Teacher toolkit.aiはどこまで使えるか。

ELSAの高橋さんのTweet(クリック)で、そのままずばり、Lesson planを作ってくれるAIが出現したと知った。

ええええ!という驚きと、いやいや、そんな上手い話があるはずないでしょう!との冷静な気持ちが入り混じるが、念のためにどの程度のサービスかチェックしてみてみようと強く思いたった。で、実際に使ってみたら割とヒントになりそうな感じだった(笑)。簡単にまとめると次のサービスである。

入力するのは次の2つ

入力するのは、Lesson Title(タイトル)とDescription & Details(詳細)だけである。簡単。ただし、タイトルはAIがレッスンプランを作るのに重要な項目となるので、説明がちゃんと書いてあり、「磁石」ではだめで、せめて「磁石と電磁石」と書くか、「小学生の磁石と電磁石の入門」と学年と内容を詳しく書くことが求められている。詳細については、入力しなくても大丈夫と書いてあるが(なくても自動で埋めると書かれている)、念のため、詳しく入れておくといいかもしれない。

なお、注意書きで、「たくさんの指導ヒントをAIは書くけど、どんな授業にするか、自分のやりたいことと合っているものを選ぶなどしてくださいね」と書かれている。実際どのぐらいたくさんのヒントが提供されるかという点は下を見てもらえばわかるが、やっぱり目の前の生徒に合わせたカスタマイズが最終的には必要である。

あくまでも授業デザインのヒントをもらうと思うといいかも。あと具体的なハンドアウトはやっぱり作ってくれない(笑)。

出力される内容

授業案作成ボタンを押すと、2、3分程度待てば指導案ができてくる。結構時間がかかるので、気持ち的には電子レンジで料理するような気持ちである。3分セットして、その間にコーヒー飲んで・・・という感じだと思いながら待つと、あまりイライラすることはない(笑)。作成ボタンを押して、出力される項目は以下のとおりである。

  1. Learning Objectives & Outcomes(学習目標と期待される結果)
  2. Introduction(導入)
  3. Demonstrate and Explain(デモンストレーションと説明)
  4. Student Task(生徒のタスク)
  5. Formative Assessment(指導に生かす評価)
  6. Reflection(振り返り)
  7. Resources(参考となるサイト等)
  8. 21st Century Skills(21世紀スキル)

個人的には、1番目の目標と期待される結果、4番目の生徒のタスク、そして最後のResources(参考となるサイト等)と21世紀タスクは割と良かった。残りの項目は、ちょっと重なりがある印象。

では、早速始めてみる。

さっそく始める

まずは、Webサイトに行く。https://www.teachertoolkit.ai/である。

www.teachertoolkit.ai

最初は、上のようなサイトが開く。まず、"Get Started"を押して登録開始。登録するとメールに番号が送ってくるので、その番号を入力すれば「レッスン作る?」「評価作る?」とかいろいろボタンがあるサイトにいく。とりあえず今回は最初に出てくるボタン(図の緑色)、"Plan a Lesson"を押していよいよ開始。


(出典:TeacherToolkit.ai

早速作ってもらう。

では、早速作る。最初は下の画面になる。


(出典:TeacherToolkit.ai

今回は、Boxed lunch or Using school cafeteria(弁当かそれとも学食か)とする(よくある授業だ)。このタイトルでレッスンプランを作ってもらうようにする。2つ目のボックスには適当に文言を入れる。ここは空白でも作ってくれるとのことだが念のため。

入力が終わったら、早速指導案を作ってもらう。"Generate a lesson draft"を押す(ここで、昭和な方は「ポチッとな!」と言ってもいい)。そうすると、"We're building your lesson now, you'll be redirect shortly."とボタンの上にメッセージが出てくる。・・・待ってもできないなあと思っても待つ(笑)。すると、メッセージが"Still working on it... Little bit longer..."となる。そして、待つ(笑)。「なんかぐるぐる回ってるなー。まだかなー」と待ち長くなったころに、画面が切り替わって出来上がりである(何回か試したが、長いときで、3分ぐらい待った)。

個人的には、「割と待つなー」と感じました。

じゃーん

しばし待つと指導案ができあがる。これは、繰り返しになるが、本当に「電子レンジで、すぐにパッパと晩御飯!!」みたいな感じを個人的には受ける。タイトルを入れて、待つのだ(笑)。で、どんな指導案になったか、ワクワクしながら見る。

