Wあるいはauwawauについての一省察

alphabetについて結構いろいろと調べている。今日は文字wについて。なぜwはvが二つあるように見えるのに、double-uと呼ぶのか問題である。すぐ答えを知りたい人は英語史で著名な堀田氏のブログに書いてあるので、そちらを参考にしてほしい(クリック)。下はそれを学ぶためにえっちらおっちら調べながら書いたものなので、間違いがあっても笑って許してほしい。いや、許してください。すみません!(うん、先に謝った!)。

はじめに

まずはMatt Baker(UsefulCharts.com)氏のalphabetの歴史をみて振り返りたい。この画像はありがたいことに、Creative Commons BY-SA-NCとライセンスされており、ダウンロードしてPCやzoomなどの壁紙として使用可能である。
https://cdn.shopify.com/s/files/1/1835/6621/files/alphabet-color_09ce9b05-8fc6-475b-af04-a34e5b3314a4.png

諸説あるだろうが、上の図では、F/Y/U/V/Mが同じ文字(セム語のwaw)から分化しているのがわかる。wawについては、wikipediaを参考。また、Vが現在のU, V, Wのすべてを担っていたというのもみて取れる。

同じように、英語版wikipediaのWの項目をみると、次のようなhistoryが載っている。

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英語版wikipedia "W"の項目より(https://en.wikipedia.org/wiki/W

やはり、vから分化しているのが分かる(この鳥さんの絵、味がある)。

くわしくみる。

wの音はラテン語などではvで表されていたが、vは有声両唇摩擦音(日本語だったらバ行ですよね)を表すようになった。そのため、walkなどのw音を表すために他の文字が必要になり、7、8世紀ごろに、似た発音の文字を重ねることで表す表現法が生まれた。それが[vv]もしくは[uu]である(その頃はまだv/uは異なる文字と認識されていなかった。この2つの文字の区別には、まだあと1000年ほどの時を待たねばならない)。同時期(といっても4世紀だが)のGothicではwの音を表すのにイプシロンが使われていたらしい(上の図の6番目だ)。小文字をみると、現在のvの筆記体と同じように見える。

で、uを重ねた[uu]だが、2つの文字を使って1つの音を表すのにはやはり抵抗があったのか、イギリスでは現在のpに似た文字のwynnを使用するようになる。Beowulf - Wikipediaをみると最初の単語では、wの音をƿ(wynn)で表されている。例えばwhatは ƿæt と表記されている。

では[uu]は消えたのか? 堀田氏によれば、[uu]はフランス北部のノルマン人に広がっていたという。ノルマン人はwageなどwで始まるゲルマン系の語彙を有していて、やはりwの音を表す語が必要だったのではないだろうか。the root of the name England ("land of Ængle")とwikipediaにも記されているが、Angles人はもともとは現在のデンマークのすぐ下にいた人々であり、体格が良すぎて馬に乗れずに徒歩王と呼ばれたロロが、おそらくデンマーク人かノルウェー人であったことからも推し量られるように、ノルマン人はイギリスにいた人々と言葉や文化をある程度共有していたと想像される。言語についてもまた然りである。

そして1066年のノルマン・コンクエストにより、ノルマン人がイギリスを支配するようになり、wの文字が戻ってきたと先の堀田氏はしている。ノルマン・コンクエストは英語に大きな影響を与えたが(実際、英語はクレオールなのか問題なども出てきている)、文字にも影響を与えていたのである。13世紀には文字wynn(ƿ)は廃れてしまった。wynnの悲劇である。

double-uかdouble-vか。

で、さらに、roundhandなどを確認するに筆記体では、wはvの文字2つではなく、下がカーブで書かれているので、uの文字2つに見える。roundhandの図を良くみると、小文字のwはやはりuが二つ重なっているように見える(whichのwなど)。もともとu/vの区別がつくようになったのは17世紀以降であることから鑑みるに、「double-uでもdouble-vでもどーでも良かった説」もあながち捨てきれない。そして、「いやこれ2文字でしょ!いや1文字でしょ!」問題もきっと真面目な人には深刻だったに違いない。そう思っていたら、英語版wikipediaのwの項目に以下のことが載っていた。16世紀に書かれたものである。

