範囲については、教師間でテスト細目を共有することが大事になります。テスト細目は『実例でわかる 英語テスト作成ガイド』を参考にして作ると下記のように示すことができます。
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さらに、上山先生の本では、テスト細目作成後に、生徒に範囲を示す場合の例が載っています。「作る人が書くのだから百発百中!! 何をどう勉強すればいいかガイド」的なプリントです。例えば上記であれば、大問6は「書くこと」で和文英訳と書いていますが、生徒に示すときは、「〇〇の何ページに載っている文法事項を使って解く問題。教科書のその箇所を音読筆写し、さらに余裕があれば辞書などで同じ項目の例文を探そう!」などと書くと、生徒が何をどう勉強して良いか、ぐっとわかりやすく示すことができます。詳しくは、上山本をぜひご覧ください。

4.1.1 Can-doなどとのリンク

上記に示したのは「範囲」ですが、具体的なCan-do項目と結びつけることも可能です。これは、『実例でわかる 英語テスト作成ガイド』にも示してあります。学習指導要領の中の文言と結びつけてもいいかもしれません。例えば大問1の「聞くこと」については、「遅めではっきりと話した短い会話を聞いて、概要と詳細を理解できる」と書けば、さらに出題のねらいがはっきりします。

また、「高等学校英語教員のための定期テスト作成簡易マニュアル」でも「聞くこと」「書くこと」など、技能別に以下のように出題例が載っています。この表を見ながら、どのような出題形式にするか考えることもできます。
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4.2 テスト作成スケジュールの確認

テストを作成するには、時間がかかります。以下のような工程表を係は作成し、皆で共有する必要があります。
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4.3 フォーマットの共有

テストを複数の人で作る場合もあると思います。そのときは、原稿作成要領と同じように、しっかりとフォーマットを作ってからでないと、まとめる係の先生が苦労します。以下のような例を共有するといいと思います。
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また、上記のフォーマット例と合わせて下のような共有すべき決まりがあると、なお分かりやすいと思います。

  • 大問の指示はMSゴシック11pt。全角で大問の番号を書き、四角で囲む。また指示の最初には【聞くこと】【論説】【書くこと】など何を問う問題か明記する。
  • 小問は原則(1)(2)(3)と半角かっこの中に半角数字。小問に2つ問題があるときは、(1a)(1b)などとする。
  • 小問番号と下線部は原則同じ数字にする。例えば「(5)下線部4を日本語にせよ。」などとしないように工夫する。
  • 空欄は(5)なら( 5a )( 5b )などとする。分かりやすいように、中の文字はゴシックのBold。かっこは半角centuryとする。
  • 選択肢の記号は原則カタカナで「アイウエ」とする。かっこや記号の後のピリオドはつけない。ゴシック太字で記号だということを明示する(生徒が(ア)などとカッコをつけたり、◯で囲んだりするのを防ぐため)。
  • 行番号は必ずつける。縦長のテキストボックスで、fontはTahoma 7.5ptで右揃えにする。

今日はこんなところです。さりゅ。

※2月11日に一部修正しました。

2019年に買った本でよかったシリーズ

突然、2019年に買った本でこれよかったシリーズ その1。

論理的思考―論説文の読み書きにおいて

これは松井先生のBlogで知ってポチッとしました。2015年の投稿を読んで、今頃という感じですが、やはり良かったです。
松井先生も書かれていますが、「心身共に健康な時に咀嚼するのが良かろう」というぐらいの気持ちで読まないとズタズタにされますが、基本的には、普段学校で生徒を指導しているときに生徒に教えていることや自分で文章を書くときに思っていることが歯に物着せずで書かれています。

なお、本書は論理性だけでなく、冒頭から「色々言ってもどうせ分からないから、まずやらせて悪いところを直す」的なことが書かれており、実践的指導者としては肯くところも多々ありました。具体例を挙げると、面接練習などで、生徒に「もっと感情を強く言って」などと抽象的に言うケースをよく見ますが、そういっても生徒には伝わりません。私自身はそういう抽象的な言葉をできるだけ避けて、「ぜひ〜したい」「心から思います」など、「ぜひ」「心から」等の副詞をつけ、その副詞を少し大きめに声を出すように言い、それが自然とできるまで指導しています。

