しましま通信 No.1

今年から「しましま通信」はじめました。ぱちぱちぱち。
以下は第1号です。配信希望の方はメールください。
こちらのブログには1週間遅れで載せていきますね。

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【しましま通信】(2018/1/3)
堀田隆一氏『英語の「なぜ?」に答える  はじめての英語史』書評
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あけましておめでとうございます。有嶋です。

しましま通信配信希望ありがとうございます。購読希望
出してねって言ったら、「購読」はお金をとるやつですよ!と
言われました。なるほど。というわけで「配信」です。

不定期に、できれば2週間に一度程度は出したいと思っています
ので、よろしくお願いします。
(不必要な方はメールで「通信不要」とお伝えください)

今回の話題は、堀田隆一氏の「英語の「なぜ?」に答える 
はじめての英語史」の書評です。この本は研究社の本の紹介の
パンフレットを見て、買いました。いや、面白かったです。
いろいろと話題が豊富な本なのですが、例えば以下のものが
興味深く感じました。

(1) 名前動後について

よく発音についてrecordなどは名前動後と言われますが、なぜ
名前動後は強調されるのかということについても情報が載っています。

名詞・動詞をあわせもつ2音節語を筆者が辞書から取り出して
分類すると名前動後は235(17.8%)だそうです。少ない語はsalienceが
高いので覚えやすいので、名前動後を覚えるように授業では
強調されてきたのでしょうね。

(2) なぜ、footの複数形がfeetなのか。(p.65)

これ、僕はずっと、どっちがどっちなのか分からなくなることが
多かった単語です。説明は本誌をよんでいただくとして、
同じ変遷を経た語に man - men / woman - women が載っており
同じように複数形はe(発音は本来は i )だと説明があって
ようやく覚えられました。よかったです。

また、p64にはchildに複数形を表すreがまずつき、それから
しばらくたってからさらに複数形を表すnがついて今の形に
なったとありました。chird-re-nなのですが、日本語の子-ども-たち
と同じように複数形を表す語尾が二つついているのと偶然にも
同じというのが楽しかったです。個人的には、今は味噌汁を
表す「おみおつけ」(御御御付け)が同じ意の接頭辞・接尾辞の
複数ついた中では最高だとおもっています(次点はおみくじ)

(3) -lyについて

  • lyは副詞を作ると一般的に思われていますが、実は形容詞にも

なります(friendly gesture等)。実は -ly は -like と同じ語源と
載っており、これも楽しいです(p.79)。なぜそんなことになったのか
という説明も載っていますが、-lyがついて副詞があっても、
もともとの語も副詞になりうる語も載っていて、それも
楽しいです。(late / latelyなど)

          ☆

他にもなぜfive-fifthなのか。三単現のsはなぜあるのか、など
生徒が興味を引きそうなことが載っています。もしよかったら
ぜひお読みください。僕は楽しかったです。

堀田隆一氏の「英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史」
http://amzn.to/2lJ9z7u

アマゾンレビューを見てみましたが、評価も高かったです。
ではまた! 

Taboo Speaking

[覚書] Taboo SpeakingはDefinition gameの1つ。定義に使えない語を3つ示して定義をさせる。

出典はBusy teachers(Taboo Speaking Game Basic)。二人組でじゃんけんをさせて,一人が黒板またはPPTをみて単語の説明をする。そのときに使ってはいけない語を指定する。例では,waterを説明するときにsee, blue, oceanを「使ってはならない」語としている。

これとPREPを組み合わせるといい感じ。

Surrealが2016年の検索ワード1位

【雑感】Surrealが検索ワード1位

Newselaより。
今年のMerriam-Webster'sの検索1位はSurreal(文字どおりには「現実を超えた」)になった模様。Oxfordではpost-truthが1位で,Dictionary.comではxenophobiaが1位になったようだ。

記事によると,ブリュッセル連続テロ事件やニーストラックテロ事件,トルコのクーデター未遂のあとに大きく検索数が伸びたとのことだが,もっとも検索されたのは11/9のトランプが選挙に勝った日のようだ。

Oxfordのpost-truthはpost-truth politicsなどで使用される。意味は「事実よりも感情が優先される政治」ということ。Brexitやトランプの勝利などの際,globalizationからの離脱への渇望など,人々の生活に対する思いのpendulum swingの大きな触れがまた逆方向へと向いたと感じた年だった。xenophobiaは外国人排斥に関係する言葉である。

