2019年に買って良かった本シリーズその2です。
中田達也さんの「英単語学習の科学」です。主に教員向きだと感じました。Paul Nation氏に師事されただけあって、勉強になります。軽い気持ちで購入したのですが(!)、思わぬ収穫が多かったと感じています。
特に心を惹かれたのは、第2章、第5章、第6章以降、第20章です。以下レビューします。
第2章
まず気になったのは、第2章です。タイトルは「覚えるべき英単語の見分け方」。出現頻度の高い語(高頻出語)は覚えるべきとされていますが、単語を覚えるためには、その語に何回出会うべきかなどが書かれています(同時に高頻出語なら、偶然出会うには何万語読む必要があり、低頻出語なら何万語読む必要があるかなども言及されています)。また、レベルを見分けるためのBNCコーパスやSVLなどが、便利なWebサイトとともに紹介されています。またAWLなども紹介されており、お役立ち情報満載です。
第5章
また、第5章以降もとても興味深く読みました。まず第5章ですが、単語テストの効果についてです。特に「テストを受けること自体に学習効果があり、テストは非常に効果的な学習法であることが明らかになってきた」という言葉にぐっときました(^^;。この章では、繰り返し学習と繰り返しテストではどちらが効果があるのか、どのような覚え方が効果的なのかという点が、研究結果とともに紹介され、とても説得力があります。教師なら一読の価値ありです。また、「深い理解」についても触れられています。英語教育マニア(って誰やねん!?)なら、「え、まだ読んでないの?」なんて言われるかもしれません。
第6章以降
6章以降は、テストや学習について教師がよく考えることが並んでいます。例を挙げると
- どのような学習スケジュールが好ましいのか
- 1回に何語ぐらい覚えるのが良いのか
- 最適の復習間隔とはどのくらいか(1週間、1ヶ月?)
- 関連語(例えば、January/Februaryやincrease/decrease、happy/gladなどの同意語や反意語などは一緒に覚えるべきかなど)
- 語源を覚える効果はあるのか
- 単語カードは役に立つのか
- テストをするなら単語を書かせる問題と4択などで選ばせる問題はどちらが効果的か
などなど、英語教師なら知りたくなる項目がこれでもか!と並んでいます。憎いつくりですよね!
第20章
さらに最終章の「適切な表現を探す方法」にもぐっと心を惹かれました。
この内容を最終章にもってくるとは、なかなかの策士です。あるWebサービスの紹介なのですが、例えば
- driveとrideのあとの目的語はどう異なるか、
- bigの後に来るけど、largeの後には通常あらわれない名詞とlargeの後に来るけど、bigの後には通常あらわれない名詞とはそれぞれ何か
などなど、答えが見つけられるwebサービスが紹介されています! これは、便利ですし、実際結構遊べます。そのサービスについて知りたい方は、ぜひこの本をお読み下さい(^^;。
振り返ってみると、1800円の価値が十分にある本だと感じました。良かったです。
今日はこんなところです。さりゅ!