大修館「英語教育」の3月号について。せっかく毎月英語教育を買っているのに、outputをしないと内容を忘れるし、もったいないと思うようになってきたので、できるだけ毎月書いていきたいと思います。
3月号の記事で気になった投稿は以下。
(1) 安木先生の投稿(pp.10-11)
第1特集の1番目でさすが安木先生と思いながら読了。最初は、生徒の様々なつまづきポイントを俯瞰する。安木(2016)の紹介もあったので、検索。該当論文は名詞句についての記述が詳しく書かれている。これについては、記事にあるとおり、意味順指導やtmrowingさんの「視覚化」指導が役に立ちそうだと感じた。
安木(2016)のリンクはこちら→https://www.jstage.jst.go.jp/article/casele/46/0/46_79/_pdf/-char/ja
(2) 暗唱例文についての指導についての記事(pp.18-19)
村木氏の記事。暗唱例文をどう自己表現に繋げるかというポイントで書かれている。Grammaringで言えば、意味ー形式が主に結びつく例文指導に使用場面への気づきを促し、意味ー形式ー使用(場面)を結びつけるやり方(grammaringについては、ここをクリック。このサイトはこの記事以外も示唆的)。鹿児島でよく使用されている基本文例600の扱い方のヒントになるのではないかと感じた。
(3) gatherの紹介(p.41)
zoomではなく、group workがしやすいサイトの紹介。ポスター発表などもできるようになっていて、デモページだけでも楽しめた。
(4) 文法指定の問題(p.51)
2月号の指摘も鋭かった奥住先生の記事。思判表の観点の指導・評価の場合、「特定の表現を使う絶好のチャンス」なのに使って欲しい文法事項は使わないかもという鋭い指摘があり、その原因やどう考えれば良いのかが掲載されていて、うなづきながら読了。
(5) 可能性を表すcanとmayの違い(Question Box, pp.81-83)
Smoking can damage your health.がmayでない理由や、canを使う場合の特定の状況など参考になった。同じ意味を表す言葉が2つ存在する時には、使用域(register)に違いが生まれるというのは、学生の時に教え込まれた鉄則だが、本当にそうだなと感じた。
(6) 私の本棚「読書は幸せをもたらす」(p.95)
今月号は荒木先生の記事なので、ここを最初に見た。learn by doing!早速この投稿でやってみました(笑)。
(7) 海外新刊書紹介(p.98)
根岸先生によるCEFR(CV2020)の紹介。CV2020の良さが書かれており、早速ダウンロードして確認した(ちょうど必要だった)。Companion Volumeはここからダウンロード可能である。このバージョンを読んでいて、いろいろな刺激があった。mediation(媒介)のスキルについての説明も良かった。
このバージョン本来なら稿をわけて書きたいが、例えばp.50の"Understanding as a member of a live audience"のCAN-DO記述は面白い。This scale concerns understanding a speaker addressing an audience(この尺度は聴衆に向かって話す話し手の理解について関与する)と書かれている。A2ではvisual supportがすべての項目に書かれているが、B1ではちょっと難しいトピックの場合だけvisual supportについて書かれており、他の場合は、視覚情報なしの記述となっている。つまり、A2の場合は視覚情報がないと理解しにくいと考えられ、B1になると視覚情報なしでもいけることを示唆する。そのことから、ディベートやディスカッションを教室で行う際は、ほとんどの生徒がA2レベルかもしれないことを考えると次のようになる。
- 話す人は、説明がわかりやすくなるように、スライドや紙を使って構造的(OREOなど)に話す。
- 聞く人は、主張とサポートが何だったのか確認しながら聞き、わからないことを質問する。
相互理解を図るために、結構このようにすればわかりやすいと感じた。CV2020は、指導のヒントにもなる。また読み進めたい。
(8) 海外論文紹介(p.99)
Laufer&Cobb(2020)についての記事。派生語について。高校では、派生語もあわせて教えることが多いが、3つの接辞がついた派生語だけで95%を占め、その3つに加えて、テキストタイプによって高頻出な10の接辞を知っていれば、98%以上がカバーできるという。コメントにこの結果からの教育的示唆が書かれており、とても参考になった。