まず、最初に書いてあるのは、Lesson TitleとDescription & Detailsである。これはだいたい入力した通り(Description & Detailsは適当にいれても、ちゃんと書いてくれことを確認した)。で、その後に、Learning Objectives & Outcomesが書かれている。さっそく見てみたい。

Learning Objectives & Outcomes

まずは授業の学習目標と結果。どんな内容か見てみる。下のようにずらっと並ぶ。数えてみたら、23個の目標と期待される結果が載っていた。

DeepLさんに訳してもらうと次のとおり。AIとしては「いっぱい出すんで、好きなの選んでやー」という感じだ。実際に、自分で授業を考える時には、この中から「いいとこ取り」をすればいいと思う。ただ見るとわかるとおり、同じような内容が列挙されている印象も受ける。これは動詞が異なっているので、Bloomの分類的には異なるLevelとなっているのだろうと思う。

  • 弁当を学校に持っていくことと、学食を利用することの長所と短所を明確にする。
  • お弁当と学食の栄養価を比較する。
  • 2つのランチオプションのコスト差を比較する
  • お弁当と学食の環境への影響について分析する。
  • 各ランチオプションに関連する利便性の要因を説明する
  • 賢い昼食の選択をするための戦略を要約する。
  • 2つのランチの選択肢を区別する
  • 食品の選択が健康、予算、環境に与える影響を解釈する。
  • 賢い昼食の選択をするための戦略を活用する
  • 弁当と学食の栄養価の違いを理解する。
  • 2つのランチオプションのコスト差を適用し、予算計画を立てる
  • 弁当と学食の環境に対する影響を分析し、行動計画を立てる。
  • 弁当持参と学食利用の長所と短所を検討する
  • 両方の選択肢の栄養価、コスト、利便性を比較対照する。
  • 食品の選択が健康、予算、環境に与える影響を評価する。
  • 賢い昼食の選択をするための戦略を調査する。
  • 個人のニーズを満たす賢い昼食選択をするための計画を立てる。
  • 2つのランチオプションのコスト差に基づいた予算計画を作成する。
  • 弁当と学食の環境への影響に基づいた行動計画を立案する
  • 賢い昼食選びのための戦略の有効性を評価する
  • 2つのランチオプションの栄養価、コスト、利便性を判断する
  • 食品の選択が健康、予算、環境に与える影響を分析する
  • 個人のニーズを満たす賢い昼食選択をするための計画を批評する

結構多いので、DeepLですぐ訳して確認した方が早いかも。

Introduction

次に表示されるのは、introductionである。割と、ヘビーなイントロでちょっと引く(笑)。引用。ここは生徒に授業内容を導入するところかと思っていたが、もしかしたら、授業の内容を読み手に短く示しているだけかもしれない。どっちだ!?(笑)

Create a chart that compares and contrasts the nutritional value, cost, and convenience of both bringing a boxed lunch and using the school cafeteria. Ask students to brainstorm the pros and cons of each option, and then have them add suggested items to the chart.
(お弁当を持参する場合と学食を利用する場合の栄養価、コスト、利便性を比較対照する表を作成する。生徒にそれぞれの選択肢の長所と短所をブレインストーミングで考えさせ、提案された項目をチャートに追加させる。)

Have students interview other students or staff members to get their opinion on the pros and cons of bringing a boxed lunch versus using the school cafeteria. Ask them to record their findings and report back to the class.
(他の生徒や職員に、弁当持参と学食利用の長所と短所について意見を聞く。その結果を記録し、クラスで報告するように指示する。)

Divide the class into two groups. Assign one group to represent the pros of bringing a boxed lunch and the other group to represent the pros of using the school cafeteria. Have each group create a presentation that outlines their points and have a class discussion to compare and contrast both options.
(クラスを2つのグループに分ける。一方のグループは弁当持参の長所、もう一方のグループは学食を利用する長所として割り当てる。それぞれのグループの長所をまとめたプレゼンテーションを作成し、両者を比較対照するためにクラスでディスカッションを行う。)

Invite a nutritionist or dietician to the classroom for a cooking demonstration. Ask them to prepare a few meals using both boxed lunch and school cafeteria ingredients. Discuss the nutritional value, cost, and convenience of each meal with the students.
(栄養士や管理栄養士を教室に招き、料理の実演をしてもらう。弁当と学食の両方の食材を使った食事をいくつか作ってもらう。各食事の栄養価、コスト、利便性について生徒と話し合う。)

