語彙の定着について考える

(下記の文章は割と前に書いた文章に加筆しました。元ネタはhttps://ciee50.jp/toefl/webmagazine/takers-seminar/1906/
※加筆しました(Oct 24)。

1.覚えたい語句は何回処理すべき?

ライフハッカーを読んでいたら、次の文章に目が止まりました。
「ハーバード教育大学院のNonie Lesaux教授によれば、子どもがある言葉とその意味を理解するには、その言葉を13~15回、タイミングと文脈を変えて見聞きする必要があるそうです」
子どもの語彙力を高める方法|反復と文脈を意識しよう | ライフハッカー[日本版]


で、ほんとかなーと思い、原典を探す旅に出ました(ライフハッカーを出典としてもいいけど、念のため。ライフハッカーは好きだけど)。

まずNonie Lesaux教授と書いてあるのだから、その名前とexposure 13 15と入れてぐぐります。Hitされたのを見ましたが、あまり効果なし。で、ちまちまと色々とクリックし、最終的に次のpdfにたどり着きました。
https://www2.ed.gov/about/inits/ed/lep-partnership/interventions.pdf?fbclid=IwAR3w_8rMTEppj2ukh0lfGqXLmachSJPjd8z1ZDTv0oce6Hmccd2d-2TPi5A


んで、20ページに次の文章を発見です。

it is the academic language of middle and high school classrooms and texts that prove most difficult for ELLs and in spite of the fact that ELLs—and their classmates—need between 12 and 14 exposures to a word and its meaning, across multiple contexts (different texts, classroom discussions, writing activities), in order to gain deep understanding of a word.

・・・12から14回と書いてある。あらーという感じですね。以前もWorld Economic Forumの間違いを指摘しましたが、孫引き(誰かが書いたことを読んで、また他の記事が書かれている場合)によく起こっているようです。

閑話休題

で、ポイントは授業中に12-14回出会わせる方法が大事に成ります。評価問題を作成するときに難しい語彙について、「一回教えましたよ(だから、大丈夫)」「教科書に出てきました(ので大丈夫)」というコメントには違和感を覚えていて、一回教えたから覚えているというのは、幻想に過ぎないと僕は感じています。そんな楽な話があったら、警察はいらないですよね。

ではどのようにして生徒に10数回その語句を処理させるか。いくつか考えてみます。

2.語彙の選択

まずはどの語彙を覚えさせるか考える必要があります。認知語彙と使用語彙にまずは分けるといいですよね。このとき、English Profileのサイトが使えます。このサイトでは、CEFRレベルを分けることができます。基本的には、B1までだとできれば使用語彙に、それ以上の場合は認知語彙に、C1を超えたら注釈をつけてあげようという感じです。注釈をあげる語句については、授業だったら、先に意味を教えてあげる語彙です。単語を辞書で引くべき語句は認知語彙や使用語彙に限定してもいいかもしれませんね。なお、CEFRでレベルが高いとされていても、日本の入試などの文脈では割と見るよねということもあるので、最後は教員のさじ加減となると思います(なお、CEFRタグ付けはデフォルトでは、writingになっているので、readingの場合は、本家Text inspectorで確認した方がいいのではないかと高知県の松田先生より指摘をいただきました。)
arishima.hatenadiary.jp


3.認知語彙

認知語彙を増やすのに適した活動は? 普段やっているのは下の活動です。

  • Matching game:語句とその意味を左右に書いて、線をひいてマッチングさせる活動。
  • Word Hunt:英語で定義を与えて、その語句を教科書の本文から探して下線を引かせるか、単語を書かせる活動。
  • Cloze問題:本文に空所を開けて、その空所に何が入るか選択肢から選ぶ活動。
4.表出語彙

では表出語彙を増やすのに適した活動は? いくつかあげてみます。

  • Quick Writing:となりの人と何回その単語をかけるか競争する。割と生徒ははまる。
  • Cloze問題:本文に空所を開けて、その空所に何が入るか考えながら音読/Shadowingする。音読の場合も時間制限を与える。
  • 置換モード:静哲人先生の「大技・小技」(https://amzn.to/2pJWJLC)にある活動。英文に日本語訳を組み込み、音読させる。
  • 図表モード:教科書本文を図表(グラフィックオーガナイザー)で表して、それで内容を英語で説明させるが、使うべき語彙を図表に書き込む。で、その語彙を表出語彙にする。生徒の話す内容は、先生がする手本のコピーで構わない。練習するとだんだんと自分でもできるようになっていく。
5.プロジェクト型もいい。