かわいそうな「w」は、悪名高く無名であり、名前も形も多くの人がほとんど知らないほどだ。ラテン語ではwを必要としないのでラテン語派を志す人たちも、ドイツ人も、学校の先生でさえもwの使い方や呼び方を知らない。この文字を「we」と呼ぶ人もいれば、「uu」と呼ぶ人もおり、スワビア人は「auwawau」と呼んでいる。(https://en.wikipedia.org/wiki/Wから訳して引用)

auwawauってなんだよ!?という感じだが、ドイツ語では、wはvを表す。だからVolkswagenは[ˈfɔlksˌvaːɡn̩]と発音される。vがfになり、wがvになっている。文字というのは面白いものだ。とまれ、まだ16世紀では呼び方は定まっていなかったことが推察される。

1755年のJohnsonの辞書ではwの項目で、「学習するアルファベットには見られない文字」と書かれているので、まだ不安定な感じがする。18世紀でも、学校では正式なアルファベットとして認められていなかったようだが、辞書には項目として掲載されていたことが分かる。

1828年のNoah Websterの辞書では、23番目の文字と明確に示されている。「文字の形と名前は2つのVが結合してできたもので、これは我々がUと呼ぶローマ字の大文字の形をしている」とされている(これ訳したはいいけど、ちょっと意味がわかりかねる。どういう意味だろう?)。

堀田氏のブログの「古英語アルファベットは27文字」をみると、OEにuはあるが、vはない。やはりdouble-uと呼ばれるのは、上と合わせて、VとUの区別が曖昧であったこととUのVに対する優位性があったせいではないかと思われる。

結論

果てしなく長くなっているが(見た感じ分からないと思うが、一個一個確認しているので、すごい時間がかかっている)、wは昔一度生まれたが、他の文字にとって変わられ、そしてまたその文字を退けて、復活した。現在のフォントではvを重ねてあるように見えるものの、double-uと呼ばれている。なお、2つのuを重ねると呼んでいるのは英語だけで、他の言語では2つのvと呼ばれている。それには、u/vの区別が割と最近までなかったことや、その書き方の多様性が影響していると思われる。このwの文字が定着するまでに、多くの人が様々な人生を営みながら現在につなげてきたに違いないが、そう思うと、感慨深いものがある。文字に対する興味は尽きない。また調べていきたい。

オンライン授業に関するリンク

オンライン授業に役立つリンクをまとめました。

オンライン授業について関するリンク

まとめサイト的なもの

オンライン授業については、以下のサイトが参考になります。
(1)学校のオンライン化を進めるための7つのステップ|Manabie(マナビー)公式|note

学校全体で取り組むときの問題や、FAQ(よく聞かれる質問)など詳しいです。参考になります。

(2)オンライン授業をやってみる - Google ドキュメント

大学の授業ですが、実際の指導案も載っていて参考になります。

(3)授業をオンライン化するための10のポイント | オンライン授業実践ガイド | 私たちの取り組み | 大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部

自分の最初のエントリにも共通するものがあります。

(4)How To Teach Online - Free course on FutureLearn

オンラインで教えるための、集中講義です。無料です。

(5)オンラインzoom研修を成功させるための17の視点〜2日間の研修をzoomでやり切って見えてきたこと〜|しむしむさん(志村智彦/zoom研修プロデューサー)|note

授業ではなく、研修についてのサイトですが、講義やグループ討議などがそれぞれどのような価値をもっているのか、また、自分と聞き手の環境のチェックリストなど、参考になります。

実際にやった人のもの

(1)授業動画に使うスライドを作っていて気づいたこと|たなか じゅうごう|note

田中先生のnoteです。丁寧にされています!

ツール関係

(1)Zoomだけじゃない。無料で使えるビデオ会議アプリ徹底比較……Teams、LINEのメリット・デメリットとは | Business Insider Japan

無料で使用できるオンライン授業アプリの比較記事。役立ちますね。zoomで40分やって、あと宿題ね(または復習ねー)でも良さそうです。

(2)Zoomパーフェクトマニュアル | オンライン化であなたのビジネスを革新する / ZOOMアカデミージャパン

zoomの使い方

(3)つかい方ガイド : LINE OpenChat 公式ブログ

LineのOpen Chatの使いかた

評価関係

(1)授業タイプ別「共通ルーブリック」(学内スタンダード)

講義型・演習型・課題研究型など、授業タイプ別にルーブリックが公開されています。まず、これを自分の授業・単元にあわせて生徒にわかりやすく作り、どこまでできればいいのか示してから授業を行うと、生徒にも何をすればいいのか分かるので、いいと思います。

オンライン授業のやり方

オンライン授業についてどんなことを考えて、どんなアプリを使ってできるのか、考えたことを書きます。なお、このサイトで書いていることは、あくまでも個人的に使えそうだなと思っていることをまとめている個人のサイトに過ぎないのでご注意下さい。また、オンライン授業については、毎日情報がアップされて便利なことも紹介されますので、適宜updateする予定です(4/21追加記述あり)。なお、このエントリは前エントリのスピンアウトですので、前エントリもあわせてお読みください(ここをクリック)。