2016を振り返ると

今年もいろいろとあったが,個人的には,東洋経済の記事が一番心に残っている。
toyokeizai.net


やはりこのグラフが衝撃的だ。SGHを指導される先生方に見せると,「ちょっとぐらい地方を増やす話をしてもダメかもね」という話になる。これはちきりんさんがすでに昨年度の 12月のエントリで書いていた話だが(次の50年で4500万人 減るということ - Chikirinの日記),地方を,もっというと地方の産業やインフラをどうやって維持していくかがこれからの大きな課題になる。高校生の意識もそこに向けないと駄目だろうと感じる。

社会保障費も生徒が調べれば調べるほど,難しい状況が浮かび上がる。年金を合わせた社会保障費が現在は年間約100兆円ということだが,しばらくすると150兆円に膨れ上がる。人口で割るとひとりあたり月2万円程度の負担増だが,実際には高齢者が増えて労働人口は減るので,労働者の負担はさらに大きくなると予想される。

まあ,そんなことはみんな分かっていて,それでも希望があるのは生徒が明るいからだし,課題があるところは困っている人がいるのでビジネスチャンスだしね。そう考えて頑張っていきましょう。そうそう,PISAの結果でも,以下のことが報告されてると第73回 学力向上のためには何が大切か - ハイキャリア - 通訳という記事がありました。

29% of poor pupils score among the top quarter of children across the OECD. In Singapore, Japan and Estonia nearly half of the poorest pupils do.
OECD全体では貧しい家庭で育つ子供のうち、ほぼ3人に1人が上位25%に入っている事実に加え、シンガポール、日本、エストニアなどの教育レベルの高い国々においては貧困家庭の子供のほぼ半数が上位25%に入っている、とのこと。

また2017年もよろしくお願いします。

What does what?

[覚書] What does whatはreadingのactivityで,生徒にSVの関係を理解させたいときに使う活動。

出典はNationのTeaching and ESL/EFL Reading and Writing(2009:41)。精読をさせたいとき,Qを作る代わりに動詞を抜き出すだけなので,教員の準備は楽。生徒はしっかりと読み込まないとできない。名詞に下線を引き,その名詞を中心とする名詞句の始まりと終わりに( )をつけて囲むという活動をした後がやりやすい。この( )をつける活動は,松井先生の四角で視覚化とほぼ同じなので,そちらを見れば良いと思われる。

例文

Malaria is a serious disease that affects millions of people every year. Malaria is spread by female mosquitoes, and one obvious way to fight it is to reduce the number of mosquitoes. This can be done very effectively by using chemicals that kill them.
(英検2級 2011年第2回)

次のように黒板に書く
affect
spread
fight
use

生徒はその単語のSV+αを自分で補って書く。
例えば,affectなら生徒は下のように答えを書く。
Malaria affects millions of people every year.

受動態は能動態に変えて書く。
Female mosquitoes spread malaria.

主語が不明な場合は自分で補う。代名詞は参照されている語を書く(it)。
People fight malaria.

関係詞で修飾されている場合はそこまでしっかりと書く。
People can use chemicals that kill them.

全英連大会に参加したこと

今回の全英連大分大会1日目はいいちこホールでの実施だった。入ったらブースがたくさんあって懐かしい方々にも再見した(といっても中国語ではもちろん話した訳ではないです)。このホールはすごくいいホールだったが(NHK大分とかも入っている大きなビルだった),使用料が高そうだなあと思いながら参加。尾関先生の話の前には総会があった。ちょうど,安木先生とお会いしたので,いろいろと話していたら,アメリカ大使館がLarsen-FreemanさんのDVDを無料配布していたのでもらった。Larsen-Freemanさんとは一度だけ神戸でお会いしたことがあるけれども,本当に素敵な優しい感じの方だったのを今でも覚えている。早くみなければ!

尾関先生のKeynote Speech

尾関先生の話。

尾関先生の話をお伺いするのは初めてだったが,とてもinspiringな話だった。SLA+CEFRの理念についての内容。自分にとってはちゃんと覚えているか,復習のような感じで楽しかった。尾関先生はPreziを使って話されており,途中で「ふふふ・・・」と笑いながらお話をされていて,終始明るい雰囲気だった。自分でもPreziを使って授業をしたことはあるが,Preziでのスピーチを聞いたのは初めてだった。あれ,連続してたくさん動くと酔うこともあるが,ゆっくり話されるので,分かりやすい。Coffee Breakと書いてある箇所があり,楽しみにしていたが,当然のようにCoffee Breakはなかった。

