上山晋平著「英語リテリング&ショート・プレゼンテーション指導ガイドブック」は買いだ!

うむ、上山先生の青本レビューである。青本といえば「ウィトゲンシュタイン?」と思うあなたは、荒木博行さんのvoicy聴きすぎ問題である。そうではなく、上山青本である。誰もがきっと「R&SP」と呼ぶ中、あえてここでは、青本」と呼びたい!(はい、勝手にどうぞ〜♪)

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さて、この青本だが、まだ買ってない英語の先生は損をしていると言わざるを得ない。うむ、得ない(←大事だから繰り返した)。今年の研修でよく出た質問ベスト600の上位350に絶対に入る質問として(そんな位置かーい!?)、「パフォーマンステストの作り方ってどうすればいいですか?」「「主体的に学習に取り組む態度」ってどう評価すればいいですか?」というのがあるが、この青本を購入すれば、結構そのあたりいい線行きますよね!という本になっていらっしゃりありおりはべり、いまそがり!?

まずこの本の売りはどこ!?って言われると思うが、1番に挙げたいのは、もやもや感の解決である。リテリングをさせていると、「これって要するに本文暗記じゃないですか?思考力つきますん?」とかいろいろ思ったりする。で、それってp.76にそのまま上山先生の悩みとして書いてあって、だからこそ「R」から段階上げて「SP」に!となるわけである(PQRSじゃ?と思ったあなたは、それ単にアルファベットの順番ですがなー!)。ここでのRとはRetellingで、SPとは塩コショー、じゃなかった、Short Presentationである。で、またこれが憎いことに、そのもやもやの解決策の1つとして、さすが広島、ICEモデルを活用している。ICEモデルというのは、お名前のその変換できなさに一瞬困ってしまうことで著名な柞磨先生が書かれた(え?)ICEモデルで拓く主体的な学び―成長を促すフレームワークの実践 | カーリルの本に詳しい(真面目な話、これは非常に立派な本で、とても参考になります)。これにより一見教科書の英文コピペリピートで終わりそうなリテリングが心が入った良い活動となるのである。

そしてこの青本、上山先生らしく、読みながら一緒に一歩一歩進めることができるような丁寧な作りとなっていて、単元の導入から最後のアウトプットまでの指導について、ちゃんと段階を踏む形式で書いてある。ぜひこちらで目次を見て欲しい。特に第2章の2である。12項目が「リテリングを促す〜」という内容で書かれており、単元の全てを網羅しつつ、リテリングに向けてどのように指導すればよいか丁寧に示してあることが分かる。このようにして、もやもや感を感じそうなところが来ると、立ち止まって「こうしたらいいんじゃないですか?(にっこり)」と上山先生がさりげなくヒントを出してくれているのだ!

このあたりが上山先生の真骨頂である。自分だったら、「まあ、その辺りはごにょごにょ、各自で工夫するとして」と必殺技の「各自で工夫」の返し技で済ましちゃうところだが、上山先生は全部丁寧に説明を書いているので、今年教員になったあなたも全然だいじょうぶ!ほら、あなたも!という感じの作りになっている。もちろん、ベテランでも「うむ」などと言いながらコーヒー片手に指導法を復習できて、とてもいい塩梅の本になっています(思わず、だんだん丁寧語になってきた!)。

例を出すと、リテリングには要約が必要と思うことが多い。で、そう思った人のために、段階を踏んだ活動として「8 リテリングを促す要約活動」(pp.40-41)が用意されており、そこを見ればOKだ。「あ、このプリントパクりたい!」と思わせる内容が書いてあり、もちろんダウンロード可能だ。パクって配布するだけなのに、教室で「お前ら、要約と用紙の違い分かってるかー?」「先生がわかってないでーす。用紙じゃないでーす、要旨でーす!」などと生徒と一緒に漫才すら可能な作りになっている!(違)

他にも「リテリングさせたら、最後はライティングまでさせて、一度で二度美味しい的な?」「ふふふ、苺を喰らわば皿までですな」「一挙両得、真剣白刃取り、二兎を追うもの一兎も得ずだな」「!(最後ダメじゃん・・・)」的な悪巧みを考えてしまいそうな某岐阜県の某先生にも、ほら答えが!「11 リテリングを促すライティングカツ丼」(p.50)(←一部誤りあり)と、ホントにきめ細かく作られている。