始める前に

準備

まずは準備が大切です。まず、オンライン授業では、必ずバックワードデザイン(後向き設計)が必要になります。そう、前向きでも後向き設計です!(このギャグ、いらん)。

目標と評価基準を作ろう

オンライン授業では、まず授業の目標を普段の授業よりもはっきりとさせる必要があります。生徒は目の前にいないし、時間も50分とは限らないので、その授業を通じて、学習者が何を身に付けるのかをはっきりさせます。具体的には、「知識・技能」よりも「思考・判断・表現」を中心に書くと良さそうです(思考・判断・表現をゴールにすると、それを達成するのに必要な「知識・理解」を学習者は自然と何度も使います)。このあたりを詳しく知りたい方は、「インストラクショナル・デザイン」(ID)と「責任の移行モデル」を検索されてください(一番下に参考図書を加えています)。

目標例(英語の授業の場合)
  • G1: L5 part1の別表の語句リストについて理解し、記憶している。
  • G2: L5 part1の本文に関する次の事実質問(5W1Hなどの質問)に答えることができる。
  • G3: L5 part1の本文に関する次の推論質問(ある程度行間を読む質問)に答えることができる。
  • G4: L5 part1の本文について、次の4コマの絵を見ながら説明できる。
ルーブリック例(上の授業の目標3(G2)の場合)
  • a: ほぼ全ての質問に適切に答えることができる。
  • b: 8割の質問に適切に答えることができる。
  • c: 8割未満しか答えることができない。
授業の手順(procedure)を決める。

以上のような感じで、目標と評価基準を決めます。このように目標等を先に決めると、学習者に何を学ばせたいか、どのように学ばせるか、どう評価するかということが決まってきます。特にオンライン授業では、どのように学ばせたいか(=説明やモデルを聞く部分か、協働学習か、個別学習か)をここで設計できるので、先に目標を決めることがとても大切になってきます。また、今年度中に何度か休校になったとしても(ならない方がいいですが)、何が生徒ができたら学んだと言えるかと説明できるようになるので、とても大切だと考えています。特に休校中でも、単位を出す必要がある場合は、この点が非常に重要になります。

なお、他のエントリで書いたように、ひとつひとつの授業については、ガニエの9つの教授事象を思い出す必要があります。

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9教授事象を自身の学びに活かす(稲垣忠編著「教育の方法と技術 主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナル・デザイン」2019 p.36)

以上のように考えて、授業の流れをを決めた場合、下のような順番で授業が設計されます。

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授業の流れ

授業について

流れをまず示す。

まず授業については、Word等で「L5 P1授業の手引き」などと範囲とその書類の内容を書いた名前にして作ります(日付で書いても、生徒は別の日に見るかもしれません)。内容は、「はじめに」「授業の目標」「授業の流れ」「確認してみよう」程度でしょうか。具体的には、「授業の目標」のところに上の目標を書き、「授業の流れ」のところに(1)PPTを見る→(Youtubeの限定公開リンクURL)+QRコード・・・などと続けて書きます(QRコードをつけておくと、プリンタで印刷すればすぐリンクに飛ぶことができるので学習者に便利です)。この作成した授業の手引きをホームページに載せるか、メール等で配信します。つまり、以下のようなプリントをオンラインで配布しておけば、いつ生徒が勉強を始めても手順がわかります。

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授業の手引きのイメージ

QRコードの作り方についてはここをクリック(Trendmicro(クリック)で安全性を確認したサイトです。以下示したサイトもほぼこのトレンドマイクロのサイトで安全性を確認しています)。

モチベーションをあげよう!

ここまで準備しても、学習者にはなぜ学ぶのか分かりません。そういうときは、KWLチャートか、SQ3Rを使うのがいいと思います。知っていることと、学びたいことを結びつけることができますし、自分で何を学びたいか考えることができます。
SQ3R - Wikipedia

それぞれの授業タイプについて

以下に示す授業のそれぞれの場面はWordpressなどの1つのプログラムでも割とできますが、もともとある複数のアプリ・プログラムの様々な機能を組み合わせてする方法で今回は説明します(その方がweb上にもやり方がいっぱい載っていて便利なので)。