とはいっても、上はまだ守破離の「守」。本当に英語を使うには、それではダメで、生徒がなんども話したり書いたりする仕組みを取り入れた方が学習効果が高いのではないかと考えます。どのような活動があるでしょうか。

  • ポスター発表:教科書と同じ内容の他のことでポスター発表させる。使うべき語彙を指定すると早いが、例えばCarbon dioxideやemitなどは環境の話では結構出てくるので、生徒は自然とその語彙を使ったり、聞いたりする。
  • 即興ディベート:テーマによって語彙が割と決まるので、最初から単語リストを配布しておく。その中に、覚えてほしい語彙を入れる。
  • 多読、多聴:たくさん読んだり聞いたりすると、よく出てくるフレーズなのが腑に落ちるようになってきますよね。詳しくは、書物で!(え?)
6.まとめ

書くのが疲れたのでこれで終わりですが(え?)、語彙学習についてもいろいろとありますね。今日はこんな感じでしょうか。さりゅー!

引用文献は下。この本面白そうなので、ちゃんと読んでみたいです。
Francis, David & Rivera, Mabel & Lesaux, Nonie & Kieffer, Michael & Rivera, Hector. (2006). Research-Based Recommendations for Instruction and Academic Interventions. Practical Guidelines for the Education of English Language Learners. Book 1 of 3. Center on Instruction.

思考力・判断力・表現力を考える。

「大学入学者選抜改革推進委託事業成果報告会の開催について」という文部科学省のサイトで、「思考力・判断力・表現力」をどう出題するかが検討された状況が発表されています。読んでいくと「思考力・判断力・表現力」の定義をどう考え、評価していこうととしているかということが分かります。

国語

まず国語では北海道大学がまとめていますが、次の表のようにまとめています。縦軸が問題形式で、横軸が知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力に分けられています。「思考力・判断力・表現力」にあたるのは「情報抽出・内容解釈・文章表現・心情理解・主張推測・仮設形成・知識思考・共感説明・思考発展」となっています(が、それぞれが何を指すのかまた確認が必要ですね)。

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国語

この文書では、さらにスライド13でまだ出題されていない範囲が掲載されています。このマトリックスからまだ見たことのない問題が作成可能というわけです。

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出題されていない範囲(国語)



なお、私見ですが、筆者のこれまでの経験では、英語の問題作成において「本文からはっきりと分からないことは出題しても良いか」ということは頻繁に話題にあがっています。国語科の先生と話をすると、「最適なものを選ぶ」問題では出題しているとしています。上記にもありますが、文章を「読んでまとめる」「次の行動を予測する」「心情を理解する」などは本文に書かれていないことが多いので、「推測する」ということを評価する上では、今後は「書いていないが、多くの人はこう考える」ということが正解となっていくのかと考えています。

理数

次に理数分野です。思考力・判断力・表現力に関して直接まとめられたスライドはなかったように感じられたのですが、次のように場面に応じて評価することができるとした選抜方法例を示しています。これを見ると、例えば思考力は主にグループワークで、知識は調査書や研究論文で見ることができるとされています。AO入試や推薦入試(来年から名称が変わりますが)などではこのように総合的に評価されることも可能ということです。これらの力をどの場面で育成していくかということに興味があります。

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理数分野

情報

情報の分野はとてもおもしかったです。「思考力・判断力・表現力」はBuzzwordであると明言し、便宜的定義を作成しています。個人的にはこのように分類して形成するのが好きなので、楽しく読みました。引用するとあまりにスライドが多くなるので、リンクを貼ります。

概要:情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発
定義:思考力・判断力・表現力の評価方法と情報科への適用
作問例:思考力・判断力・表現力を評価する問題作成手順

例えば、表現力を見てみると、次のような文章があります。

(Ex) Expression . (与えられた基準において有用な) 表現を構築/考案/創出する力。
基準としては、次のものが考えられる。
・日本語記述としての適切性(内容が過不足ない、把握しやすい提示順序、適切な接続関係の採用など)。
(以下略)
・出典:情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発

