Amazon Pollyのこと。

ALTが帰国して音声が録音できなくて困っていたら、Amazon Pollyのニュースを見たので、確認したら、結構すごい。Amazon PollyとはText-to-speech、いわゆるTTSと言われるサービスで文章を音声で読み上げてくれるサービス。Pollyは数年前からあったことを記憶しているので、だいぶ進化していることになります(その界隈は3ヶ月が1年に相当すると言われるので)。

aws.amazon.com

簡単に言えば、自動音声再生だけど、間を例えば0.1秒とかで調整できるし、息継ぎもしてます! ざらっとしたところがあって、まだ機械音声だと分かるという感じもあるけど、うまくやれば全然わからない。聞いてみてください。まずはPollyのタグを付けたmanuscript。

<speak>
<amazon:auto-breaths volume="x-soft">
The Moon is Earth's largest natural satellite, and we usually see it, in the night sky.
The gravity on the moon is one-sixth of the Earth's gravity. So, you will be six times lighter on the Moon than on Earth. <break time="0.5s"/>
If you stood on the moon, the sky would look dark, even in the daytime, just because there is no air.
Now, it moves slowly away from the earth by about 4 cm per year, due to the effect of tidal forces.
</amazon:auto-breaths>
</speak>

で、音声はこっち。ほぼ自然に聞こえます。

Amy(UK): Dropbox - amy.mp3 - Simplify your life

Brian (UK): Dropbox - brian.mp3 - Simplify your life

Matthew(US): Dropbox - matthew.mp3 - Simplify your life


とりあえず、使い始めから1年間は無料(詳しくは自己責任で)。和歌山のFMが自動音声でニュースを流して年間1000円というのも分かる。ニュースなどの文章もプログラムで自動でまとめて、読みやすいように整形し、自動読み上げ(人間は何をするのだろう?)。

ちなみに、タグはここで探せます。
What Is Amazon Polly? - Amazon Polly

今日は、こんなところです。さりゅ!

Presentation Rubric

プレゼンのRubricをよく探すので、upしておこうプロジェクト。話すこと[発表]では、よくプレゼンをしますが、Rubricはいつもこれを使っています。Creative Commonsで"Attribution-ShareAlike 4.0 International"にしたので、どうぞご自由に変更ください。ただし、使ったらご自分でも同僚とかにシェアしてくださいね!

f:id:karishima:20190805111926p:plain
ルーブリック

www.dropbox.com

WordファイルはSassoon Primaryで作っています。
www.dropbox.com

高校生に聞きたいチコちゃん的質問 2019年編

高校生に聞くと、意外と知らない小ネタを書いていきます。(随時更新)

 

- なぜeleven、twelveだけ、−teenではないのか?

a compound of *ain "one" (see one) + from PIE root *leikw- "to leave."

--- https://www.etymonline.com/word/eleven

と言うわけで、eleven, twelveはone left, two leftという意味である。「指で数えたら、1余ったねー」的な単語。ここまで話すと、次はthirteenはなんで「3余ったね」じゃないの?という質問がくる。

13: Not an unlucky number in medieval England, but associated rather with the customary "extra item" (as in baker's dozen). Superstitions began with association with the Last Supper...

--- https://www.etymonline.com/search?q=thirteen

ちなみに時間にminute, secondとあるが、なぜsecondでfirstやthirdはないのか。"secunda pars minuta "second diminished part"の短縮形。minuteは"pars minuta prima "first small part" "で真ん中のminutaが残った。このminuteは「微小」を表すmaɪnjúːtに意味を残している。

 

ちなみにsecondは昔はotherを用いられていたが、other「他の」と紛らわしくなったので、secondが使われ始めた。The otherなどはその名残。スカンジナビア半島などの言語では(デンマーク語など)、2階のことをsecond floor と言わず、other floorと言う(anden)。the other dayはthe second day = tomorrowであったが、yesterdayと意味が代わり、現在のa few days agoとなった。oneとthe otherではなく、oneとsecondだったら、もう少しわかりやすかったかもしれない。