【講義型授業】PPT(=パワーポイント)を使う

講義型の授業はパワーポイントで説明できます。例えば、授業の目標だったり、何かの説明の時にはPPTのスライドを見せながら説明すれば良いと思います。PPTには声を録音できる機能がついています(自分の映像も載せることができます)。スライドごとに説明ができるので、わかりやすいです。詳しくは下のリンクに載っています。作ったファイルはyoutubeに限定公開でアップロードするか、Vimeoでパスワードをつけて公開するかします(アップロードする際に、管理職等に許可をとる、著作権に気をつけるなど、配慮すべきことがあるので注意されてください)。

なお、PPTで録音したファイルを作ってみたのですが、2分で10MBほどでした。10分で50MBほどなので、zoomで軽くする方法を考えるか探してみたいです。
(4/21注記) Screen-o-maticを使えば、10分で20MBほどとHiroyuki Maeda先生に教えてもらいました(ありがとうございます!)。フリップスクールというところが、Screen-o-maticを使う方法を説明してくれています(Youtubeです。Youtubeなので、安全性確認はしていません)。その1(クリック)その2(クリック)

【講義型授業】PDFと音声を使う

上記で作ったPPTをPDFに変換して、アプリ等を使って講義の音声をmp3で作成し、両方公開する方法(簡単に言えば、メールに添付するかDropbox等を使って公開する。ただしセキュリティ(誰にでも公開となったり)などには気をつけて)もあります。この場合は、「はい、PDFの2ページをみてね」など、どのスライドを説明しているかわかりやすくいう必要があるとおもっています。なお、上記で書いたMP3というのは、音声等のファイルを軽くする時に使うファイル形式です。参考:Wordで文書を作成して、PDFにするときにパスワードで保護する方法

【講義型授業】PDFのみにする

すべてをプリントに書いて配布する方法もあります。パスワード付きで配信すればすぐできます。ただし、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」で様々な問題が指摘されていますので、ご注意ください。

【講義型授業/ディスカッション型授業】zoomを使って録画する

zoomの無料アカウントでも40分は使えます。zoomの使い方は下記に詳しいです(ホワイトボードの使い方なども)。録画機能がついていますので、講義型で自分の説明を録画するときは、PCでホストして、スマホ等で入室して説明を行い、録画したものを公開すればいいと思ってますが、まだ試していません。ホワイトボードを使って、難しい英文の構造を説明するときも、このやり方が使えるよなーとか思っています。いろいろと試したらまた報告します。なお、ディスカッションで使用する場合、zoomで40人いっぺんにつながると大変なので、10〜15人で時間を区切ってやる方法がいいかも、と思っています。

zoom-kaigi.com
※安全性確認済みサイト

【小テスト・アンケートを作る】Google formを使う。

Google formで自動採点ができる小テストを作ることができます。また、授業の事後アンケート(どの場面が一番難しかったですか等)もGoogle Formで作るのが一番簡単だと感じました。下のサイトは、いくつかサイトをみて、一番わかりやすいと感じたサイトです(トレンドマイクロでは安全性を確認できなかったので、他のサービスで安全性を確認しています)。Google Formでは、記述問題は一致しないと正解としませんが、センター試験や共通テストにあるように、選択問題だけれども、思考・判断・表現を測る問題も作成可能です。

www.fy1203.com

【提出】Google Formで学習者が作ったファイル(word, pdf, ppt等)を提出させる

Google Formでは、生徒が自分が使ったファイルを提出させることができます。ただし、生徒はGmailアカウントなどを作成し、Googleアカウントを作る必要がありますので、事前にやり方を説明し、gmailをとらせて自分にメールさせるなど、準備をしておく必要があります(ま、メールアドレスをとったら、メールで提出すればいいんですけど)。下記のサイトがわかりやすかったです(安全性確認済み)

www.ec-create.jp

最後に

最初の目標ですが、例では、目標1(G1)や目標2(G2)などは答えが決まってくるので、割と簡単に答えを生徒が共有します。なので、発想を変えて、例えばG2を「本文から答えが導くことができる質問を8つ英語で作りなさい。ただし、自分で答えもあわせて作ること」とすると答えを共有するとバレバレになるので学習者も自分でやらないといけないなーと考えるようになります。ただ、難しくてできないという学習者が出てくると思うので、先生のモデルをいくつか示す必要があります(PPTなどで考え方を説明して)。また、生徒一人一人の答えが違う場合は、評価の時間もそれなりにかかるということです。この辺りをどう解決するかまた考える必要があると思っています。

今回はこんなところです。さりゅ。

オンライン授業に移行するときの覚書

コロナウイルスの関係で、これまで対面授業だけしてきた高校でもオンラインで学びを続ける方法を考えないといけないと個人的に感じています。休校のときに見えてきたことを考えながら、いくつかまとめてみたいと思います(なお、これはあくまでも個人的な考えに過ぎないのでご注意下さい)。