作文についても、普段から疑問に思っているところが、確かにそうだ!的な部分があり、参考になります。

論理的観点を考える本シリーズとしては、三森ゆりか氏の下記の本もまたオススメです。
論理的に考える力を引き出す―親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング

何度も読まないとなかなか生徒に伝える教師としての「論理性」は身につきませんが、ディベートについて指導するときなどに具体的にどのようすれば良いかという実践例「問答ゲーム」が詳しく載っており、共通テストの英語で出題が検討されている「事実と意見の違い」の指導例など参考になります。ディベートをこれから勉強したい、指導したいという人にもいいのではないでしょうか。まあ、この本にも来賓の祝辞など「5WiH」のスピーチについて、小学生が批判的に批評していた例も載っており、辛辣なダメ出しが優しい言葉で書いてあります(^^;。

この本から学び、個人的に普段から言っているのは、「〜とか」「〜など」と生徒が言ったときには、「〜とかっていうことは他は何?」と言ったり、「先生、プリント!」と言われても「プリントがどうしたの?」などと聞き返していますが、よく考えたら生徒にとってはうるさいオヤジにしかなってないかも知れんと思ってはいます(自覚あり)。

まあ、今日はそんなところです。さりゅー。

観点別評価をどうするか その2

観点別評価をどうするか その1につづき、その2です。様々な資料を探してみます。

国立教育政策研究所の資料

まず観点別評価については、以前示したこともある国立教育政策研究所の資料をみてみます。この資料は読み込むと、とてもわかりやすく書いてあることが
わかります(きっと著者がとても明晰かつ親切な人なのだろうと思いました)。
指導資料・事例集:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

情報が多々あるので、箇条書きで引用、まとめてみます。

  • 観点別評価の定義(そのまま引用)「観点別学習状況の評価とは、学習指導要領に示す目標に照らして、その実現状況がどのようなものであるかを、観点ごとに評価し、生徒の学習状況を分析的に捉えるものです
  • 3観点(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)は1回の授業ではなく、単元や題材ごとに評価する
  • 「十分満足できる」(A)と言える状況は、生徒が実現している学習の状況が質的な高まりや深まりがある状況である
  • 学習評価は、学校における教育活動に関し、生徒の学習状況を評価するもの。(1)学習成果の確認、(2)教師の指導改善、(3)生徒自身の学習の振り返りの3つに留意する
  • 「知識・技能」の評価例:ペーパーテスト「事実的な知識の習得を問う問題」「知識の概念的な理解を問う問題」をバランスよく出す。また、文章による説明、観察・実験、式やグラフでの表現など実際に知識や技能を用いる場面を設ける。
  • 「思考・判断・表現」の評価例:ペーパーテスト、論述やレポート、発表、話合い、作品制作、ポートフォリオ
  • 「主体的に学習に取り組む態度」の評価例:ノートやレポート等の記述、授業中の発言、行動観察や、生徒の自己評価や相互評価等。ただし、生徒の発達段階や個性を考慮して、「知識・技能」や「思考・判断・表現」の観点の状況を踏まえて評価する。
  • 大学入学者選抜において用いられる調査書を見直す際には,観点別学習状況の評価について記載する

最後の「主体的に学習に取り組む態度」については、以下の図より、粘り強さ(=実際の取組)と計画性(途中での調整含む)の2点から評価することが推測されます。

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主体的に学習に取り組む態度

以上が、国立教育政策研究所の資料ですが、「観点別評価をどうするか その1」で示した約80%の高校が「定期テストに加え、平常点を加味して、評価を行っている」(平成30年)という状況を考えるに、以下の改善が必要になるのではないかと思われます。

