神奈川県立国際言語文化アカデミアはすごい!その1

実は前から注目していたのですが、江原先生が勤務されている神奈川県立国際言語文化アカデミアという機関があります。

www.pref.kanagawa.jp

ここは結構すごくて、「高等学校英語教員のための定期テスト作成 簡易マニュアル 」も作成しており、何かと参考になります。
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ns2/cnt/f440038/documents/testmanual_revised2018june.pdf

まず注目すべきなのは、p4のテスト作成と評価のためのマトリクスです。
例えば、「聞くこと」の「話された内容を的確に聞き取る力」では次の4つを「問題の種類・評価の対象」の例としてあげています。

  • ディクテーション
  • 内容にかかわる Q&A(多肢選択/記述)
  • 内容を示す絵の選択
  • 表の完成

例えば、共通テストのリスニング問題では、上の「表の完成」が1つの問題となっているのは周知のとおりですね。このような各技能ごとの下位能力が表になって、わかりやすくまとまっています。

この他にも例えば「読むこと」なら、「まとまった英文の概要・要旨を読み取る力」が3つの評価例、「まとまった英文の重要な情報を読み取る力」がこれも3つ、「論理展開や出来事の順序を読み取る力」は6つに分かれています。それだけでなく、語彙・文法・コミュニケーションに関する関心・意欲・態度も項目化されています。まあ昨今の教育事情を読み取るに、これらのことを行なっていない場合はなんとなくこんな感じ?で作成していると思われるので改善の必要があるかと思います。カリマネ的に考えても、PDCAサイクルに載せられません。

テストを作るときには、どのような設計をするかがとても大事になりますが、その時の大事な指標を与えてくれています。テスト作成前にもう一度読み、デザインをしっかりして作成したいと考えています。

【書評】「高等学校における英語運用能力アセスメントの現状と課題 静岡県立公立高校のパフォーマンス・タスク分析」

今回は出口マクドナルド 友香理・福田 純也・亘理 陽一らによる「高等学校における英語運用能力アセスメントの現状と課題 静岡県立公立高校のパフォーマンス・タスク分析」(2019.03)を取り上げます。

shizuoka.repo.nii.ac.jp


本論文は、表題にあるとおり、静岡県の公立高校のいわゆる「パフォーマンステスト」の現状を分析したものであり、とても興味深く読みました。

まず、技能については、ほぼ半数がライティングであり、プレゼンテーションが30%、やりとりが16%であることが示されています(p.166)。また、ライティングタスクはほぼ1つの形式であったこと、ルーブリックの曖昧さ、などが指摘されていました。さらに「書いたものを覚えて発表する」とする形式が多かったこと、インタラクション形式は「Show and Tell」が多かったことが指摘されており、示唆的だと思いました。

1つ心に残ったのは、以下の取り組みの紹介。おそらく、ユニバーサルデザインのレッスン後の活動だと思いますが、素晴らしい授業デザインだと感じました。ペアで取り組んでも良いし、先生に対するプレゼン形式で先生とのやりとりでもいいですよね。

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外国人伸び率

少し古い記事ですが、日経新聞が外国人伸び率を示しています。

vdata.nikkei.com

記事によると、全国では2009年 「112人に1人」が2018年「46人に1人」と倍増。また食料品製造では11人に1人が外国人労働者とのデータが出ており、10人に1人。東京では、もはや18人に1人が外国人のようです。

鹿児島で見てみると、なんと伸び率は3位。2018年現在で、117人に1人が外国人ですね。グローバル化が進んでいるかどうかはよく話題になっており、例えば英語教育関係では寺沢氏の本がよく話題に上がります。2015年の発売の本書では、人口によく膾炙する「グローバル化」という言葉の真実を明らかにしようとしています。

www.amazon.co.jp


が、時代は変わっているのもまた事実。例えば、GAFAが強くなってきたのはここ数年(*1)だし、パーソル総合研究所が示した2030年に650万人の人手不足も最近の発表(*2)だと言えます。

2

rc.persol-group.co.jp


昨日のブログでは「自ら未来を語り、自ら未来を切りひらいていく学校」という言葉を紹介しました。OODAではないが(OODAについてはまた別記事で紹介)、まずは現状をしっかりと捉えることが大事かもしれない。

【書評】「未来を語る高校」が生き残る―アクティブラーニング・ブームのその先へ

立教大学に移られた中原淳さんが監修の本。6月10日に注文した。

未来を育てるマナビラボにおける4年間のプロジェクトのまとめとしての3冊目の本。アクティブラーニングの広がりを数値的に捉えて、さらにそれを進めるためのカリキュラムマネジメント(カリマネ)の重要性が説かれている。