内容として主に話されたのは,以下のことだった。

  1. Intercultural Communicative CompetenceとCommunicative Competenceの違い。CEFRの話が出たので,関連を考えながら拝聴。
  2. Activity, Exercise, Taskの違い。Ellis(2003)かもしれない。
  3. SwainのCommunicative CompetenceのReview。本当に懐かしい。Discourse Competenceをきちんと説明できない自分に気づいた。
  4. Performance TestのAdvantagesとDisadvantages。そうなんすよねーと思いながら聞いていたら,翌日の自分の話とlinkすると思ったので,スライドを追加することを決定。
  5. Meta-cognitive能力とcognitive能力では,metaの方が大事。
  6. Socio-linguistic ApproachとPsychological (Cognitive) Approachの違い。今,ガリレオ塾ではZoltán Dörnyei & Ema Ushioda (2011)を輪読しているので,いろいろと頭の中でlinkさせながら拝聴。面白かったです。

後の懇親会でお会いしたのでいろいろと話していたら,「有嶋,軽いねー」と褒めていただいた(?)。口から生まれてきたので,仕方ない。

公開授業

小学校,中学校,高校の公開授業を参観。さすがに3つ連続で聴くのは疲れたが,得たものもあり。鹿児島高英研の方々は来年度九英連大会の運営があるので,「机が・・・」「あそこにタイマーを・・・」「マイクが25本・・・」などと,内容よりも運営を見ていて面白かった。小学校でCDが流れないハプニングもあったが,会場から手拍子。なかなかいい雰囲気だった。

高校の公開授業は,生徒が自分の夢というテーマでディスカッションをする授業。生徒たちはいつもこんな授業ですよーと最後に説明があったが,生徒のキャラが立ち,面白かった。2年生の理系の普通クラスだったので,tense controlの失敗や動詞抜けなど,スピーキングとしては,教員がrecastで入りたいであろう場面も幾つかあったがInterveneせずに継続。まあ,教師がInterveneしながら続けさせてもいいかなーと思ったのだけれども,どこかできっとトレーニングはされているのだろうなあと思いながら参観した。僕が思いつくことぐらい,2年間かけて準備されているのできっと考えているだろうから。まあ,鹿児島としては,来年の公開授業では,教科書を使った授業を見せるというところで合意。教科書を使ってどうALに持っていくかというところが知りたい気もする。来年のテーマは正直アクティブラーニングなので,頑張らねば!

第35分科会

第35分科会でRetellingについて発表した。教室にあったプロジェクターを使って発表したが,暗かったので見えにくくて申し訳なかった。持ってくるか,カシオさんに先にお願いしておくべきだった。発表も普通の部屋で発表だったので,80名以上の参加もあって,教室の後ろも廊下でも立ち見。これも申し訳なかった。

発表自体は,割とスムーズに進んだ。実は僕がしっかりと確認していなかったので,ずっと30分発表だと思い込んでいて,1週間前ぐらいに発表が60分で,質疑応答,指導助言も合わせて90分だと知ったので,ちょっとやばいなーという感じだった。慌ててスライドを作りこんでいき,最終的に67枚になったところで割と安心した。司会者のIさんにも本当にお世話になりました。

当然,発表は英語で。英語の発表は英語で行うことを基本にする,というギャグが浮かんだが,言わず。今思えば,言わなくて本当に良かった。知り合いがたくさん見に来てくださってよかった。知り合いからも良かったですよと言われて一安心。長いだけでしたねと言われなくて本当に良かった。聞きに来てくださった方に感謝したい。

アンケートでも,Retellingやってみようと思いましたとの言葉もあり,良かった。さらに研究を進める予定。

だいたいこんな感じの全英連でした。唐揚げやとり天やボジョレーなどの話もあったのだけれど,それはまたいつか別の機会に。以上です。

LET九州・沖縄 長崎大会に参加しました。

LET九州・沖縄の長崎大会にパネリストとして参加しました。

10年ぐらい前に鹿児島大学で研修があったときにご一緒した先生の紹介で,今回また楽しい機会を与えていただきました。

大会のテーマは『「授業は英語で」を支える理論とその実践』ということで,英語で授業を進めることの是非はともかく,「授業は英語で」の実践上,気づいたことを発表するという趣旨で行われました。僕が言いたかったことは,「TTTよりSTTを増やすことが大事」「英語で行う上ではタスクがほんとに大事」「文法というのは,単語ではなく,文で話して初めて大事になってくる」などなどですが,20分という時間ではしっかり伝えることができず,他の先生方がしっかりとした構成で話されているのを聞くと,すごく残念な気持ちになりました。本当に申し訳なかったと感じました。

夜は夜で様々な先生とお話できて,楽しかったです。パネリストで行ったお好み焼きも大変美味しかったです。

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