これを英語に応用すると、以下のような問題が作成できます。これであれば、PREP形式に述べることがわかっているかどうか(表現力)について知識を持っているかどうか問うことができます。

以下の2つのグラフについて、A君はデータを引用しながら自らの意見を述べようと考えています。説明がもっとも聞き手に分かりやすくなるように、AからFの英語での説明を並べ替えて、その順番を記号で書きなさい。

また問題作成例も楽しいです。文書から引用します。

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作問例(抽象から具体へ)

これまでも英文に下線がひかれ、あてはまる例を選んで答える問題は出題されていました。このように分類され、どのような思考力を問う問題なのか示されると、より明確にCan-doなどと絡めた出題が可能になります。

まとめ

以上、授業や評価問題の作問についてのヒントがかなりあると感じました。様々な分類はとても参考になります。一度しっかりと各教科の視点や概要をまとめて、どのような発問が可能なのか考えてみたいと思います。なお、なぜこの中に「外国語」がないのかという疑問が浮かびますが、またそれは別の機会に探ってみたいと思います。

話題について

新学習指導要領では、「日常的な話題」と「社会的な話題」というのが多く出てくる。でも、日常的な話題と社会的な話題って一体なんでしょうか。

困った時には、解説だよねってことで、解説をみてみます。
www.mext.go.jp

まずは小学校の「外国語活動・外国語」の解説から。定義がp.15に載っています。

中学校の外国語科では,「日常的な話題や社会的な話題」としており,これらは生徒の日々の生活に関わる話題や社会で起こっている出来事や問題に関わる話題のことを指している。

簡単に書くと、

日常的な話題=生徒の日々の生活に関わる話題
社会的な話題=社会で起こっている出来事や問題に関わる話題

とされています。まあまあ常識的な定義ですね。(社会的な話題については、広く国内外で起こっている事象で,多様な考え方ができるようなものを取り上げる、とも書かれています。。=中学校学習指導要領解説 p.28)


では、具体的には何なのか。「話題」というキーワードを抽出し、調べていきます。

【日常的な話題】

  • 休日に動物園で見た動物やその数について (小学校, p.30)
  • 児童や指導者自身の洋服の色 (小学校, p.30)
  • 「挨拶」,「自己紹介」,「買物」,「学校生活」,「遊び」,「日常生活」,「食事」など自分や身近な話題 (小学校, p.44)
  • 生徒にとって身近な学校生活や家庭生活などにおけるもので,具体的には,例えば学校行事における係分担の説明や持ち物等の連絡,天気予報,交通情報などが考えられる。(中学校, p.18)
  • 具体的には,例えば最も思い出に残っている学校行事や自分の好きなことなどが考えられる。(中学校, p.19)
  • 具体的には,例えば学校での予定,製品の取扱い方などである。(中学校, p.20)
  • 具体的には,例えば外国の中学生が紹介する学校生活のことやALTが旅行中に体験したことなどである。(中学校, p.20)
  • 「関心のある事柄」として,スポーツ,音楽,映画,テレビ番組,学校行事,休日の計画,日常の出来事など,身の回りのことで生徒が共通して関心をもっていることを扱う(中学校, p.22)
  • 生徒自身や家族に関すること,生徒の興味・関心の対象となることや社会生活で必要なことなどである。(中学校, p.23,25)
  • 「関心のある事柄」とは,「話すこと[やり取り]」アと同様,例えば,スポーツ,音楽,映画,テレビ番組,学校行事,休日の計画,日常の出来事など,身の回りのことで生徒が共通して関心をもっていること(中学校, p.24)
  • 具体的には,例えば,基本的で個人的な情報から始まり,住んでいる場所や部屋の様子,行きたい場所,家族や友人,所有しているもの,好きな動植物や飼っているペット,学校生活や家庭生活における出来事などが考えられる。(中学校, p.27)
  • 例えば,ある人物の生い立ちを聞き,そのあらましを把握し,主な出来事をほかの生徒に伝える,修学旅行先を考えるディスカッションを聞き,メモを基に各生徒が述べた場所とその理由をまとめて説明したりする,あるいは,「中学校生活で最も思い出に残っていること」や「中学生全員が部活動に入るべきか」などのテーマについて数人のスピーチを聞き,主な発話内容を整理して話したりする,といったことが考えられる。(中学校, p.57)
  • 例えば,簡単な語句や短い文で書かれたスポーツクラブのパンフレットを複数示し,自分が通うことのできる曜日に自分が体験したいスポーツを実施しているクラブはどれなのかを探させるなどの活動が考えられる。(中学校, p.59)
  • 学校での出来事や地域の行事,体験したことなど様々な事柄 (中学校, p.63,64)
  • 学校生活や趣味,週末や長期休暇の出来事や計画などの生徒の身近な暮らしに関わる様々な話題 (中学校, p.64)
  • 学校行事や部活動,休日の過ごし方など,具体的で関心が高く,想起しやすいものを主に設定し (中学校, p.67)
  • 生徒の身近な暮らしに関わる場面・家庭での生活・学校での学習や活動・地域の行事など(中学校, p.70)