 

いかん、これ止まらないので、この辺でおわり。

 

- 日本語にサイレントレターはあるか?

knowのkのように読まない文字は英語ではたくさんある(Old/Middle英語では音にしていた。現在のoftenのtのように)。では日本語に黙字はあるか。答えはある。和泉、伊達などがそうだ。「和」「伊」はなくても良いが、中国の地名が2文字であることに倣う法令(二字佳名の詔, 713)があり、現在の表記になったと言われている(縁起の良い漢字に変わった事例もあり。木-紀伊)。鹿児島の頴娃も、「娃」は読まない。なお、お茶の伊右衛門の「右」も読まないが、これはWE-YE-Eと消失したと言われている。右衛門、左衛門はもともとは官名だが、「右」は音が消失し、「左」は音が消失していないのもおもしろい。cf.ドラえもん vs ぶりぶりざえもん。

 

- 「何ヶ国語話せますか?」の英訳は “How many languages do you speak?”か?

日本語の「何ヶ国語話せますか?」はやばい。英語を話せると少なくとも約20の国の言葉を話せることになる。 

---https://www.sheffield.ac.uk/international/english-speaking-countries

「何ヶ国語」という言葉の後ろには、「一つの国は一つの言語」的なunconcious biasが入っている気もする。インドや中国、アメリカなど大きな国になると、人々が使う言語が複数になるケースもある。言語の強さは経済の強さも影響することが様々なところで指摘されているが、気をつけたい。

ということで「何ヶ国語話せますか?」の英訳は “How many languages do you speak?”か?の答えはtemporalily Yesだが、答えは異なる。

 

 

神奈川県立国際言語文化アカデミアはすごい!その1

実は前から注目していたのですが、江原先生が勤務されている神奈川県立国際言語文化アカデミアという機関があります。

www.pref.kanagawa.jp

ここは結構すごくて、「高等学校英語教員のための定期テスト作成 簡易マニュアル 」も作成しており、何かと参考になります。
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ns2/cnt/f440038/documents/testmanual_revised2018june.pdf

まず注目すべきなのは、p4のテスト作成と評価のためのマトリクスです。
例えば、「聞くこと」の「話された内容を的確に聞き取る力」では次の4つを「問題の種類・評価の対象」の例としてあげています。

  • ディクテーション
  • 内容にかかわる Q&A(多肢選択/記述)
  • 内容を示す絵の選択
  • 表の完成

例えば、共通テストのリスニング問題では、上の「表の完成」が1つの問題となっているのは周知のとおりですね。このような各技能ごとの下位能力が表になって、わかりやすくまとまっています。

この他にも例えば「読むこと」なら、「まとまった英文の概要・要旨を読み取る力」が3つの評価例、「まとまった英文の重要な情報を読み取る力」がこれも3つ、「論理展開や出来事の順序を読み取る力」は6つに分かれています。それだけでなく、語彙・文法・コミュニケーションに関する関心・意欲・態度も項目化されています。まあ昨今の教育事情を読み取るに、これらのことを行なっていない場合はなんとなくこんな感じ?で作成していると思われるので改善の必要があるかと思います。カリマネ的に考えても、PDCAサイクルに載せられません。

テストを作るときには、どのような設計をするかがとても大事になりますが、その時の大事な指標を与えてくれています。テスト作成前にもう一度読み、デザインをしっかりして作成したいと考えています。

【書評】「高等学校における英語運用能力アセスメントの現状と課題 静岡県立公立高校のパフォーマンス・タスク分析」

今回は出口マクドナルド 友香理・福田 純也・亘理 陽一らによる「高等学校における英語運用能力アセスメントの現状と課題 静岡県立公立高校のパフォーマンス・タスク分析」(2019.03)を取り上げます。

shizuoka.repo.nii.ac.jp


本論文は、表題にあるとおり、静岡県の公立高校のいわゆる「パフォーマンステスト」の現状を分析したものであり、とても興味深く読みました。

まず、技能については、ほぼ半数がライティングであり、プレゼンテーションが30%、やりとりが16%であることが示されています(p.166)。また、ライティングタスクはほぼ1つの形式であったこと、ルーブリックの曖昧さ、などが指摘されていました。さらに「書いたものを覚えて発表する」とする形式が多かったこと、インタラクション形式は「Show and Tell」が多かったことが指摘されており、示唆的だと思いました。

