リフレーミングについて。あるいは「井の中の蛙」について(忘備録シリーズ)

先日、リフレーミングについて話す機会をもらったので、またもやその忘備録です。最近、忘備録が多いな(^^; なお、話してからちょっと時間がたってしまっているので、内容が少し変化しているかもです。

1 はじめに

1.1 時代劇が好きだということ

最近、NHKで土曜日の夕方にやっている子連れ新兵衛をよく見ます。こういう時代劇とか、寅さんとか釣りバカ日誌とか、結構好きなんです。予定調和的(!?)というと語弊があるかもしれませんが、最後はこうなるだろうなと思いながら、見るのが好きなんでしょうね。結構いまはご存知の方が少なくなってきましたが、むかし刑事コロンボが好きだったのも、結末が分かっていても、どういう手順でそれを明らかにしていくかという過程を知るのが好きだったのではないでしょうか。

そうそう、時代劇の話でした。そう、時代劇を見ると、結構決まり文句が多いんです。例えば「あいつ、井の中の蛙じゃねえか」とか出てくるんですよね。そうすると、一応言葉を教えてお金をもらうという職業についているせいか、どうしてもその言葉が気になってきます。自分でいうのはアレですが、言葉には敏感なんです(笑)。

1.2 「井の中の蛙」とかことわざとか。

ところで、「井の中の蛙」ってどういう意味でしょうか。当然「井戸の中には、蛙がいることもある」という確率論の話ではないですよね。そうです、井の中の蛙、大海を知らず」の後半が省略されていると考えられます。

ところが、飲み会とかで「あれで終わりじゃないんだよ」とおっしゃる方がたまにいらっしゃいます。ええ、酔ってらっしゃいます。説教が突然始まるわけです。「お前、あのことわざみたいなやつの意味は、『視野が狭くちゃいけないよ、ちゃんと世界を見て視野を広げないといけないよ』という意味だと思っていただろ!?」なんて怒られるわけです。で、「なるほど、なるほど」とか適当にあわせながら聞くと、「あれはな、後に続きがあるんだ。井の中の蛙、大海を知らず。されど、空の深さを知る』って言うんだよ。深い言葉だろ!? 蛙は視野は広がってないかもしれない。だが、1つのところにしがみついて一所懸命ずっとやっていると専門性がついてくる。深いところまで分かる人物になる。それがいいんだ。もともとは、そう言う意味なんだ。そういうことまで分かって指導しないとな!」とおっしゃるわけです。なるほどなーと思いますよね。

よく考えると、ことわざってこういうのが多いですよね。「情けは人の為ならず」も、「人のためにはならない」と思っていませんでしたか。僕は思っていました。あれは「優しくするのは人の為ではない。自分の為だよ」という意味なんですよね。口伝って文字がない世界なので、結構こういう間違い、勘違いが多いんですよね。「アルプス1万尺」とかも子ヤギの上で踊ってしまったりして、あとで事実を知って「ええ!?」ってなりますよね。

1.3 「ええ!?」は大事

でもですね、実は、この「ええ!?」というのが大事なんです。最初思っていたことと違うことが分かって、「ええ!?」となる。で、大袈裟にいえば、この世界の見方が変わるわけです。私たちは、自分たちの「見方」を通して、この世界を見ていますが、この「見方」を「枠」、つまり「フレーム」と呼ぶ人もいます。絵画も枠を変えれば、絵画自体は変わっていないのに、違う絵のような印象をもったりしますよね。我々も思考の枠を変えると世界の見方が変わります。この世界の見方が変えるよう認知に変化をもたらすことを、枠を英語でフレーム(frame)というので、フレーミング(reframing)といいます。今日は、このリフレーミングの話をしますね。

2 リフレーミングの例

2.1 他の例

フレーミングって聞くと、難しそうに聞こえますが、そんなに難しい話ではありません。他の例を出してみましょうか。

鹿児島県内にコンビニがたくさんありますよね。実は、コンビニで最近気になることがいくつかありますよね。何か分かりますか。はい、桜島の近くのコンビニは看板が茶色いですね。そうですね、環境に合わせて、色をかえていますね。他には何かありますか。・・・そうです、ポールサインと呼ばれるそうですが、コンビニの道路脇の看板が低い位置についていますよね。気づかれてました? 大丈夫です。知ると急に意識するようになりますから。気になる方は、googleで「コンビニ、看板、低い」で画像検索してみてください。これ、なんで低いのが最近多いんですかね。一説には、低くすると建築法か何かで届出が少なくて済むからという意見もあります。また、鹿児島といえば、台風の影響が大きいですよね。なので、台風で折れるのを防ぐためという説もあります。さあ、みなさん。これまでコンビニの看板があまり気になることはなかったと思いますが、いま、こうやっていろいろと知ると急に意識し始めるんですよね。これがリフレーミングの力ですね。世界の認知が変わるのです。

2.2 ICTの"C"とは?

他にも、ICTってよくいいますよね。あれ何の略ですか。そう、Information and Communication Technologyですよね。実はCってコミュニケーションってご存知でしたか。Communicationがなければ、ITですよね。冗談だと思いますが、「ICT、Communicationなければ、単なる『もの』(=IT)」と言った方もいます。「ICTを活用した授業」と言われたりしますが、コミュニケーションがどう行われているかということにも意識する必要がありますね。そう考えると、またICTの活用も、単に機械を活用すれば良いということから、コミュニケーションがちゃんと起こるようにしなくてはと意識も出てきます。本来は、ここでのCommunicationとは通信という意味でしょうけど、そうとも考えられるんですよね。これもリフレーミングの1つだと思っています。

フレーミングについて、だんだんと分かってこられましたか?

