1 クイズ
いきなりだが、クイズである。「イギリスに実際には存在しない地名はどれでしょうか?」
- Bath
- Beer
- Breakfast
さて何番!?
・・・といきなりクイズに入ったが、実は3番のBreakfast。試しに探してみたけど、なかった(^^)/。Bathは結構ロンドンに近く、有名な観光地なので知っている人も多いと思う。しかし今回、ホントにあるのはまさかのBeerである。イギリスの南にある海辺の静かな村であるが、YouTubeにプロモーションビデオまであるので、ぜひ興味を持った方は見ていただければと思う。残念ながらその由来は飲み物のbeerではないとのことだが、一度は行って、「Beerで beer!」と叫んでみたいものである。
では、今日の話題は、æshについてである(え?ではって何?話の流れはどうなったー?)。
BeerとBathはあるのに、Breakfastという集落はないイギリスだが、実はもう1つ面白い地名がある。それは今回タイトルにしている文字と関係がある。そうæである。
アッシュと呼ばれているこの文字「æ」は現在では使われなくなっており、使われるとしても、英語だと半音記号としてのみ使われている。大文字はÆである。今日はその文字が地名になっていた村を紹介する。
2 Ae Village
Ae VillageはScotlandに位置する人口がだいたい200人ぐらいの小さな小さな村である。主幹産業は農業。では、このAe村、なんと発音すればいいでしょうか?
またクイズかよ!と思いつつ、「えーとæだからキャーット」と思わず猫の発音でæの音を確認したりされたと思うが、実はこれ、最後のeは所謂マジックeに現在ではなっている(マジックeの説明はこちら→ https://uwl.weblio.jp/speaking-test/column/reference/english-magic-e)。それゆえ正解はAのアルファベット読みになるため、eiという発音となる。簡単に言えば、Aeと書いて、eiと読む。Wikipediaをみると地名の欄に1787年にはÆと書かれており、最も短い地名とされていたらしい。しかし、この地名は、なんて読めばいいか分かりにくいと思う。
en.wikipedia.org
うん? 頴娃と似てる?
で、そこまで調べて気づいたのだが、実は鹿児島には地名で「頴娃(えい)」という場所があるのだが、その地名と結構似ている。「えい」という読み方以外に、頴娃は難読地名として知られている。これも似ている。そして、この頴娃も実は2文字目の漢字は読まない。「頴」だけで「えい」と読めるのだ。では、なぜ頴娃と表記するのか。
頴娃の由来の詳細は不明だが、おそらくは1300年前の諸国郡郷名著好字令(いわゆる好字二字令)が関係しているのかもしれない。この命令は、地名とかは2文字がかっこいいから1文字や3文字の地名は2文字に!という結構無理な命令である(^^)/。これが713年のことである。想像するにきっとその後、地名を付ける際は2文字という風習が広がったのではないかと考えている。実際に和泉などは「泉」だけで十分なところに「和」をつけていたりもする。
Aeと頴娃との共通点
というわけで、振り返って頴娃とAeの共通点を確認してみる。まず(1)両方とも「えい」という地名である。(2)両方とも読めない(^^)/、そして(3)最初の文字は読むが2文字目は読まない、の3点が共通している。姉妹都市になってもいいくらいだ。「お前どこ住んでる?」「俺、頴娃」「おお、俺もAe!」という良く分からない会話が生まれそうだ。ちなみに、全く脈絡はないが、この両地名が書かれているTシャツがあれば、買ってもいいなあとちょっと思った。
3 Dolphin Hotel
というわけで、Ae villageと頴娃の共通点について書いたが(えいえいおー)、最初に述べたBeer villageの話にちょっとだけ戻りたい。実はBeer villageにはDolphin Hotelと呼ばれるホテルがある。インターネットで見る感じではとても良さそうなホテルだ。村上春樹の小説に「いるかホテル」というホテルがでてくるが、このBeer villageが舞台だと想像しながら読む、あるいは超ファンの方は実際にこのホテルに滞在して読むのもまた一興ではないかと感じた。今日はそんなところです。
https://www.dolphinhotelbeer.co.uk/