このエントリから
オンライン授業のやり方(クリック)
オンライン授業に関するリンク(クリック)
と2つのエントリに分けてますので、そちらもご覧ください。

【4/18 update分】

以下のことをupdateしました。

  1. zoom等を利用した通信量について
  2. 著作権法の変更について
  3. オンライン授業のやり方については別エントリに分けました。

考慮すべき条件など

相手が高校生ということ、さらに学校がこれまで携帯電話の持ち込みや使用を禁止してきた学校もあることを考えて、次のような条件が必要だと考えました。

  1. 環境調査を必ず行う。様々なことを行うにしても、生徒の状況が分からないとうまく対応できません。登校日のアンケート、Classi、 Google form等を使って、生徒の(1)インターネットに常時接続できる機器の有無、あるとしたら何か(ガラケーかsmart phoneかタブレットかPCか)、(2)その機器は自分専用か、親や兄弟と共有か。(3)もし機器がないとしたら、FAXやメールが使えるかどうか(使えなければ電話か郵送しかない)、(4)常時使えるWifiの有無などを聞いて実態を把握しておく必要があります。アンケート例はこちら。
  2. できるだけ「枯れた技術」を使う。「枯れた技術」は安定していて、みんなが使えるメールとか、メッセージとか、結構普段から使っている技術とのことです(枯れた技術 - Enpedia)。新しい技術は、得意な人もいれば、苦手な人もいます。学校全体で導入することを考えると、できるだけみんながこれまで使っているシステムを使う方が良いかもしれません。Zoom, Edmode, Google Classroomも個人的に好きですが、プライバシー上の問題などが報道されている例もあります。比較的新しい技術はできる人にまかせておいて、しばらくしてからみんなが使えるようになればいいねという感じですね。
  3. 通信量を抑えるようにする。動画ではなく、メールやライン、メッセンジャー等の活用をメインにします。高校生の全員がwifiを無制限に使えるわけではありません。高校生も50GB使えるケースもありますが、みんながそうとは限らないので、できるだけ通信量を抑えるよう、工夫した方が良いです。【4/16注記】 ZOOMで1時間授業を行うとだいたい送受信量は200MBみたいです。なので、200MB x 6コマ x 20日と仮にすると、だいたい1ヶ月で24GBぐらいかもしれません(かなりアバウトなので、必ずご自分でご確認ください。詳しくは「オンライン講義の通信量」に述べられています)。
  4. 共通パスワードを設定しておく。様々な文書等を配るとき、動画を配信するときにパスワードが必要になることがあります。学校全体で同じパスワードを使うことを発表しておくといいです(Reiwaとか簡単なものが良いが、自己判断で。)
  5. 環境づくりの際に、全員が参加できる状況になるまで待たないコロナウイルスが出てきて、突然教える状況が変わったので、とりあえずは8割が参加できればという感じで環境を作っていくのがいいと思います。完全なシステムは急にはできません。もちろん条件が揃わず参加できない生徒もいることを常に考慮して(そのうち、パケ制限がかかる生徒も出ることが予想される)、電話や郵送等での対処等のオプションなどを用意して進めれば良さそうです。これまでの経験では、そのうち徐々にいろいろと進み、みんなが参加できるようになっていくと思われます。
  6. 資料はPDFで配布するiPhone等の生徒が多いことを考えると、PDFで公開するのが一番生徒にfriendlyになります。wordとかの文書をそのままダウンロードするのは厳しいと思われます。
  7. 動画は3分から5分。それ以上は通信量が多くなり、生徒も集中できません。1つの教科・科目ならいいですが、全教科で長い動画を毎日発信すると、50GBでも足りなくなると思います。
  8. 生徒はずっとこっちをみていない、集中していないだろうと思っておく(授業ではいちおう聞いてくれますが、家だと他のことをし始めたりします。自分もそうですけど)。動画や課題の配信をしても、生徒は電話があれば電話に出るし、家族から呼ばれれば、そっちに注意が削がれます。家にいれば、それぞれの事情がある。生徒の注意を喚起する方法をちゃんと考える必要があります。
  9. 授業公開であることに注意する。動画や文書を配信する場合も、保護者や兄弟がうしろで見ている可能性も考慮に入れたほうがいいです。言葉遣いなど丁寧に。
  10. 連絡の更新時間を決めておく。連絡等の更新時間が決まってないと、生徒や保護者がいつ連絡を見るべきなのか分からず困ります。例えば、学校全体や学級全体の連絡などは「連絡がある場合は、平日の10:00に行います」と決めていたり、連絡の際に「次は4月○日の午前10:00に更新します」などと予告しておくと無駄なアクセスをしたり、更新されずにイライラしたりするのを防ぐことができます。