ちょっと話についてこれなくなっている読者もいるかもしれないので(いや、もう読むのやめてる!?)、一旦まとめると、「もやもや感」→「どう解決すればいいのかな?」→「おお、スモールステップ1,2,3で示してあるので、工夫まで具体化されててわかりやすい!」→「配りたいプリントがダウンロード可能!?」→「しかもWordだから編集可能!?」と何度もびっくりぽん、そんな時には干し大根、テレビはやっぱりクリアビジョン!などと韻まで踏んだりすることが可能になっている青本なのである!

で、先に書いた「「主体的に学習に取り組む態度」ってどう評価すればいいですか?」的な質問に答えると、これがまた、圧巻、英語プレゼンスキル100がpp.102-105に示してある。このスキル100、例えば内容の工夫の欄には「わかりやすい内容にする」という下位項目があり、さらにその具体的な「やるべきこと」が3つ示されている(詳しくは青本参考で!)。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価をちゃんとするには、思判表の達成目標について、活動の前後で記録させるといい(だから、こんなのが欲しかったとA先生談)。態度を評価するには、計画を立てさせて振り返らせ、そして結果とあわせて評価がそのコツである。授業又は単元における目標を示した上で、このスキル100個の中から例えば10個、自分の目標も決めさせる(Dornyeiの35の方略の1つ「選択」)。そして、いつどのように工夫させるか考えさせる。そして活動後に、目標達成に向けてどの点をどのように努力したか具体的に振り返らせる。そんな振り返りに必要な具体的な観点がこのスキル100に書かれているのだ。だから生徒に目標を示しやすいし、生徒と教員との共有も容易になる。うーむ、これからの自分の研修で、これ使っていいですか、上山先生!?と思わずいいたくなるちょうど良さである。

で、さらに、思判表の目標を定めるとする。例えば「聴衆を惹きつける工夫をしながら、発表を始めることができる」などだ。当然ながら、評価するからには、指導も必要である。惹きつける工夫をする時には、どのような英語表現があるのか、発表を始めるには、どんな英語表現等があるのか。その表現は知識・技能として評価できる。だが、まず教員は生徒に示して教えるために、その使うべき英語表現を自分でリストアップしなくてはならない。そして、そんな時に青本が役に立つ。p.88に「プレゼンで使える英語フレーズ」という名前ででてくる資料がすごくヒントになる。もう、どんだけ親切!?と思ったりする。で、もちろんダウンロード可能なのである。

いやはや、もう、昨日も、そしてきっと今朝までニクい感じだ(その今朝かーい!)。ま、そんなすごい青本なのだが、何度も書いているように、読み手がこの本の欲しくなるであろうページが、全部「ダウンロード可能」である!

これ、実は心配である。一回著者である上山先生に真剣に聞いてみたいのだが、これみんなダウンロードしちゃったら、本買わなくなるんじゃないかと思ったりする。もはや太っ腹すぎて「神山様」かもしれない。上山先生の本は「話本(わぼん)」「書本(しょぼん)」などの良書があるが、この2つについても資料は全部ダウンロード可能である。

そんな上山先生、あまりにも心配なので、令和5年1月8日(日)の研修会の午前の部にお呼びすることにしました!(え!?) 研修会では、今度新しく出る「緑本」(トリディス本と絶対みんな呼ぶと思うけど、あえて緑本と呼びたい!)について話をしていただく予定である。きっと、すべてがダウンロード可能で、もしかしたら、本人すらダウンロード可能にしているのではないか疑惑すらある。これは、研修に来なければ、真偽の程はわからない(マジか・・・)。

というわけで、もし研修に参加したい場合は、ぜひ下記URLから申し込みをお願いしたい所存である(と急に宣伝になって終わる所存でもあります!)。あ、緑本の正式なリンクをまずは下に貼って、そのさらに下に申し込みURLをつけまーす(申込は、きっと1月5日ぐらいまで有効)。ま、今日はそんなところです。上山先生の青本のレビューでした!

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研修内容:
鹿児島TEFL研究会 - 研究発表大会

申込先:第30回鹿児島TEFL研究会研究発表大会への参加申し込みフォーム