Demonstrate and Explain

次はDemonstrate and Explain(デモンストレーションと説明)。早速、このセクションについて確認すると、ここは生徒に説明する内容を示しているようだ。いくつかは「話し合う」となっているので、必ずしも説明だけではないのに注意。結構2つ上の「Learning Objectives & Outcomes」と近い感じがするので、あんまり必要ないかもしれない。最初の5つだけを抜粋。

• Introduce students to the concept of bringing a boxed lunch or using the school cafeteria(弁当を持参するか、学校のカフェテリアを利用するかという概念を生徒に紹介する。)
• Explain the potential nutritional value, cost, and convenience of both options(両方の選択肢について、栄養価、コスト、利便性を説明する。)
• Identify the pros and cons associated with each option(それぞれの選択肢に関連する長所と短所を明確にする。)
• Outline the importance of making healthy choices(健康的な選択をすることの重要性を概説する。)
• Discuss how to make the best choice for individual needs within the context of both options(両方の選択肢の中で、個人のニーズに合った最適な選択をする方法について話し合う。)
(Snip. 以下省略)

Student Task

次は生徒のタスク。割と多く、今回は22のタスクが示されていた。ここから、生徒に必要なタスクを選ぶといいかもしれない。ChatGPTに入れて、このタスクはBloom's revised taxonomyのどれ?ときいて分類させたり、実際の活動を作ってもらってもいいかもしれない。さすがにちょっと数が多いので、最初のいくつかを抜粋。

  • Analyze the nutritional value of boxed lunches versus school cafeteria food(お弁当と学食の栄養価を比較する。)
  • Compare the cost difference between the two lunch options(2つのランチオプションのコスト差を比較する。)
  • Examine the environmental impact of boxed lunches versus school cafeteria food(お弁当とカフェテリアの環境負荷の比較。)
  • Evaluate the convenience factors associated with each lunch option(弁当とカフェテリアの利便性の比較)
  • Investigate the strategies for making smart lunch choices(昼食の選択肢を賢く選ぶための戦略について調べる。)
  • Summarize the pros and cons of bringing a boxed lunch to school or using the school cafeteria(弁当を学校に持っていくことと、学食を利用することの長所と短所をまとめる。)
  • Analyze the environmental impacts of boxed lunches versus school cafeteria food to create a plan of action(お弁当とカフェテリアフードの環境に対する影響を分析し、行動計画を立てる。)
  • Create a plan to make smart lunch choices that meet an individual's needs(個人のニーズに合った賢い昼食の選択をするための計画を立てる。)

(Snip)

ChatGPTやPerplexity.aiと連携させるといいかも。

Formative Assessment

形成的評価の項目。タスクはたくさん出てきたが、ここの数は少ない。なんだか変な感じを受ける。内容をみる限り、そのまま生徒には使えない。評価については、ChatGPTなどに作ってもらった方が良さそうだ。今回はT/F問題になっていた。

  1. In this lesson, students will learn about the nutritional value of both bringing a boxed lunch or utilizing the school cafeteria.(この授業では、お弁当を持参する場合と学食を利用する場合の栄養価について学びます。)
  2. The lesson will discuss how to make the most cost-efficient choice between bringing a boxed lunch or utilizing the school cafeteria.(この授業では、お弁当を持参するか、学食を利用するか、最も費用対効果の高い選択をする方法について説明します。)
  3. The importance of making healthy choices will be discussed in the context of both options.(健康的な選択をすることの重要性は、両方の選択肢の文脈で語られます。)
  4. The lesson will not focus on the convenience of bringing a boxed lunch or utilizing the school cafeteria.(お弁当を持参したり、学食を利用することの利便性については、この授業では取り上げません。)

