オンライン授業のやり方

オンライン授業についてどんなことを考えて、どんなアプリを使ってできるのか、考えたことを書きます。なお、このサイトで書いていることは、あくまでも個人的に使えそうだなと思っていることをまとめている個人のサイトに過ぎないのでご注意下さい。また、オンライン授業については、毎日情報がアップされて便利なことも紹介されますので、適宜updateする予定です(4/21追加記述あり)。なお、このエントリは前エントリのスピンアウトですので、前エントリもあわせてお読みください(ここをクリック)。

始める前に

準備

まずは準備が大切です。まず、オンライン授業では、必ずバックワードデザイン(後向き設計)が必要になります。そう、前向きでも後向き設計です!(このギャグ、いらん)。

目標と評価基準を作ろう

オンライン授業では、まず授業の目標を普段の授業よりもはっきりとさせる必要があります。生徒は目の前にいないし、時間も50分とは限らないので、その授業を通じて、学習者が何を身に付けるのかをはっきりさせます。具体的には、「知識・技能」よりも「思考・判断・表現」を中心に書くと良さそうです(思考・判断・表現をゴールにすると、それを達成するのに必要な「知識・理解」を学習者は自然と何度も使います)。このあたりを詳しく知りたい方は、「インストラクショナル・デザイン」(ID)と「責任の移行モデル」を検索されてください(一番下に参考図書を加えています)。

目標例(英語の授業の場合)
  • G1: L5 part1の別表の語句リストについて理解し、記憶している。
  • G2: L5 part1の本文に関する次の事実質問(5W1Hなどの質問)に答えることができる。
  • G3: L5 part1の本文に関する次の推論質問(ある程度行間を読む質問)に答えることができる。
  • G4: L5 part1の本文について、次の4コマの絵を見ながら説明できる。
ルーブリック例(上の授業の目標3(G2)の場合)
  • a: ほぼ全ての質問に適切に答えることができる。
  • b: 8割の質問に適切に答えることができる。
  • c: 8割未満しか答えることができない。
授業の手順(procedure)を決める。

以上のような感じで、目標と評価基準を決めます。このように目標等を先に決めると、学習者に何を学ばせたいか、どのように学ばせるか、どう評価するかということが決まってきます。特にオンライン授業では、どのように学ばせたいか(=説明やモデルを聞く部分か、協働学習か、個別学習か)をここで設計できるので、先に目標を決めることがとても大切になってきます。また、今年度中に何度か休校になったとしても(ならない方がいいですが)、何が生徒ができたら学んだと言えるかと説明できるようになるので、とても大切だと考えています。特に休校中でも、単位を出す必要がある場合は、この点が非常に重要になります。

なお、他のエントリで書いたように、ひとつひとつの授業については、ガニエの9つの教授事象を思い出す必要があります。

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9教授事象を自身の学びに活かす(稲垣忠編著「教育の方法と技術 主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナル・デザイン」2019 p.36)

以上のように考えて、授業の流れをを決めた場合、下のような順番で授業が設計されます。

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授業の流れ

授業について

流れをまず示す。

まず授業については、Word等で「L5 P1授業の手引き」などと範囲とその書類の内容を書いた名前にして作ります(日付で書いても、生徒は別の日に見るかもしれません)。内容は、「はじめに」「授業の目標」「授業の流れ」「確認してみよう」程度でしょうか。具体的には、「授業の目標」のところに上の目標を書き、「授業の流れ」のところに(1)PPTを見る→(Youtubeの限定公開リンクURL)+QRコード・・・などと続けて書きます(QRコードをつけておくと、プリンタで印刷すればすぐリンクに飛ぶことができるので学習者に便利です)。この作成した授業の手引きをホームページに載せるか、メール等で配信します。つまり、以下のようなプリントをオンラインで配布しておけば、いつ生徒が勉強を始めても手順がわかります。

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授業の手引きのイメージ

QRコードの作り方についてはここをクリック(Trendmicro(クリック)で安全性を確認したサイトです。以下示したサイトもほぼこのトレンドマイクロのサイトで安全性を確認しています)。

モチベーションをあげよう!

