オンライン授業に関するリンク

オンライン授業に役立つリンクをまとめました。

オンライン授業について関するリンク

まとめサイト的なもの

オンライン授業については、以下のサイトが参考になります。
(1)学校のオンライン化を進めるための7つのステップ|Manabie(マナビー)公式|note

学校全体で取り組むときの問題や、FAQ(よく聞かれる質問)など詳しいです。参考になります。

(2)オンライン授業をやってみる - Google ドキュメント

大学の授業ですが、実際の指導案も載っていて参考になります。

(3)授業をオンライン化するための10のポイント | オンライン授業実践ガイド | 私たちの取り組み | 大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部

自分の最初のエントリにも共通するものがあります。

(4)How To Teach Online - Free course on FutureLearn

オンラインで教えるための、集中講義です。無料です。

(5)オンラインzoom研修を成功させるための17の視点〜2日間の研修をzoomでやり切って見えてきたこと〜|しむしむさん(志村智彦/zoom研修プロデューサー)|note

授業ではなく、研修についてのサイトですが、講義やグループ討議などがそれぞれどのような価値をもっているのか、また、自分と聞き手の環境のチェックリストなど、参考になります。

実際にやった人のもの

(1)授業動画に使うスライドを作っていて気づいたこと|たなか じゅうごう|note

田中先生のnoteです。丁寧にされています!

ツール関係

(1)Zoomだけじゃない。無料で使えるビデオ会議アプリ徹底比較……Teams、LINEのメリット・デメリットとは | Business Insider Japan

無料で使用できるオンライン授業アプリの比較記事。役立ちますね。zoomで40分やって、あと宿題ね(または復習ねー)でも良さそうです。

(2)Zoomパーフェクトマニュアル | オンライン化であなたのビジネスを革新する / ZOOMアカデミージャパン

zoomの使い方

(3)つかい方ガイド : LINE OpenChat 公式ブログ

LineのOpen Chatの使いかた

評価関係

(1)授業タイプ別「共通ルーブリック」(学内スタンダード)

講義型・演習型・課題研究型など、授業タイプ別にルーブリックが公開されています。まず、これを自分の授業・単元にあわせて生徒にわかりやすく作り、どこまでできればいいのか示してから授業を行うと、生徒にも何をすればいいのか分かるので、いいと思います。

オンライン授業のやり方

オンライン授業についてどんなことを考えて、どんなアプリを使ってできるのか、考えたことを書きます。なお、このサイトで書いていることは、あくまでも個人的に使えそうだなと思っていることをまとめている個人のサイトに過ぎないのでご注意下さい。また、オンライン授業については、毎日情報がアップされて便利なことも紹介されますので、適宜updateする予定です(4/21追加記述あり)。なお、このエントリは前エントリのスピンアウトですので、前エントリもあわせてお読みください(ここをクリック)。

始める前に

準備

まずは準備が大切です。まず、オンライン授業では、必ずバックワードデザイン(後向き設計)が必要になります。そう、前向きでも後向き設計です!(このギャグ、いらん)。

目標と評価基準を作ろう

オンライン授業では、まず授業の目標を普段の授業よりもはっきりとさせる必要があります。生徒は目の前にいないし、時間も50分とは限らないので、その授業を通じて、学習者が何を身に付けるのかをはっきりさせます。具体的には、「知識・技能」よりも「思考・判断・表現」を中心に書くと良さそうです(思考・判断・表現をゴールにすると、それを達成するのに必要な「知識・理解」を学習者は自然と何度も使います)。このあたりを詳しく知りたい方は、「インストラクショナル・デザイン」(ID)と「責任の移行モデル」を検索されてください(一番下に参考図書を加えています)。

目標例(英語の授業の場合)
  • G1: L5 part1の別表の語句リストについて理解し、記憶している。
  • G2: L5 part1の本文に関する次の事実質問(5W1Hなどの質問)に答えることができる。
  • G3: L5 part1の本文に関する次の推論質問(ある程度行間を読む質問)に答えることができる。
  • G4: L5 part1の本文について、次の4コマの絵を見ながら説明できる。
ルーブリック例(上の授業の目標3(G2)の場合)
  • a: ほぼ全ての質問に適切に答えることができる。
  • b: 8割の質問に適切に答えることができる。
  • c: 8割未満しか答えることができない。
授業の手順(procedure)を決める。