Reflection

学んだことの振り返り。ただ、上のStudents taskと重なっている感じもする。どちらか一方で良さそう。これも最初の方を載せて、あとは省略。

  1. Write or draw a representation of the lesson content.(授業内容を文字や絵で表現する。)
  2. Write a summary of the key points of the lesson.(授業の大事なポイントを要約する。)
  3. Complete a Venn Diagram outlining the pros and cons of bringing a boxed lunch versus using the school cafeteria.(弁当持参と学食利用の長所と短所をベン図にまとめる。)
  4. Create a list of questions relating to the lesson content.(授業内容に関連した質問リストを作成する。)
  5. Develop a concept map outlining the key ideas.(重要なアイデアをまとめたマインドマップを作成する。)
  6. Brainstorm ideas related to making smart lunch choices.(昼食の賢い選択に関するアイデアを出し合う。)
  7. Reflect on the strategies learned and how they can be applied to making lunch choices.(それまでに学んだ方略を振り返り、昼食の選択にどのように応用できるかを考える。)
  8. Evaluate the nutritional value, cost, and convenience of the two lunch options.(弁当持参と学食利用について、栄養価、コスト、利便性を評価する。)

(Snip. 以下省略)

Resources

授業に関連するサイトを示してくれる。割とこれは便利かもしれない。もしかしたら、 Perplexity.ai でさらに深掘りするかもしれないとも、ちょっとだけ思った。

21st Century Skills

Tweetで言及が多かったのは、この21世紀スキルだ。割といいかもという好意的なコメントが多かった。普段の授業を使う時にも21世紀スキルについては考慮することもあるが、まず自分で単元デザインを作ってから、AIにもこの指導案を作ってもらって、大事なポイントの抜けがないか改善できるポイントがないか確認するヒントとする使い方も良さそうだと感じた。

This lesson addresses 21st Century Learning and Development (21CLD) skills in the following ways: (この授業では、21世紀型学習と能力開発(21CLD)のスキルに以下のように対応しています。)

  1. Critical Thinking and Problem-Solving(批判的思考と問題解決能力)
    • Students will be asked to analyze the pros and cons of the two lunch options, evaluate the nutritional value, compare the cost difference, and assess the environmental impact of the two lunch options.(生徒は、2つの昼食の選択肢の長所と短所を分析し、栄養価を評価し、費用の違いを比較し、2つの昼食の選択肢が環境に与える影響を評価するよう求められます。)
  2. Creativity and Innovation(創造性と革新性)
    • Students will generate a budget plan based on the cost difference between the two lunch options, design a plan of action based on the environmental impacts of the two lunch options, and create a plan to make smart lunch choices that meet an individual’s needs.(生徒は、2つの昼食(弁当持参と学食利用)のコスト差に基づいて予算計画を立て、2種類の昼食の環境影響に基づいて行動計画を立て、個人のニーズを満たす賢い昼食選択をするための計画を作成します。)
  3. Communication and Collaboration(コミュニケーションと協働学習)
    • Students will be able to communicate and collaborate with each other to compare and contrast the nutritional value, cost, and convenience of both lunch options.(生徒は、2種類の昼食の栄養価、コスト、利便性を比較検討することができます。)
  4. Information Literacy(情報リテラシー
    • Students will be able to use their knowledge of the nutritional value of boxed lunches versus school cafeteria food to create a budget plan and evaluate the impact of food choices on health, budget, and environment.(生徒は、弁当と学食の栄養価に関する知識を利用して、予算計画を立て、食品の選択が健康、予算、 環境に与える影響を評価することができます。)
  5. Media Literacy(メディアリテラシー
    • (内容は上と同じ)
  6. Digital Citizenship(デジタル公民権
    • Students will learn the importance of making healthy choices and how to do so within the context of both lunch options and be able to assess the effectiveness of the strategies for making smart lunch choices.(生徒は、健康的な選択をすることの重要性と、両方の昼食の選択肢の中でそうする方法を学び、賢い昼食の選択をするための各方法の有効性を評価できます。)

おわりに

以上、出力された結果を見てみたが、これ、英語の授業の指導案とは限らないという印象を受けた。国語や社会、理科でもいけそうである。もっというと、L2(外国語)の授業のヒントとしては、言語知識等が示されない面があるかもしれない。

そして、レベルが割と高い。どこまでここで得られたものを授業に導入するかは、目の前の生徒に合わせて確かに考える必要がある。個人的にはChatGPTに与えるPromptを工夫して自分好みに持っていく方がいいなと感じるが、こちらには、Promptなしにタイトルだけいれてちゃっちゃっと作ってくれる良さがある。どちらにしても、最初に述べたように、このサイトも単元デザインを行う際のヒントになるに過ぎない。やはり、道具と鋏は使いようなのかもしれない。

Prompt(AIへの指示)がいらないが、カスタマイズしたい部分も。他のAIと組み合わせて使うのもいいかもしれないと感じました。

今日はこんなところです。