まずは規則正しい生活を送るために

個人的にきいたところ、休校になると生徒たちはだいたい8時〜8時半ぐらいに起きるようです。病気に対する免疫や10代のホルモンのことを考えると学習の開始は9時でいいかもしれません(関連記事 「生徒の睡眠時間を確保するため「朝8時以前の始業を禁じる」法案がカリフォルニア州で可決」)。ただ、以前の休校の時に毎日決まった時間に朝礼っぽいことをすることが規則正しい生活をするためには必要だと感じました。

オンライン朝礼の実施
多くの人が指摘しているように、平日は決まった時間にオンライン朝礼をやった方がいいです。方法としては、ZoomやClassiなどで双方向でやる方法、一斉にメールやLineで発信してメールやメッセージ、Google Form等で答えてもらう方法などがあります。健康状態の確認+生徒が返事を書きやすいような、はてなみたいなお題つき質問(「今日は朝ごはん、何食べた?」など)をあげると良いかもしれません。質問の参考例:http://www.roadtogrammar.com/dl/warmers.pdf(英語です)。生徒が互いに答えを見ることができるようにすると割と盛り上がると思います。

授業のやり方(高校の場合を想定)

オンライン授業を行う場合、次のことに気をつけるといいのではないかと思いました。

  1. 課題をPDFなどで公開する。条件2「枯れた技術」を使うことを鑑み、PDFが一番良さそうです。オンライン授業は教科書を使うことが想定されますが、教科書の内容を公開する場合は生徒に対してのみ公開すべきなので、PDFで作成して、パスワードで保護するといいです。具体的に書くと、まずはWordまたはPPTで課題を入れた文書を作成し、それからPDFで保存して配布という感じでしょうか。
  2. 授業は1日4コマ程度から始める。最初から7コマとかすると、教員が追いつかないので、最初は少なめに始めるのが良さそうです。4コマより少なくてもいいと思います。まずは、できる範囲で。うまくいくプロジェクトによくある、「小さく始めて大きくしていく」が鉄則です。
  3. 時間割を決めさせる。学年で1クラスしかなくても、8クラスあっても、学年(またはコース)の時間割は同じにします(どうせオンラインで個々で受けるので、変える必要はない)。週ごとに設定して(月曜日が国数英理社だったら、火曜日は数英理社国とかそんな感じで)リズムを作ってあげると良いでしょう。
  4. 1単位時間ごとの課題は3つは用意する。教科書はみな持っているので、教科書を中心に考えなければできない課題を用意するのがいいですね。R. ガニェの9教授事象を教師および子どもの視点からまとめた下記の図を参照に「学び」を組み立ててみてはどうでしょうか。
    f:id:karishima:20200412084323p:plain
    9教授事象を自身の学びに活かす(稲垣忠編著「教育の方法と技術 主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナル・デザイン」2019 p.36)
  5. その時間内での締め切りの時間を設定する。締め切りがあると生徒は頑張ります。例えば、授業を火曜日の10時開始と設定したら、課題1は10:15まで、課題2は10:30まで、課題3は10:45までなどと決めておく。生徒は、メールまたはgoogle formなどで答えるようにします。タイムスタンプが付くので、時間内に答えられたかどうかすぐに分かります。遅れたら、ちょっとだけ減点ねーなど、時間内に答えたくなるように刺激を与えるのも良いかもしれません。生徒には、時間になったら解答を配信して、配信後に答えてきたら減点とするとわかりやすいかもしれませんね。
  6. 課題はひとりでやることを必須条件として考えない。言い換えれば、2人組またはグループで答えさせるのも可にするということです。どちらにしても、できないときは生徒は友達に連絡をとってききます(他の先生に聞くこともあるかもしれません)。生徒が常にひとりで課題に向き合うとは限りません。
  7. 課題はいろんなレベルを作っておく「浅いアプローチ」に関連するものだとすぐに答えられるし、「深いアプローチ」に関連するものだと時間がかかる。4:6ぐらいにすると良い気がします(難しい問題ばかりだと生徒も萎える)。例えば、英語だと英文を与えて出す課題はレベルを下記の3つぐらいに分けられます。とっつきやすい問題は答えを生徒がただ交換して(もしかしたら考えずに)提出して終わりとなることもありえますが、「深いアプローチ」になると自分が納得しないとダメだし、理由などを文章にするので、その生徒のオリジナルな答えが求められていることが本人にも分かります。この浅いアプローチと深いアプローチの2つをうまく組み合わせて出すと良さそうです。
  • 「単語リストの空欄を埋めなさい」 割ととっつきやすい(理解、確認)。
  • 「英文のタイトルとして良いものを下の選択肢から1つ選び、なぜそう思ったかその理由も書きなさい」 考える問題(比較、評価、解釈)
  • 「この英文の後でRogersはどのような行動をしたと思われるか」 かなり時間がかかる(仮定、仮説)。
教科書の利用について