以上のような感じで、目標と評価基準を決めます。このように目標等を先に決めると、学習者に何を学ばせたいか、どのように学ばせるか、どう評価するかということが決まってきます。特にオンライン授業では、どのように学ばせたいか(=説明やモデルを聞く部分か、協働学習か、個別学習か)をここで設計できるので、先に目標を決めることがとても大切になってきます。また、今年度中に何度か休校になったとしても(ならない方がいいですが)、何が生徒ができたら学んだと言えるかと説明できるようになるので、とても大切だと考えています。特に休校中でも、単位を出す必要がある場合は、この点が非常に重要になります。

なお、他のエントリで書いたように、ひとつひとつの授業については、ガニエの9つの教授事象を思い出す必要があります。

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9教授事象を自身の学びに活かす(稲垣忠編著「教育の方法と技術 主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナル・デザイン」2019 p.36)

以上のように考えて、授業の流れをを決めた場合、下のような順番で授業が設計されます。

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授業の流れ

授業について

流れをまず示す。

まず授業については、Word等で「L5 P1授業の手引き」などと範囲とその書類の内容を書いた名前にして作ります(日付で書いても、生徒は別の日に見るかもしれません)。内容は、「はじめに」「授業の目標」「授業の流れ」「確認してみよう」程度でしょうか。具体的には、「授業の目標」のところに上の目標を書き、「授業の流れ」のところに(1)PPTを見る→(Youtubeの限定公開リンクURL)+QRコード・・・などと続けて書きます(QRコードをつけておくと、プリンタで印刷すればすぐリンクに飛ぶことができるので学習者に便利です)。この作成した授業の手引きをホームページに載せるか、メール等で配信します。つまり、以下のようなプリントをオンラインで配布しておけば、いつ生徒が勉強を始めても手順がわかります。

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授業の手引きのイメージ

QRコードの作り方についてはここをクリック(Trendmicro(クリック)で安全性を確認したサイトです。以下示したサイトもほぼこのトレンドマイクロのサイトで安全性を確認しています)。

モチベーションをあげよう!

ここまで準備しても、学習者にはなぜ学ぶのか分かりません。そういうときは、KWLチャートか、SQ3Rを使うのがいいと思います。知っていることと、学びたいことを結びつけることができますし、自分で何を学びたいか考えることができます。
SQ3R - Wikipedia

それぞれの授業タイプについて

以下に示す授業のそれぞれの場面はWordpressなどの1つのプログラムでも割とできますが、もともとある複数のアプリ・プログラムの様々な機能を組み合わせてする方法で今回は説明します(その方がweb上にもやり方がいっぱい載っていて便利なので)。

【講義型授業】PPT(=パワーポイント)を使う

講義型の授業はパワーポイントで説明できます。例えば、授業の目標だったり、何かの説明の時にはPPTのスライドを見せながら説明すれば良いと思います。PPTには声を録音できる機能がついています(自分の映像も載せることができます)。スライドごとに説明ができるので、わかりやすいです。詳しくは下のリンクに載っています。作ったファイルはyoutubeに限定公開でアップロードするか、Vimeoでパスワードをつけて公開するかします(アップロードする際に、管理職等に許可をとる、著作権に気をつけるなど、配慮すべきことがあるので注意されてください)。

なお、PPTで録音したファイルを作ってみたのですが、2分で10MBほどでした。10分で50MBほどなので、zoomで軽くする方法を考えるか探してみたいです。
(4/21注記) Screen-o-maticを使えば、10分で20MBほどとHiroyuki Maeda先生に教えてもらいました(ありがとうございます!)。フリップスクールというところが、Screen-o-maticを使う方法を説明してくれています(Youtubeです。Youtubeなので、安全性確認はしていません)。その1(クリック)その2(クリック)