【社会的な話題】

  • 「社会的な話題」とは,社会で起こっている出来事や問題に関わる話題のことで,具体的には,例えばエネルギー問題や国際協力などが考えられる。(中学校, p.19)
  • 具体的には,例えば自然環境問題や平和問題などが考えられる(中学校, p.21)
  • 「社会的な話題」とは,「聞くこと」ウや「読むこと」ウにおける社会で起こっている出来事や問題に関わる話題のことであり,広く国内外で起こっている事象で,多様な考え方ができるようなものを取り上げる。具体的には,例えばエネルギー問題や環境問題などが考えられ,(中学校, p.24)
  • 具体的には,例えば他教科等でも扱われる自然環境,世界情勢,科学技術,平和などの話題が考えられ(中学校, p.28)
  • ラジオなどのはっきりと話される英語のニュースを聞いてその中の重要な情報を聞き取るといった,「社会的な話題」(中学校, p.57)
  • 環境問題,世界情勢や平和に関する様々な状況,人権問題,科学技術の発達,自然との共存,社会貢献などを扱う(中学校, p.69)
  • 例えば,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用することの利点や問題点についての説明などが考えられる。(高校, p.44)

これをさらに分かりやすく並び替えてみると、以下になります。まずは日常的な話題から。
 
【日常的な話題】

  1. 自分のこと:自己紹介、 自分の好きなこと、 行きたい場所、 好きな動植物、 所有しているもの、 体験したこと
  2. 身の回りの人:家族、 家庭生活、 友人
  3. 日常生活に関すること:映画、 洋服、 買物、 趣味、 遊び、 音楽、 食事、 飼っているペット、 動物
  4. 休日、旅行:休日の計画や過ごし方、 旅行中に体験したこと
  5. 学校生活: 学校行事、 部活動、 住んでいる場所や部屋、 地域の行事
  6. その他:スポーツ、 製品の取扱い方、 テレビ番組、 交通情報、 天気予報(この、「その他」は社会的な話題にも近い気もしています)

 

【社会的な話題】

エネルギー問題、 世界情勢、 人権問題、 国際協力、 平和、 環境、 社会貢献、 科学技術、 自然との共存など。

この社会的な話題については、SDGsとほぼ同じと考えて良いかもしれません(SDGsは、貧困、飢餓、健康・福祉、 教育、 ジェンダー、 水と衛生、 エネルギー、 経済成長と雇用、 インフラ、 平等、 都市、 消費と生産、 気候変動、 海洋、 森林、 公正、平和かつ包摂的な社会、 グローバル・パートナーシップなどです)。詳しくは下記を。
www.unic.or.jp


 
話題については、中高生のための英語スピーキングテスト「HOPE」では、話題のレベルを以下のように扱っています。

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話題のレベル
 
また、R. Ellis(2003)には話題についての図が載っています。これらにことに当てはめながら、もう一度また整理したいなーとか思います。

今日はこんなところです。さりゅ!

-sのCEFR上でのレベルについて

松本先生のfacebookをみていて、三単現の-sについて話題が出てきたので、EGPで確認しました。

EGPって何?それ、おいしいの?という人は下記をご覧ください(それってもしかして、EGG!?)。
languageresearch.cambridge.org

三単現の-s

とは言ったものの、EGPでverb agreementがすぐに出てこなかったので(しくしく)、いろいろと探してみました。結果として、以下のpdf上で見つかりましたが、結局はEnglish Profileなので、まあ良しとしましょう!

