-sのCEFR上でのレベルについて

松本先生のfacebookをみていて、三単現の-sについて話題が出てきたので、EGPで確認しました。

EGPって何?それ、おいしいの?という人は下記をご覧ください(それってもしかして、EGG!?)。
languageresearch.cambridge.org

三単現の-s

とは言ったものの、EGPでverb agreementがすぐに出てこなかったので(しくしく)、いろいろと探してみました。結果として、以下のpdf上で見つかりましたが、結局はEnglish Profileなので、まあ良しとしましょう!

この文書のp.30の3番目に以下のように掲載されています。

"Table 11: Error types that improve significantly between C1 to C2 levels"
Verb Agreement
When the verb is correct and the form of the verb is valid but wrong in the context because it does not agree grammatically with its coordinates, it is a Verb Agreement error.
(例: C1の人のerror例)
Something which grows in popularity are the solar cells. (is) The world have changed. (has)

やはりこれを見ると、主語と動詞の一致は、C1とC2の間でerrorがかなり(significantに!)減る例として載っていますので、習得するには、かなり高いレベルが必要であることがわかります。ま、そりゃそうですよね。

所有の-'s
  • sつながりで、EGPで所有の-'sもついでに探してみました(^^)/。

f:id:karishima:20190813091531p:plain
EGP結果

確認したところ、これもA2からC2に分布していることがわかります。A2レベルだとmy sister's jacketあたりのレベル。ちょっと面白いのは、irregular plural noun + -'s がB1で、(regular) plural noun + -'s がB2だということ。例として挙がっているのは、下記でした。

B1: children's school
B2: my parents' house

B2は2番目のsが省略される例だけど、レベルとしてはB2だということに留意でしょうか。学習者が自由に使えるようになるのには時間がかかることがわかります。

最後のC2では、省略や2個続くもの。例として挙がっているのは、I heard a familiar voice; it was my father's. やAnn 's mother's albums。このあたりも実際は難しいと思います。省略は、writingにおいてレベルが高い生徒でないとできないですね。

まとめ

理屈が簡単だからと言って、習得に時間がかからないというのはまた異なります。L1移転がない分、かなり習得に時間がかかるというのは様々な論文で指摘されています。三単現の-sは、ルールとしては最初に習いますが、エラーが減るのはC2レベルであり、スピーキングではほぼ間違いが散見されるレベルではないかと思います。実際、根岸先生らの論文(http://www.arcle.jp/research/books/data/html/data/pdf/vol8_3-2.pdf?fbclid=IwAR0aSFo1Eo0o40MfwR3chaoC7ZuYkXmVzGNGRM1RBFPfkm46XyR1hZbduPc)にある方法でテストを作り、時間制限を短くしたり、認知能力を必要とされる文法機能をからませたりすれば、間違いが散見されるのではないかと思います。

以上、なかなか難しい話でした。さりゅ!