【講義型授業】PDFと音声を使う

上記で作ったPPTをPDFに変換して、アプリ等を使って講義の音声をmp3で作成し、両方公開する方法(簡単に言えば、メールに添付するかDropbox等を使って公開する。ただしセキュリティ(誰にでも公開となったり)などには気をつけて)もあります。この場合は、「はい、PDFの2ページをみてね」など、どのスライドを説明しているかわかりやすくいう必要があるとおもっています。なお、上記で書いたMP3というのは、音声等のファイルを軽くする時に使うファイル形式です。参考:Wordで文書を作成して、PDFにするときにパスワードで保護する方法

【講義型授業】PDFのみにする

すべてをプリントに書いて配布する方法もあります。パスワード付きで配信すればすぐできます。ただし、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」で様々な問題が指摘されていますので、ご注意ください。

【講義型授業/ディスカッション型授業】zoomを使って録画する

zoomの無料アカウントでも40分は使えます。zoomの使い方は下記に詳しいです(ホワイトボードの使い方なども)。録画機能がついていますので、講義型で自分の説明を録画するときは、PCでホストして、スマホ等で入室して説明を行い、録画したものを公開すればいいと思ってますが、まだ試していません。ホワイトボードを使って、難しい英文の構造を説明するときも、このやり方が使えるよなーとか思っています。いろいろと試したらまた報告します。なお、ディスカッションで使用する場合、zoomで40人いっぺんにつながると大変なので、10〜15人で時間を区切ってやる方法がいいかも、と思っています。

zoom-kaigi.com
※安全性確認済みサイト

【小テスト・アンケートを作る】Google formを使う。

Google formで自動採点ができる小テストを作ることができます。また、授業の事後アンケート(どの場面が一番難しかったですか等)もGoogle Formで作るのが一番簡単だと感じました。下のサイトは、いくつかサイトをみて、一番わかりやすいと感じたサイトです(トレンドマイクロでは安全性を確認できなかったので、他のサービスで安全性を確認しています)。Google Formでは、記述問題は一致しないと正解としませんが、センター試験や共通テストにあるように、選択問題だけれども、思考・判断・表現を測る問題も作成可能です。

www.fy1203.com

【提出】Google Formで学習者が作ったファイル(word, pdf, ppt等)を提出させる

Google Formでは、生徒が自分が使ったファイルを提出させることができます。ただし、生徒はGmailアカウントなどを作成し、Googleアカウントを作る必要がありますので、事前にやり方を説明し、gmailをとらせて自分にメールさせるなど、準備をしておく必要があります(ま、メールアドレスをとったら、メールで提出すればいいんですけど)。下記のサイトがわかりやすかったです(安全性確認済み)

www.ec-create.jp

最後に

最初の目標ですが、例では、目標1(G1)や目標2(G2)などは答えが決まってくるので、割と簡単に答えを生徒が共有します。なので、発想を変えて、例えばG2を「本文から答えが導くことができる質問を8つ英語で作りなさい。ただし、自分で答えもあわせて作ること」とすると答えを共有するとバレバレになるので学習者も自分でやらないといけないなーと考えるようになります。ただ、難しくてできないという学習者が出てくると思うので、先生のモデルをいくつか示す必要があります(PPTなどで考え方を説明して)。また、生徒一人一人の答えが違う場合は、評価の時間もそれなりにかかるということです。この辺りをどう解決するかまた考える必要があると思っています。

今回はこんなところです。さりゅ。

オンライン授業に移行するときの覚書

コロナウイルスの関係で、これまで対面授業だけしてきた高校でもオンラインで学びを続ける方法を考えないといけないと個人的に感じています。休校のときに見えてきたことを考えながら、いくつかまとめてみたいと思います(なお、これはあくまでも個人的な考えに過ぎないのでご注意下さい)。