【4/16注記】 新しいガイドラインが出ました。
改正著作権法第35条運用指針(令和 2(2020)年度版)
ご確認ください。元記事は下記です。
forum.sartras.or.jp


教科書の内容をそのままオンラインで全員に公開することは著作権上ダメなので、注意する(参考:遠隔授業で教科書利用可能に 改正著作権法、28日施行 (日経、2020/4/10 10:31))。オンラインで公開されても、3/31までと同じように見ることができるのは生徒や同僚のみという状況にする必要が出てきます。3/31までについては、文科省の「新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校教育における教科書の円滑な利用について」という文書があり、その中で下記の文言がありました。パスワード処理は必要ですが、パスワードをつけたpdfの中に直接本文をいれておくか、動画の場合はYoutubeなどの動画のリンクをつけ、その中で見せるようにすることが考えられます(Youtubeでは、リンクを知っている人だけみれる設定にします。Vimeoの場合は、パスワード付きで配信)。

当該学校・地区の採択教科書の利用に限り,発行者が権利を有する掲載著作物を利用して作成した授業動画やプリント等を,当該児童生徒に限定して,学校又は教育委員会が自ら責任主体となって行う複製,公衆送信又は配布に対し,特別の配慮として,教科書利用を無償許諾する

※教科書のオンライン公開についてはここを参照:https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/297591
教科書ネット公開可能に 文科省、休校中の特例措置 :日本経済新聞

※4/12に追記しました。

共通テストの英語のRとLの比率について

旺文社に続いて、朝日新聞も共通テストにおける英語のリーディング(R)とリスニング(L)の比率についての記事を出しています。

そこで、実際にリーディングとリスニングの点数によってどのように英語の点数が変わるのか見てみました。

続きを読む

2019年に買って良かった本シリーズ その2

2019年に買って良かった本シリーズその2です。

中田達也さんの「英単語学習の科学」です。主に教員向きだと感じました。Paul Nation氏に師事されただけあって、勉強になります。軽い気持ちで購入したのですが(!)、思わぬ収穫が多かったと感じています。

特に心を惹かれたのは、第2章、第5章、第6章以降、第20章です。以下レビューします。

続きを読む

テスト問題作成について

昨年度、作成したものを忘備録として公開します。上山先生の本(以下上山本)などで学んだことが多いです。感謝です。ぜひ参考本をご参照ください。

1 はじめに

期末考査や実力考査などは、生徒がとても大事にするものです。当然考査問題には我々教員の普段の指導が反映されますし、また逆に考査の出題傾向が授業に反映されます。丁寧に作っていきましょう。

2 参考となる書籍等

問題を作成する前に、テストについての様々な基礎知識が必要です。以下の本が参考になると思うので、ぜひお読みください。

特に上記の1番目から3番目を読むとテスト設計から考える良いヒントとなると思います。

3 発問に関して

特に読むこと(リーディング)についてどのような問題例が考えられるかと問われることが多いのですが、上記の書籍(特に高等学校英語教員のための定期テスト作成簡易マニュアルはわかりやすいと思います)や、センター試験「筆記」や大学入試の過去問を解いてみることが早道だと思います。なお大学入試の過去問については、旺文社の教員用冊子Argumentに長く連載されている「〇〇年入試 長文読解〈良文+良問〉問題 ベスト・セレクト 勝手に20題!」が参考になります。例えば、2019年春の入試であれば、大阪大学「人間の問題解決の仕方」島根大学人工知能の進歩に必須の因果関係を読む能力」一橋大学アメリカにおける家の強制退去と貧困問題」上智大学「便利な最新科学技術がもたらす副産物」などが良問として挙げられています(ちなみに、この表をiPhoneExcelアプリで撮影すると、自動的にExcelの表に変えてくれます。世の中は便利になっています)。なお、最近10年間のものを全て確認していますが、数年前にどうしても冊子が見つからないとき、旺文社に電話したらすぐにFAXしてもらえました。とても親切な対応していただいたと思います。