  1. ペーパーテストの改善:知識・技能を直接問う問題だけでなく、知識・技能があって解ける問題を工夫する。また、問題ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」のどちらを問うているのか明確にする。
  2. パフォーマンス評価の工夫:論述やレポート、発表、話合い、作品制作、それらをまとめたポートフォリオでの評価が必要になる。時間がかかることが予想される項目もあるので、どの単元・題材で行うのか年間計画が必要。ルーブリックと評価の手順を生徒に示すことができるように事前準備も必要。
  3. 計画・実践の評価:「主体的に学習に取り組む態度」では、粘り強さと自己調整力の2点から評価できる。私見だが、実際には単元の学習活動について具体的な学習計画を生徒が作り(何月何日に何を学ぶ等)、実際に学習計画にしたがった学習の成果やその提出等で評価可能だ。自己調整力としては、(1)個人内での調整(計画変更)、(2)他者との調整(先生や友達に支援を求める)の2点が考えられる。ちなみに粘り強さとされる「GRIT」は将来の成功の是非に非常に関わるとされる項目である。

以上が、上記の書類から読み取れることです。繰り返しますが、3観点の評価については、年間計画を定め、どの単元でどの資質・能力をどう育成し、どう評価するかという点を定める必要があります。

「観点別学習状況の評価」実施の手引き(大阪府

年間計画やシラバスについては、大阪府がまとめている文書『「観点別学習状況の評価」実施の手引き』にかなり具体的に出ているので、参考になります。実際の各教科・科目のシラバスの作成例等が載っています。平成28年のものなので、4観点で掲載されていますが、3観点で作る際にも参考になると思います(ただし、評定をどう計算するか等は載っていません)。

評定をどうするか

観点別評価を行った際に、やはり高校現場としては、評定平均等がどうなるかが気になります。検索したところ、下記の資料が参考になります。

まずはこれ。平成31年1月に出された「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」です。この本文のp.19に「観点別学習状況の評価と評定の取扱いについて」という項目があります。
www.mext.go.jp

それからこれです。
教育課程部会 高等学校部会(第4回) 配付資料:文部科学省

この「資料1-2 高等学校における学習評価に関する参考資料(2)」に以下の図表があります。

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資料1-2 高等学校における学習評価に関する参考資料(2)

これを見てみても、やはり観点別評価をもとに評定を定めることが想定されています。また、前述の国立教育政策研究所の資料にも以下の図表があります。

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国立教育政策研究所の資料

これもまた、3観点をもとに評定を出すように定めています。次回は、評定の出し方について、中学校のやり方を確認し、高校のやり方を考察してみます。
今日はこんなところです。さりゅー。

観点別評価をどうするか。その1

はじめに

観点別評価の指導要録への記載は、高校では2年後(令和3年度)入学の1年生から始まりますが、まだ不勉強なため、まとめてみます(なお、一応念のため書きますが、このブログではあくまでも個人的な見解を書いていますので、詳しくは各自お調べください)。

問題点としては、次の点が挙げられるので、このブログでは以下のことを調べていきます。

  1. 観点別評価をどのように実施していくのか。例えば、各授業か、単元ごとか、学期ごとか。
  2. 評定とどう結びつけるのか。中学校ではBBBは3となるが、調査書への影響はどうなるか。
  3. 生徒へのFeedback(通知表)と授業改善の点からはどのように考えられるか。

これに答えられれば、だいぶいいかなと思っています。

まず、本当に指導要録に記載ははじめるのでしょうか。次の文言が平成31年3月29日付の「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」の「3.指導要録の主な改善点について」の(2)に書かれています。

高等学校及び特別支援学校(視覚障害聴覚障害,肢体不自由又は病弱)高等部における「各教科・科目等の学習の記録」については,観点別学習状況の評価を充実する観点から,各教科・科目の観点別学習状況を記載することとしたこと。

なぜいま、観点別評価が話題になるかというと、指導要録に観点別評価のABCの記載が必須になるからです。「いやいや、観点別評価は以前から入っていたじゃないですか!」と言われるかもしれませんが、高校の評価や評定が目標準拠ではなく、集団準拠であることは様々なところで指摘されています。

現状分析

では、実際にはどうでしょうか。平成30年1月の報告書には、高校では「定期テストなどに加え、平常点を加味して、評価を行っている」が8割とされています(学習指導と学習評価に対する意識調査 報告書(p.28))。グラフではこんな感じです。