このエントリから
オンライン授業のやり方(クリック)
オンライン授業に関するリンク(クリック)
と2つのエントリに分けてますので、そちらもご覧ください。

【4/18 update分】

以下のことをupdateしました。

  1. zoom等を利用した通信量について
  2. 著作権法の変更について
  3. オンライン授業のやり方については別エントリに分けました。

考慮すべき条件など

相手が高校生ということ、さらに学校がこれまで携帯電話の持ち込みや使用を禁止してきた学校もあることを考えて、次のような条件が必要だと考えました。

  1. 環境調査を必ず行う。様々なことを行うにしても、生徒の状況が分からないとうまく対応できません。登校日のアンケート、Classi、 Google form等を使って、生徒の(1)インターネットに常時接続できる機器の有無、あるとしたら何か(ガラケーかsmart phoneかタブレットかPCか)、(2)その機器は自分専用か、親や兄弟と共有か。(3)もし機器がないとしたら、FAXやメールが使えるかどうか(使えなければ電話か郵送しかない)、(4)常時使えるWifiの有無などを聞いて実態を把握しておく必要があります。アンケート例はこちら。
  2. できるだけ「枯れた技術」を使う。「枯れた技術」は安定していて、みんなが使えるメールとか、メッセージとか、結構普段から使っている技術とのことです(枯れた技術 - Enpedia)。新しい技術は、得意な人もいれば、苦手な人もいます。学校全体で導入することを考えると、できるだけみんながこれまで使っているシステムを使う方が良いかもしれません。Zoom, Edmode, Google Classroomも個人的に好きですが、プライバシー上の問題などが報道されている例もあります。比較的新しい技術はできる人にまかせておいて、しばらくしてからみんなが使えるようになればいいねという感じですね。
  3. 通信量を抑えるようにする。動画ではなく、メールやライン、メッセンジャー等の活用をメインにします。高校生の全員がwifiを無制限に使えるわけではありません。高校生も50GB使えるケースもありますが、みんながそうとは限らないので、できるだけ通信量を抑えるよう、工夫した方が良いです。【4/16注記】 ZOOMで1時間授業を行うとだいたい送受信量は200MBみたいです。なので、200MB x 6コマ x 20日と仮にすると、だいたい1ヶ月で24GBぐらいかもしれません(かなりアバウトなので、必ずご自分でご確認ください。詳しくは「オンライン講義の通信量」に述べられています)。
  4. 共通パスワードを設定しておく。様々な文書等を配るとき、動画を配信するときにパスワードが必要になることがあります。学校全体で同じパスワードを使うことを発表しておくといいです(Reiwaとか簡単なものが良いが、自己判断で。)
  5. 環境づくりの際に、全員が参加できる状況になるまで待たないコロナウイルスが出てきて、突然教える状況が変わったので、とりあえずは8割が参加できればという感じで環境を作っていくのがいいと思います。完全なシステムは急にはできません。もちろん条件が揃わず参加できない生徒もいることを常に考慮して(そのうち、パケ制限がかかる生徒も出ることが予想される)、電話や郵送等での対処等のオプションなどを用意して進めれば良さそうです。これまでの経験では、そのうち徐々にいろいろと進み、みんなが参加できるようになっていくと思われます。
  6. 資料はPDFで配布するiPhone等の生徒が多いことを考えると、PDFで公開するのが一番生徒にfriendlyになります。wordとかの文書をそのままダウンロードするのは厳しいと思われます。
  7. 動画は3分から5分。それ以上は通信量が多くなり、生徒も集中できません。1つの教科・科目ならいいですが、全教科で長い動画を毎日発信すると、50GBでも足りなくなると思います。
  8. 生徒はずっとこっちをみていない、集中していないだろうと思っておく(授業ではいちおう聞いてくれますが、家だと他のことをし始めたりします。自分もそうですけど)。動画や課題の配信をしても、生徒は電話があれば電話に出るし、家族から呼ばれれば、そっちに注意が削がれます。家にいれば、それぞれの事情がある。生徒の注意を喚起する方法をちゃんと考える必要があります。
  9. 授業公開であることに注意する。動画や文書を配信する場合も、保護者や兄弟がうしろで見ている可能性も考慮に入れたほうがいいです。言葉遣いなど丁寧に。
  10. 連絡の更新時間を決めておく。連絡等の更新時間が決まってないと、生徒や保護者がいつ連絡を見るべきなのか分からず困ります。例えば、学校全体や学級全体の連絡などは「連絡がある場合は、平日の10:00に行います」と決めていたり、連絡の際に「次は4月○日の午前10:00に更新します」などと予告しておくと無駄なアクセスをしたり、更新されずにイライラしたりするのを防ぐことができます。