「学校教育目標の実現に向けて、教育課程を編成・実施・評価・改善していくこと」と文科省に定義されているカリキュラムマネジメントでは、

  • 教科・科目横断的、統合的な取り組み
  • 目標達成に向けたPDCAサイクルの推進
  • 学校内外のリソース活用

が大きな3つの柱とされている。

本書では、これらに各学校がどのように取り組み、また問題点はどこにあるかということを全国から集められたデータとともに示しており、説得力がある。例えば、アクティブラーニングに取り組んでいる学校の割合やカリマネに誰が取り組んでいるのかなどが示されているので興味深い。

端的に言えば、本書は自分の勤務校の「次の一手」をどのようにすべきか考えるヒントを示してくれていると言えるだろう。また、前述したように、アクティブラーニングが「主体的、対話的で深い学び」と言葉を変えている今だからこそ、カリマネの重要性を示唆するこの本が示していることを考えるべきだと思われる。

また高校教育の「これから」として4点が示されている。特に高校が「接続機関」としてどうなるべきかということと「学習者集団の特徴や習熟、成長のプロセスを測る質的な評価の確立と、そうした評価に基づくマネジメント」の必要性ということが特に心に残る。

アクティブラーニング・ブームを超えて生き残る高校は、学びの問い直しに取り組み続けていく高校である。それは、「自分(たち)の教育活動の社会的意義を、自分(たち)で語れる学校」であり、「自ら未来を語り、自ら未来を切りひらいていく学校」であると言えるだろう(本書 p.186)

「自ら未来を語り、自ら未来を切りひらいていく学校」になれているかどうか、また問い続けていきたい。

Text Inspectorについて

CambridgeのText Inspectorは500語まで、テキストに含まれる単語がCEFRのどのレベルか分かるサイトで、とても便利です。

どのように便利かというと、テキストに含まれる語を

  • 「これは書けるレベルまで覚えさせたいな」(例えばA2など)
  • 「これは意味が分かればいいな」(例えばB1など)
  • 「これは注レベルだな(C2など)」

などと分けることが可能になります。

そのサイトはこちら(English Profileの中に含まれていますが、なぜかEnglish Profileのサイトからいくと動きません)。
languageresearch.cambridge.org

実際、WikipediaのSimple Englishの記事「Boston Tea Party」を入力すると以下のように結果が示されます。

f:id:karishima:20190623165405p:plain
Text Inspector 1

さらにその下に行き、各レベルのshow wordsを押すと、テキストに含まれる各レベル(B2、C1など)の単語を示してくれます。

f:id:karishima:20190623165531p:plain
Text Inspector 2

これを使えば、前述したように生徒のレベルによって

  • 「これは書けるレベルまで覚えさせたいな」(例えばA2など)
  • 「これは意味が分かればいいな」(例えばB1など)
  • 「これは注レベルだな(C2など)」

などと分けることが可能になります。

ただし、同じ語でも品詞によってCEFRのレベルは異なること、また特定の話題において頻度が高ければ、別にC2でも生徒には簡単になる。そのあたりの匙加減は教員が行うことが必要なことに留意して使いたいですね。

Fontの設定について

Fontの設定について、地元の新聞に投稿しました。お陰様でだいぶ職場や知り合いに関心を持っていただけたようです。

f:id:karishima:20190611053443j:plain
南日本新聞(2019.06.11)

もともとは下記のサイトがヒントになりました。
nlab.itmedia.co.jp


実はこの話には続きがあって、英語については下記のページが参考になります。この次のページの隠れ識字障害についても知っておくべきことかもしれませんね。
nlab.itmedia.co.jp



新聞の投稿には宣伝になるので、具体的なフォント名まで書けませんでしたが、ユニバーサルデザインのFontとは、実際にはモリサワのUDデジタル教科書体を意味していて、英語については、Sassoonを考えています。Windows10であれば、すでにモリサワのUDデジタル教科書体はインストールされているので使える状態にあります。筆者のMacについても、Office365なので、Wordでは使えるようです(ただKeynoteではこのFontは出てこないので、自分で購入する必要がある)。

Sassoonについては、ダウンロード版もありますが、購入する方法もあります。Sassoonとは専門家であるSassoon博士の名前から取られています。ちょっと調べたところでは、ダウンロードは以下からできるようですね。ただ開発には時間がかかっていると思いますので、購入した方がいいかなと思います。
www.wfonts.com

投稿にも書いたとおり、子供たちが目に触れるものについてのデザイン性についても、さらに理解を深めていきたいと考えています。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
まだ年賀状を書き終わっていませんが、今日はがんばりたい。
とりあえず、このエントリは広告を消すために書いています(^^;

今年もよろしくお願いします。