1つ心に残ったのは、以下の取り組みの紹介。おそらく、ユニバーサルデザインのレッスン後の活動だと思いますが、素晴らしい授業デザインだと感じました。ペアで取り組んでも良いし、先生に対するプレゼン形式で先生とのやりとりでもいいですよね。

続きを読む

外国人伸び率

少し古い記事ですが、日経新聞が外国人伸び率を示しています。

vdata.nikkei.com

記事によると、全国では2009年 「112人に1人」が2018年「46人に1人」と倍増。また食料品製造では11人に1人が外国人労働者とのデータが出ており、10人に1人。東京では、もはや18人に1人が外国人のようです。

鹿児島で見てみると、なんと伸び率は3位。2018年現在で、117人に1人が外国人ですね。グローバル化が進んでいるかどうかはよく話題になっており、例えば英語教育関係では寺沢氏の本がよく話題に上がります。2015年の発売の本書では、人口によく膾炙する「グローバル化」という言葉の真実を明らかにしようとしています。

www.amazon.co.jp


が、時代は変わっているのもまた事実。例えば、GAFAが強くなってきたのはここ数年(*1)だし、パーソル総合研究所が示した2030年に650万人の人手不足も最近の発表(*2)だと言えます。

2

rc.persol-group.co.jp


昨日のブログでは「自ら未来を語り、自ら未来を切りひらいていく学校」という言葉を紹介しました。OODAではないが(OODAについてはまた別記事で紹介)、まずは現状をしっかりと捉えることが大事かもしれない。

【書評】「未来を語る高校」が生き残る―アクティブラーニング・ブームのその先へ

立教大学に移られた中原淳さんが監修の本。6月10日に注文した。

未来を育てるマナビラボにおける4年間のプロジェクトのまとめとしての3冊目の本。アクティブラーニングの広がりを数値的に捉えて、さらにそれを進めるためのカリキュラムマネジメント(カリマネ)の重要性が説かれている。

「学校教育目標の実現に向けて、教育課程を編成・実施・評価・改善していくこと」と文科省に定義されているカリキュラムマネジメントでは、

  • 教科・科目横断的、統合的な取り組み
  • 目標達成に向けたPDCAサイクルの推進
  • 学校内外のリソース活用

が大きな3つの柱とされている。

本書では、これらに各学校がどのように取り組み、また問題点はどこにあるかということを全国から集められたデータとともに示しており、説得力がある。例えば、アクティブラーニングに取り組んでいる学校の割合やカリマネに誰が取り組んでいるのかなどが示されているので興味深い。

端的に言えば、本書は自分の勤務校の「次の一手」をどのようにすべきか考えるヒントを示してくれていると言えるだろう。また、前述したように、アクティブラーニングが「主体的、対話的で深い学び」と言葉を変えている今だからこそ、カリマネの重要性を示唆するこの本が示していることを考えるべきだと思われる。

また高校教育の「これから」として4点が示されている。特に高校が「接続機関」としてどうなるべきかということと「学習者集団の特徴や習熟、成長のプロセスを測る質的な評価の確立と、そうした評価に基づくマネジメント」の必要性ということが特に心に残る。

アクティブラーニング・ブームを超えて生き残る高校は、学びの問い直しに取り組み続けていく高校である。それは、「自分(たち)の教育活動の社会的意義を、自分(たち)で語れる学校」であり、「自ら未来を語り、自ら未来を切りひらいていく学校」であると言えるだろう(本書 p.186)

「自ら未来を語り、自ら未来を切りひらいていく学校」になれているかどうか、また問い続けていきたい。