まずは規則正しい生活を送るために

個人的にきいたところ、休校になると生徒たちはだいたい8時〜8時半ぐらいに起きるようです。病気に対する免疫や10代のホルモンのことを考えると学習の開始は9時でいいかもしれません(関連記事 「生徒の睡眠時間を確保するため「朝8時以前の始業を禁じる」法案がカリフォルニア州で可決」)。ただ、以前の休校の時に毎日決まった時間に朝礼っぽいことをすることが規則正しい生活をするためには必要だと感じました。

オンライン朝礼の実施
多くの人が指摘しているように、平日は決まった時間にオンライン朝礼をやった方がいいです。方法としては、ZoomやClassiなどで双方向でやる方法、一斉にメールやLineで発信してメールやメッセージ、Google Form等で答えてもらう方法などがあります。健康状態の確認+生徒が返事を書きやすいような、はてなみたいなお題つき質問(「今日は朝ごはん、何食べた?」など)をあげると良いかもしれません。質問の参考例:http://www.roadtogrammar.com/dl/warmers.pdf(英語です)。生徒が互いに答えを見ることができるようにすると割と盛り上がると思います。

授業のやり方(高校の場合を想定)

オンライン授業を行う場合、次のことに気をつけるといいのではないかと思いました。

  1. 課題をPDFなどで公開する。条件2「枯れた技術」を使うことを鑑み、PDFが一番良さそうです。オンライン授業は教科書を使うことが想定されますが、教科書の内容を公開する場合は生徒に対してのみ公開すべきなので、PDFで作成して、パスワードで保護するといいです。具体的に書くと、まずはWordまたはPPTで課題を入れた文書を作成し、それからPDFで保存して配布という感じでしょうか。
  2. 授業は1日4コマ程度から始める。最初から7コマとかすると、教員が追いつかないので、最初は少なめに始めるのが良さそうです。4コマより少なくてもいいと思います。まずは、できる範囲で。うまくいくプロジェクトによくある、「小さく始めて大きくしていく」が鉄則です。
  3. 時間割を決めさせる。学年で1クラスしかなくても、8クラスあっても、学年(またはコース)の時間割は同じにします(どうせオンラインで個々で受けるので、変える必要はない)。週ごとに設定して(月曜日が国数英理社だったら、火曜日は数英理社国とかそんな感じで)リズムを作ってあげると良いでしょう。
  4. 1単位時間ごとの課題は3つは用意する。教科書はみな持っているので、教科書を中心に考えなければできない課題を用意するのがいいですね。R. ガニェの9教授事象を教師および子どもの視点からまとめた下記の図を参照に「学び」を組み立ててみてはどうでしょうか。
    f:id:karishima:20200412084323p:plain
    9教授事象を自身の学びに活かす(稲垣忠編著「教育の方法と技術 主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナル・デザイン」2019 p.36)
  5. その時間内での締め切りの時間を設定する。締め切りがあると生徒は頑張ります。例えば、授業を火曜日の10時開始と設定したら、課題1は10:15まで、課題2は10:30まで、課題3は10:45までなどと決めておく。生徒は、メールまたはgoogle formなどで答えるようにします。タイムスタンプが付くので、時間内に答えられたかどうかすぐに分かります。遅れたら、ちょっとだけ減点ねーなど、時間内に答えたくなるように刺激を与えるのも良いかもしれません。生徒には、時間になったら解答を配信して、配信後に答えてきたら減点とするとわかりやすいかもしれませんね。
  6. 課題はひとりでやることを必須条件として考えない。言い換えれば、2人組またはグループで答えさせるのも可にするということです。どちらにしても、できないときは生徒は友達に連絡をとってききます(他の先生に聞くこともあるかもしれません)。生徒が常にひとりで課題に向き合うとは限りません。
  7. 課題はいろんなレベルを作っておく「浅いアプローチ」に関連するものだとすぐに答えられるし、「深いアプローチ」に関連するものだと時間がかかる。4:6ぐらいにすると良い気がします(難しい問題ばかりだと生徒も萎える)。例えば、英語だと英文を与えて出す課題はレベルを下記の3つぐらいに分けられます。とっつきやすい問題は答えを生徒がただ交換して(もしかしたら考えずに)提出して終わりとなることもありえますが、「深いアプローチ」になると自分が納得しないとダメだし、理由などを文章にするので、その生徒のオリジナルな答えが求められていることが本人にも分かります。この浅いアプローチと深いアプローチの2つをうまく組み合わせて出すと良さそうです。
  • 「単語リストの空欄を埋めなさい」 割ととっつきやすい(理解、確認)。
  • 「英文のタイトルとして良いものを下の選択肢から1つ選び、なぜそう思ったかその理由も書きなさい」 考える問題(比較、評価、解釈)
  • 「この英文の後でRogersはどのような行動をしたと思われるか」 かなり時間がかかる(仮定、仮説)。
教科書の利用について