この文書のp.30の3番目に以下のように掲載されています。

"Table 11: Error types that improve significantly between C1 to C2 levels"
Verb Agreement
When the verb is correct and the form of the verb is valid but wrong in the context because it does not agree grammatically with its coordinates, it is a Verb Agreement error.
(例: C1の人のerror例)
Something which grows in popularity are the solar cells. (is) The world have changed. (has)

やはりこれを見ると、主語と動詞の一致は、C1とC2の間でerrorがかなり(significantに!)減る例として載っていますので、習得するには、かなり高いレベルが必要であることがわかります。ま、そりゃそうですよね。

所有の-'s
  • sつながりで、EGPで所有の-'sもついでに探してみました(^^)/。

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EGP結果

確認したところ、これもA2からC2に分布していることがわかります。A2レベルだとmy sister's jacketあたりのレベル。ちょっと面白いのは、irregular plural noun + -'s がB1で、(regular) plural noun + -'s がB2だということ。例として挙がっているのは、下記でした。

B1: children's school
B2: my parents' house

B2は2番目のsが省略される例だけど、レベルとしてはB2だということに留意でしょうか。学習者が自由に使えるようになるのには時間がかかることがわかります。

最後のC2では、省略や2個続くもの。例として挙がっているのは、I heard a familiar voice; it was my father's. やAnn 's mother's albums。このあたりも実際は難しいと思います。省略は、writingにおいてレベルが高い生徒でないとできないですね。

まとめ

理屈が簡単だからと言って、習得に時間がかからないというのはまた異なります。L1移転がない分、かなり習得に時間がかかるというのは様々な論文で指摘されています。三単現の-sは、ルールとしては最初に習いますが、エラーが減るのはC2レベルであり、スピーキングではほぼ間違いが散見されるレベルではないかと思います。実際、根岸先生らの論文(http://www.arcle.jp/research/books/data/html/data/pdf/vol8_3-2.pdf?fbclid=IwAR0aSFo1Eo0o40MfwR3chaoC7ZuYkXmVzGNGRM1RBFPfkm46XyR1hZbduPc)にある方法でテストを作り、時間制限を短くしたり、認知能力を必要とされる文法機能をからませたりすれば、間違いが散見されるのではないかと思います。

以上、なかなか難しい話でした。さりゅ!

読むときに私たちが読むべきこと。

最近、いろいろとお願いごとをされますが、いまチャレンジングだなーと感じているのは「探究」的な授業とは?という問いに答えることです。で、近頃で一番Excitingだったのは田村先生の講演でした。「深い学び」についての説明がわかりやすかったです。

田村先生の講演は、こちらで見ることができます。「人に一番近いのは、チンバンジーでしょうか。オラウンータンでしょうか。ゴリラでしょうか。またなぜそうだと言えますか?」という問いのある中学校3年生の理科の授業について説明しています。さて、どれでしょう? 下の動画の5分ぐらいから「深い学び」と結びつけて説明があります。

www.youtube.com

講演中では、田村先生は「熟考」という言葉を何回か使用されましたが、個人的には新鮮な感じのするターム(用語)に感じられたので、調べてみました。すると、どうもPISAの読解力にあるreflectionの訳のように使われていることがわかってきました。

下のリンクは河合塾のサイトの記事ですが、3枚目の上の表に「熟考」という文字が見えます。

https://www.keinet.ne.jp/gl/08/04/pisa.pdf

従来発表の際に、生徒同士が持ちうるGapは3つあることを示してきました。

  • Information Gap
  • Opinion Gap
  • Reasoning Gap

この3つです。でも、どうも有元先生の著書や記事をみていると、日本の国語の授業ではReasoningがテキストにあるのではなく、個人的な考えなどの曖昧なものにあることが多いようです。上の記事にもあるように、テキストの中にあることを根拠としていろいろと意見を述べたりする授業にしていかなくてはならない。でも、その納得度を以下に上げるかというのも1つの焦点になりそうだと思いました。

田村先生の話のなかでは、これまでは教師目線で「何を教えるか」が注目されていたが、これからは学習者目線で「何を学んだか」が焦点化されるということも合わせて示されています。同じことを示されていても、人は受け取ることが異なるのは普段から感じていますが、受け取ることとその上での意見、それがどう深まるかがReadingの授業では大事かなと思います。よく深いことは英語では言えないといわれることもありますが、日本語では言いにくいことも英語では言えるのもまた真実。もう少し、この辺りの思考を深めたいと思います。

今日はこんなところです。さりゅ!