また、本格的に発問について勉強されたい方は、田中本3冊がとても参考になります(田中武夫先生は、本当に良い先生です)。

個人的には、2冊目が気に入っています。

4 テスト作成前に行うこと

さて、テスト作成に入っていきます。テスト作成前に行うことは、次のことです。

  1. テスト範囲の決定とテスト細目等の決定
  2. テスト作成スケジュールの確認
  3. フォーマットの共有

4.1 テスト範囲の決定とテスト細目等の決定

まず、テスト範囲とテスト細目等の決定を行う必要があります。テスト範囲を決めている例はよく見ますが、テスト細目を決めていない例が多い感じがします。テスト細目を決めずにテストを作ると、様々な問題が発生します。

まず一般的なテスト範囲例です。

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テスト範囲の例

しかしこれでは、教員側としてはCan-do項目、4技能、との結びつきや、外国語理解の能力、表現の能力、言語・文化の知識理解、コミュニケーションへの関心・意欲・態度という評価の観点との結びつきが不明です。また、どの項目が何点か明示されておらず、意図せず偏った問題を出す可能性もあります。また、生徒も何を中心に勉強すれば良いか漠然と分かっても、実際にはどれに力を入れて、あるいは何をどう勉強すればよいかよくわからない場合があります。以上のことから、テスト細目を定める方がメリットが大きいと感じています。特に2022年度からは、観点別評価が導入されますので、年間計画上で示された「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」のどれを定期考査で測っているのかしっかり計画する必要がでてきます。

そのため、テスト範囲については、教師間でテスト細目を共有することが大事になります。テスト細目は『実例でわかる 英語テスト作成ガイド』を参考にして作ると下記のように示すことができます。
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さらに、上山先生の本では、テスト細目作成後に、生徒に範囲を示す場合の例が載っています。「作る人が書くのだから百発百中!! 何をどう勉強すればいいかガイド」的なプリントです。例えば上記であれば、大問6は「書くこと」で和文英訳と書いていますが、生徒に示すときは、「〇〇の何ページに載っている文法事項を使って解く問題。教科書のその箇所を音読筆写し、さらに余裕があれば辞書などで同じ項目の例文を探そう!」などと書くと、生徒が何をどう勉強して良いか、ぐっとわかりやすく示すことができます。詳しくは、上山本をぜひご覧ください。

4.1.1 Can-doなどとのリンク

上記に示したのは「範囲」ですが、具体的なCan-do項目と結びつけることも可能です。これは、『実例でわかる 英語テスト作成ガイド』にも示してあります。学習指導要領の中の文言と結びつけてもいいかもしれません。例えば大問1の「聞くこと」については、「遅めではっきりと話した短い会話を聞いて、概要と詳細を理解できる」と書けば、さらに出題のねらいがはっきりします。

また、「高等学校英語教員のための定期テスト作成簡易マニュアル」でも「聞くこと」「書くこと」など、技能別に以下のように出題例が載っています。この表を見ながら、どのような出題形式にするか考えることもできます。
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4.2 テスト作成スケジュールの確認

テストを作成するには、時間がかかります。以下のような工程表を係は作成し、皆で共有する必要があります。
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4.3 フォーマットの共有

テストを複数の人で作る場合もあると思います。そのときは、原稿作成要領と同じように、しっかりとフォーマットを作ってからでないと、まとめる係の先生が苦労します。以下のような例を共有するといいと思います。
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また、上記のフォーマット例と合わせて下のような共有すべき決まりがあると、なお分かりやすいと思います。

  • 大問の指示はMSゴシック11pt。全角で大問の番号を書き、四角で囲む。また指示の最初には【聞くこと】【論説】【書くこと】など何を問う問題か明記する。
  • 小問は原則(1)(2)(3)と半角かっこの中に半角数字。小問に2つ問題があるときは、(1a)(1b)などとする。
  • 小問番号と下線部は原則同じ数字にする。例えば「(5)下線部4を日本語にせよ。」などとしないように工夫する。
  • 空欄は(5)なら( 5a )( 5b )などとする。分かりやすいように、中の文字はゴシックのBold。かっこは半角centuryとする。
  • 選択肢の記号は原則カタカナで「アイウエ」とする。かっこや記号の後のピリオドはつけない。ゴシック太字で記号だということを明示する(生徒が(ア)などとカッコをつけたり、◯で囲んだりするのを防ぐため)。
  • 行番号は必ずつける。縦長のテキストボックスで、fontはTahoma 7.5ptで右揃えにする。

今日はこんなところです。さりゅ。

※2月11日に一部修正しました。