ここまで準備しても、学習者にはなぜ学ぶのか分かりません。そういうときは、KWLチャートか、SQ3Rを使うのがいいと思います。知っていることと、学びたいことを結びつけることができますし、自分で何を学びたいか考えることができます。
SQ3R - Wikipedia

それぞれの授業タイプについて

以下に示す授業のそれぞれの場面はWordpressなどの1つのプログラムでも割とできますが、もともとある複数のアプリ・プログラムの様々な機能を組み合わせてする方法で今回は説明します(その方がweb上にもやり方がいっぱい載っていて便利なので)。

【講義型授業】PPT(=パワーポイント)を使う

講義型の授業はパワーポイントで説明できます。例えば、授業の目標だったり、何かの説明の時にはPPTのスライドを見せながら説明すれば良いと思います。PPTには声を録音できる機能がついています(自分の映像も載せることができます)。スライドごとに説明ができるので、わかりやすいです。詳しくは下のリンクに載っています。作ったファイルはyoutubeに限定公開でアップロードするか、Vimeoでパスワードをつけて公開するかします(アップロードする際に、管理職等に許可をとる、著作権に気をつけるなど、配慮すべきことがあるので注意されてください)。

なお、PPTで録音したファイルを作ってみたのですが、2分で10MBほどでした。10分で50MBほどなので、zoomで軽くする方法を考えるか探してみたいです。
(4/21注記) Screen-o-maticを使えば、10分で20MBほどとHiroyuki Maeda先生に教えてもらいました(ありがとうございます!)。フリップスクールというところが、Screen-o-maticを使う方法を説明してくれています(Youtubeです。Youtubeなので、安全性確認はしていません)。その1(クリック)その2(クリック)

【講義型授業】PDFと音声を使う

上記で作ったPPTをPDFに変換して、アプリ等を使って講義の音声をmp3で作成し、両方公開する方法(簡単に言えば、メールに添付するかDropbox等を使って公開する。ただしセキュリティ(誰にでも公開となったり)などには気をつけて)もあります。この場合は、「はい、PDFの2ページをみてね」など、どのスライドを説明しているかわかりやすくいう必要があるとおもっています。なお、上記で書いたMP3というのは、音声等のファイルを軽くする時に使うファイル形式です。参考:Wordで文書を作成して、PDFにするときにパスワードで保護する方法

【講義型授業】PDFのみにする

すべてをプリントに書いて配布する方法もあります。パスワード付きで配信すればすぐできます。ただし、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」で様々な問題が指摘されていますので、ご注意ください。

【講義型授業/ディスカッション型授業】zoomを使って録画する

zoomの無料アカウントでも40分は使えます。zoomの使い方は下記に詳しいです(ホワイトボードの使い方なども)。録画機能がついていますので、講義型で自分の説明を録画するときは、PCでホストして、スマホ等で入室して説明を行い、録画したものを公開すればいいと思ってますが、まだ試していません。ホワイトボードを使って、難しい英文の構造を説明するときも、このやり方が使えるよなーとか思っています。いろいろと試したらまた報告します。なお、ディスカッションで使用する場合、zoomで40人いっぺんにつながると大変なので、10〜15人で時間を区切ってやる方法がいいかも、と思っています。

zoom-kaigi.com
※安全性確認済みサイト

【小テスト・アンケートを作る】Google formを使う。

Google formで自動採点ができる小テストを作ることができます。また、授業の事後アンケート(どの場面が一番難しかったですか等)もGoogle Formで作るのが一番簡単だと感じました。下のサイトは、いくつかサイトをみて、一番わかりやすいと感じたサイトです(トレンドマイクロでは安全性を確認できなかったので、他のサービスで安全性を確認しています)。Google Formでは、記述問題は一致しないと正解としませんが、センター試験や共通テストにあるように、選択問題だけれども、思考・判断・表現を測る問題も作成可能です。

www.fy1203.com

【提出】Google Formで学習者が作ったファイル(word, pdf, ppt等)を提出させる

Google Formでは、生徒が自分が使ったファイルを提出させることができます。ただし、生徒はGmailアカウントなどを作成し、Googleアカウントを作る必要がありますので、事前にやり方を説明し、gmailをとらせて自分にメールさせるなど、準備をしておく必要があります(ま、メールアドレスをとったら、メールで提出すればいいんですけど)。下記のサイトがわかりやすかったです(安全性確認済み)

www.ec-create.jp

最後に

最初の目標ですが、例では、目標1(G1)や目標2(G2)などは答えが決まってくるので、割と簡単に答えを生徒が共有します。なので、発想を変えて、例えばG2を「本文から答えが導くことができる質問を8つ英語で作りなさい。ただし、自分で答えもあわせて作ること」とすると答えを共有するとバレバレになるので学習者も自分でやらないといけないなーと考えるようになります。ただ、難しくてできないという学習者が出てくると思うので、先生のモデルをいくつか示す必要があります(PPTなどで考え方を説明して)。また、生徒一人一人の答えが違う場合は、評価の時間もそれなりにかかるということです。この辺りをどう解決するかまた考える必要があると思っています。

今回はこんなところです。さりゅ。