ベネッセ「高1生の英語学習に関する調査 〈2015-2019継続調査〉」を読む

ベネッセ教育総合研究所が2015年から2019年の間、高校1年生に継続して行ったアンケート結果をまとめています。
berd.benesse.jp

結構面白い結果が出ています。ざっくり言うと、授業で英語を使う機会を増やすといいことが起きるかもしれないという感じでしょうか。

ニーズ分析

実は、このサイトを見つけたのは、ニーズ分析の必要性を訴える際に、どのようなニーズ分析をすればいいか例を探していたときでした。
他にも埼玉県のアンケート(クリック)や、少し古いですが島根県のアンケート結果(クリック)などを見つけました。

ベネッセ教育総合研究所が2015年から2019年の間、継続して高校1年生に行ったアンケート結果(以下、「アンケート結果」)にも出ていますが、生徒が英語を勉強する理由は「テストでいい点数を取りたい」「いい高校や大学に入りやすい」という実利的なものと、「英語が話せたらかっこいい」「外国の人と友だちになりたい」という(どちらかというと)純粋な気持ちのものが混じっています(p.13)。

授業についても「わかっている」「好きだ」と答えているのも半数程度のようです(p.17)。

「アンケート結果」で見つけた興味深い項目

今回の「アンケート結果」でかなり前面に打ち出されているのは、 高1生の英語に触れる機会(授業で英語を話す時間・授業や宿題で英語を書く機会)が多い生徒の結果です。例えば前者で10分以上時間があると答えている生徒は、「将来自分が仕事で英語を使う」と予想している割合が2/3程度ですが、機会が少ない生徒は約半数となっていたり(p.14)、「教室外で英語を使用したい」という割合が75%程度で、機会が少ない生徒50-60%と差が出ている(p.16)ことが分かります。また、実際に授業外で英語を使う機会(洋楽を聞く、Youtubeなどで英語の動画をみる)なども、多いことが示されていて、英語を実際に使う機会もまた多い傾向にあることが分かります(p.18)。

まとめ

ニーズ分析をする際のアンケートは埼玉県の例が参考になりそうですが、このアンケート結果で全国的な傾向も分かり、面白かったです。個人的には、p.8の先生による「働きかけ」の項目が心に刺さりました。授業で英語を使う割合が増えるほど、「英語で言ったことの文法や単語の誤りについて正しい英語で言い直してくれる」「英語で話していることを一生懸命聞いてくれる」「英語で言ったことに対してGood !やOK !と言ってくれる」と生徒が英語好きになるようなことが教室内で多く起きていることが分かります。生徒が英語を好きにならない、興味を持ってくれないというのが先生方の大きな悩みの1つだと思いますが、授業で英語を使う機会を増やすことも、また1つ生徒が英語を好きになるきっかけとなるかもしれません。もちろん、このことの相関関係と因果関係は別だと考えるのも大事ですが、1つの示唆を得た感のするアンケート結果でした。