リーディングやリスニングの前のスキーマ形成について

ReadingやListeningをやる前に、生徒のスキーマ形成を行い、readinessを高めることが有効だとよく言われます。例えば、topicを紹介したり、keywordを先に教えたりしましょうと言われますが、さて、キーワードは何かな、どうやって示そうかなとか考えますよね? え?考えない? 僕は考えます(^^)/。

しかしなかなかキーワードを考えたり、導入するときの質問とか考える暇ないよー、となるのがときの常。

そこで、思いついたのが、Tag clouds。よく考えたら、結構自動でキーワードをまとめて、視覚的にシャレオツでナイスな(死語!?)ものを作ってくれるサイトがあるじゃないですか、山本さん!!(誰!?)

で、そんな便利なtag cloudsでナイスな画像を作って印刷したり、PPTで見せたりして「どんな話でしょうか!?」と聞くのが正解なのでは?と思った次第です。ついでに大きなフォントの単語でわからないのがあったら最初に生徒に質問できるし、また再びどんな話かなーと聞けるしね。

そこで、今回はそんなサービスを二つ。

まず英文を用意しましょう。そう、今日は著作権フリーでみんな幸せVOAから引用します。

learningenglish.voanews.com

で、このサイトの英文をコピーします。

そこで、まず1つ目のサイト。
Word Cloud Generator

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1つ目のサイトの例

下の四角のところにテキストをいれて、その下にあるのをいろいろといじってGO!を押すだけ。あとは、画面キャプチャして、Wordなどに貼り付けといった感じです。

2つ目は、これ。個人的にはこっちが好みです。
Edit word art - WordArt.com

f:id:karishima:20190804082718p:plain
2つ目のサイト例

こっちはもう少し自由がきいて、色んな形に作れたり、色を指定したりできます。サイト上ではマウスオーバーでその単語を目立つようにできるので、こっちが楽しそう。

で、あとは、これを見せて、最初に書いたように、「どんな話をこれから扱うでしょうか? What kind of story are you going to listen/read from now on?」と聞くと、あら、不思議。スキーマの活性化に繋がるじゃないですか!、山本さん!!という話です(だから誰やねん!?)。

いかがでしょうか。

今日はこんなところです。さりゅ!

Amazon Pollyのこと。

ALTが帰国して音声が録音できなくて困っていたら、Amazon Pollyのニュースを見たので、確認したら、結構すごい。Amazon PollyとはText-to-speech、いわゆるTTSと言われるサービスで文章を音声で読み上げてくれるサービス。Pollyは数年前からあったことを記憶しているので、だいぶ進化していることになります(その界隈は3ヶ月が1年に相当すると言われるので)。

aws.amazon.com

簡単に言えば、自動音声再生だけど、間を例えば0.1秒とかで調整できるし、息継ぎもしてます! ざらっとしたところがあって、まだ機械音声だと分かるという感じもあるけど、うまくやれば全然わからない。聞いてみてください。まずはPollyのタグを付けたmanuscript。

<speak>
<amazon:auto-breaths volume="x-soft">
The Moon is Earth's largest natural satellite, and we usually see it, in the night sky.
The gravity on the moon is one-sixth of the Earth's gravity. So, you will be six times lighter on the Moon than on Earth. <break time="0.5s"/>
If you stood on the moon, the sky would look dark, even in the daytime, just because there is no air.
Now, it moves slowly away from the earth by about 4 cm per year, due to the effect of tidal forces.
</amazon:auto-breaths>
</speak>

で、音声はこっち。ほぼ自然に聞こえます。

Amy(UK): Dropbox - amy.mp3 - Simplify your life

Brian (UK): Dropbox - brian.mp3 - Simplify your life

Matthew(US): Dropbox - matthew.mp3 - Simplify your life


とりあえず、使い始めから1年間は無料(詳しくは自己責任で)。和歌山のFMが自動音声でニュースを流して年間1000円というのも分かる。ニュースなどの文章もプログラムで自動でまとめて、読みやすいように整形し、自動読み上げ(人間は何をするのだろう?)。

ちなみに、タグはここで探せます。
What Is Amazon Polly? - Amazon Polly

今日は、こんなところです。さりゅ!