【4/16注記】 新しいガイドラインが出ました。
改正著作権法第35条運用指針(令和 2(2020)年度版)
ご確認ください。元記事は下記です。
forum.sartras.or.jp


教科書の内容をそのままオンラインで全員に公開することは著作権上ダメなので、注意する(参考:遠隔授業で教科書利用可能に 改正著作権法、28日施行 (日経、2020/4/10 10:31))。オンラインで公開されても、3/31までと同じように見ることができるのは生徒や同僚のみという状況にする必要が出てきます。3/31までについては、文科省の「新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校教育における教科書の円滑な利用について」という文書があり、その中で下記の文言がありました。パスワード処理は必要ですが、パスワードをつけたpdfの中に直接本文をいれておくか、動画の場合はYoutubeなどの動画のリンクをつけ、その中で見せるようにすることが考えられます(Youtubeでは、リンクを知っている人だけみれる設定にします。Vimeoの場合は、パスワード付きで配信)。

当該学校・地区の採択教科書の利用に限り,発行者が権利を有する掲載著作物を利用して作成した授業動画やプリント等を,当該児童生徒に限定して,学校又は教育委員会が自ら責任主体となって行う複製,公衆送信又は配布に対し,特別の配慮として,教科書利用を無償許諾する

※教科書のオンライン公開についてはここを参照:https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/297591
教科書ネット公開可能に 文科省、休校中の特例措置 :日本経済新聞

※4/12に追記しました。

2019年に買って良かった本シリーズ その2

2019年に買って良かった本シリーズその2です。

中田達也さんの「英単語学習の科学」です。主に教員向きだと感じました。Paul Nation氏に師事されただけあって、勉強になります。軽い気持ちで購入したのですが(!)、思わぬ収穫が多かったと感じています。

特に心を惹かれたのは、第2章、第5章、第6章以降、第20章です。以下レビューします。

続きを読む

2019年に買った本でよかったシリーズ

突然、2019年に買った本でこれよかったシリーズ その1。

論理的思考―論説文の読み書きにおいて

これは松井先生のBlogで知ってポチッとしました。2015年の投稿を読んで、今頃という感じですが、やはり良かったです。
松井先生も書かれていますが、「心身共に健康な時に咀嚼するのが良かろう」というぐらいの気持ちで読まないとズタズタにされますが、基本的には、普段学校で生徒を指導しているときに生徒に教えていることや自分で文章を書くときに思っていることが歯に物着せずで書かれています。

なお、本書は論理性だけでなく、冒頭から「色々言ってもどうせ分からないから、まずやらせて悪いところを直す」的なことが書かれており、実践的指導者としては肯くところも多々ありました。具体例を挙げると、面接練習などで、生徒に「もっと感情を強く言って」などと抽象的に言うケースをよく見ますが、そういっても生徒には伝わりません。私自身はそういう抽象的な言葉をできるだけ避けて、「ぜひ〜したい」「心から思います」など、「ぜひ」「心から」等の副詞をつけ、その副詞を少し大きめに声を出すように言い、それが自然とできるまで指導しています。

作文についても、普段から疑問に思っているところが、確かにそうだ!的な部分があり、参考になります。

論理的観点を考える本シリーズとしては、三森ゆりか氏の下記の本もまたオススメです。
論理的に考える力を引き出す―親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング

何度も読まないとなかなか生徒に伝える教師としての「論理性」は身につきませんが、ディベートについて指導するときなどに具体的にどのようすれば良いかという実践例「問答ゲーム」が詳しく載っており、共通テストの英語で出題が検討されている「事実と意見の違い」の指導例など参考になります。ディベートをこれから勉強したい、指導したいという人にもいいのではないでしょうか。まあ、この本にも来賓の祝辞など「5WiH」のスピーチについて、小学生が批判的に批評していた例も載っており、辛辣なダメ出しが優しい言葉で書いてあります(^^;。

この本から学び、個人的に普段から言っているのは、「〜とか」「〜など」と生徒が言ったときには、「〜とかっていうことは他は何?」と言ったり、「先生、プリント!」と言われても「プリントがどうしたの?」などと聞き返していますが、よく考えたら生徒にとってはうるさいオヤジにしかなってないかも知れんと思ってはいます(自覚あり)。

まあ、今日はそんなところです。さりゅー。

情報化の波と教育

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。下記はEdTech x English EducationというFacebookのグループに投稿した内容のコピーです。もしお時間があれば、お読みください。

さて、EdTech関連の話ですが、下記は知り合いの小坂先生から教えていただいたサイトです。250ページある文書を9000字でまとめてくださっていますが、理解するのに時間がかかりそうです。少しずつ読んでいき、正月休み中にすべて目を通したいと思います。


blog.ict-in-education.jp


また、昨年12月はPISAの読解力が下がった理由の1つに「日本の生徒がコンピューターを使った解答の仕方に不慣れな点」などが挙げられた記事も多かった印象がありますが(https://www.kyoiku-press.com/post-210466/ )、それに対しては、まずデータえっせいの2020年の比較記事。そしてさらに下の「学習者も常時使う文具へ」を読んでどのように今後教育を進めるべきか考える必要があります。


tmaita77.blogspot.com


gakko.site


勤務校でも、生徒が個人所有PCを持ち込んでいる状況はよく見ますが、校内LANには当然つなげず、Wordでレポート形式にまとめたり、発表のためのプレゼン作成に使用することが多いです。一番上の文書中に出てくる「情報活用能力の体系表(例)」では、思考力・判断力・表現力に関するBの項目を行なっていることが多いかなという感じです。


情報活用能力の体系表(例)


今年からまた環境がどんどん変わっていきそうですが、まずは理解からでしょうか。それではまたよろしくお願いいたします。

ダミーか錯乱肢か。

テストの錯乱肢は「3つでいい」と何度も会議で発言していますが、本意が分かってもらえてないかもなーと感じているので、revisitです。

個人的に大きな衝撃を受けた発表からすでに15年ほどたっていると思いますが、静先生が学会で発表されています。
2006_LT(final).pdf

テストの選択肢は4つ必要なく、3つでいいという論文です。日本語でも書かれていますので、長くなりますが、引用します。

それでは錯乱肢はいくつ必要であろうか。現在の標準テストではほとんどが、正答1+錯乱肢3の4選択肢形式をとっている。しかし今日までの実証研究の結果をみてみるとほぼすべてが実は正答1+錯乱肢2の3選択肢形式の有効性を示しているのである(Haladyna & Downing 1994など)。見かけ上は4つの選択肢があるように見えてもそのうちの1つはほとんど誰にも選ばれず、実質上は存在しないのと同じということが多いのだ。つまり

●選択肢は3つで十分

なのである。
 「でたらめにやっても33%は当たってしまう」というのがよく聞かれる懸念だが、次の理由でその心配は無用である。

(1)2選択肢でも5選択肢でも、十分な数の問題があれば、能力の低い者の正答数は能力の高い者の正答数より小さくなる。
(2)時間が十分にある状況では、でたらめな選択をする者は非常に少ない。
(3)見かけ上の正答数が高くなるのが不満なら、33%分の得点を全員から減点する、という方法もある。(不要な操作であるが。
出典:056 testmon - Zuke's Home Page

英語論文にもあるとおり、数学的にも、論理的にもしっかりとした錯乱肢を作れば、3つで十分です。あとこれで、錯乱肢に残る問題は、「錯乱肢と呼ぶべきか、ダミーと呼ぶべきか」問題だけですね(^^; ちょっとしたrevisitでした。

今日はこんなところです。さりゅー。