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観点別学習状況の評価の実施状況

また「観点別学習状況の評価は実践の蓄積があり、定着してきている」は、「そう思わない」に振れています(p.24)。他にもいくつか同報告書から引用します。

  • 中学校・高等学校では「中間や期末などに実施する定期テスト」が、それぞれの観点別の評価を行う際の主たる方法であると考えられる
  • 特に高等学校では、過年度と比較しても観点別学習状況の評価の定着があまり進んでいないのではないかと考えられる
  • いずれの観点についても、小学校・中学校に比べ、高等学校では円滑に実施できているとの回答割合が低い
  • 高等学校においては「知識・理解」により重点が置かれることが多いことがうかがえる
  • 高等学校では「観点別学習状況の評価を『評定』にどうつなげるかが分かりにくい」という項目に関して、指導している生徒の人数が相対的に多い場合のほうが課題認識が高くなっている

学習指導と学習評価に対する意識調査 報告書


このように、現在は定期考査を評価に用いる割合が高く、観点別評価の有用性は「授業の目標が明確になり、学力などを多角的に育成することができる」と好意的に捉えられている一方で、「授業改善に活かせてない」(真面目ですね)「評定にどうむすびつけるかわからない」(確かに)などの声があがっており、「人数が多いとムリゲー」となっているのが現状のようです。

じゃあ、外国語(英語)科ではどう評価するの?

そうなんですよね。どう評価しようか・・・。となるのですが、文科省がどのような観点で評価するか案をまとめています(外国語教育における観点別評価・たたき台(イメージ)案)。

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観点別評価・たたき台

書き出してみると、以下になります。

【知識・技能】

  • 外国語の4技能(聞くこと、読むこと、話すこと、書くこと)について、実際のコミュニケーションにおいて活用できる知識・技能を身に付けている。
  • 外国語の学習を通じて、言語の働きや役割などを理解している。

【思考・判断・表現】

  • 場面、目的、状況等に応じて、日常的な話題から時事問題や社会問題まで幅広い話題について、情報や考えなどを外国語で的確に理解したり適切に伝え合ったりしている。
  • 聞いたり読んだりしたことなどを活用して、自分の意見や考えなどを話したり書いたりして表現している。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • 他者を尊重し、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、外国語で聞いたり読んだりしたことを活用して、自分の意見や考えなどを話したり書いたりして表現しようとしている。
  • 言語やその背景にある文化に対する関心を持って、自律的、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとしている。

これが観点別評価のABCであれば、B段階の中心的なイメージとなるのではないかと感じています。しかし、現在の「定期テストなどに加え、平常点を加味して、評価を行っている」と比較すると、より細やかに生徒を評価することになることがわかります。

おっと、出勤の時間が迫ってきました。今日はここまでです。さりゅー。

情報化の波と教育

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。下記はEdTech x English EducationというFacebookのグループに投稿した内容のコピーです。もしお時間があれば、お読みください。

さて、EdTech関連の話ですが、下記は知り合いの小坂先生から教えていただいたサイトです。250ページある文書を9000字でまとめてくださっていますが、理解するのに時間がかかりそうです。少しずつ読んでいき、正月休み中にすべて目を通したいと思います。


blog.ict-in-education.jp


また、昨年12月はPISAの読解力が下がった理由の1つに「日本の生徒がコンピューターを使った解答の仕方に不慣れな点」などが挙げられた記事も多かった印象がありますが(https://www.kyoiku-press.com/post-210466/ )、それに対しては、まずデータえっせいの2020年の比較記事。そしてさらに下の「学習者も常時使う文具へ」を読んでどのように今後教育を進めるべきか考える必要があります。


tmaita77.blogspot.com


gakko.site


勤務校でも、生徒が個人所有PCを持ち込んでいる状況はよく見ますが、校内LANには当然つなげず、Wordでレポート形式にまとめたり、発表のためのプレゼン作成に使用することが多いです。一番上の文書中に出てくる「情報活用能力の体系表(例)」では、思考力・判断力・表現力に関するBの項目を行なっていることが多いかなという感じです。


情報活用能力の体系表(例)


今年からまた環境がどんどん変わっていきそうですが、まずは理解からでしょうか。それではまたよろしくお願いいたします。