3 カリキュラム・マネジメントとリフレーミング

3.1 カリマネのこと

さて、ここでカリキュラム・マネジメント、いわゆるカリマネとリフレーミングの関係について語ります。おそらくこうじゃないかなというレベルなのですが、ちょっと聞いてみてください。

学習指導要領が新しくなって、さまざまなterm(用語)が増えています。例えば、「カリキュラム・マネジメント」もそうですね。「主体的・対話的で、深い学び」もあります。「資質・能力ベース」という言葉もありますね。

さて、カリマネのマネは経営とか管理という意味ですが、カリマネって何をするんですかね。そうですね。カリキュラムは教育課程を意味するので、教育課程をどう管理していくか、経営していくかという話になると思います。でも、教育課程っていうと、教育課程表って各学校にあると思いますが、あれは何を表していますか? そうですよね。授業ですよね。どの教科や科目が何単位あるかを示しています。つまり、授業ですよね。

3.2 学校教育目標のこと

ここで、1つ質問ですが、学校でどんな子ども達を育てたいかということは何に示されていますか。そう、学校教育目標ですよね。学校教育目標で、「知徳体」とか「かしこく、やさしく、たくましく」などと示されたりしています。でも、あの学校教育目標と授業ってどうつながってます? 校長先生が、こんな子ども達を育成したいと学校教育目標を設定する。で、学校の大きな部分は授業です。目標つまりPlanを達成するためには、授業=Doで達成する必要がある。でも普段授業では、学校教育目標を意識していなかったりしますよね。

なので、最近、学校教育目標を基に「児童生徒が身につけたい資質・能力」を明確化する学校が増えています。例えば、山梨の吉田高校では吉田GPを設定しています(https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/VIEW21_kou_2017_06_jissenjirei_01.pdf)。なるほど、という感じですよね。でも、授業にどう落とし込めばいいのでしょうか?

3.3 新学習指導要領の資質・能力

ところで新学習指導要領で定められている資質・能力とはなんだったでしょうか。覚えていらっしゃいますか。そうですね。下の画像にあるように、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「そして学びに向かう力、人間性」の3つですよね。そして、全教科この3つを基に、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」で評価することになっていますね。この観点別学習状況の評価は今回の改定から、全教科共通になりました。でも、なぜ全教科共通にしたのでしょうか。(絵はこちら

3.4 2つの関係性

さて、ここまで見てきた、ご自分の学校の「児童生徒が身につけたい資質・能力」と、この「文科省が示した資質・能力」とはどんな関係になっているのでしょうか。それを考えたいですよね。

よく、この2つが結び付けられていない例がみられます。でも、学校の「児童生徒が身につけたい資質・能力」を「文科省が示した資質・能力」と紐つけると、実は学校の授業でどのような資質・能力を身につけさせるべきかはっきりしてくるんです。そしてまた、各教科では評価を必ず行っているので、「児童生徒が身につけたい資質・能力」が多くの子ども達の身に付いているかがCheckできるようになってるんですよね。こう考えると、しっかりと考えて計画すれば、Plan-Do-Check-Act(ion)のPDCAサイクルがちゃんと回るように考えられているのが分かります。また、各教科の指導計画をA3で1枚の進度一覧表にして、どの資質・能力をいつどのようにつけようとしているか確認していくと、各教科の連携が取れていくんですよね。

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上の図でいうと、学校教育目標から考えた資質・能力を(すいません、割と結構適当に作りました)ばらばらのままでなく、下のように、評価の観点で捉え直してみる。すると、授業で学校としては、どういう資質・能力を授業や行事で身につけたいのかはっきりするし、言語化すれば、先生方も共通認識をもって取り組みやすくなるんですよね。

で、そう振り返って考えてみると、自分の学校はどうかなあ、児童生徒を伸ばす目標である学校教育目標を授業でどのように伸ばそうと考えていて、その結果はどうだったか示されるシステムになっているかなあなどと考えるようになります。そうではないですか?

3.5 整理しましょう

整理します。

  • 学校教育目標をもとに、学校の「児童生徒が身につけたい資質・能力」を明確化する学校が増えている。
  • 全教科「観点別学習状況の評価」の観点が3つに整理された。
  • カリマネという言葉がキーワードになっている。

で、これは多分、バラバラのこととして先生方の心の中にあったと思うのです。しかし、実は自分たちが直接教えている児童生徒を考えて設定した学校教育目標をもとに、授業で伸ばすべき資質・能力を明確化し、児童生徒の評価というツールを通して自分たちの授業も同時に評価する。そして、よりよく児童生徒を育成できるようなシステムを作る。これがカリキュラム・マネジメントの1部分を表しているということをいま説明しましたが、どうですか。1つ1つのことがつながっていき、全体像が見えるという、リフレーミングがみなさんの心の中で起きはしないでしょうか。起こっていたら、この話は成功です。しかし、起きちゃったら実はちょっと大変です(笑)。リフレーミングが起きると、行動を変えないといけないと思ってしまうんですよね。

認知の力ってすごいんです。知るともう戻れないし、知ったことは自分の行動を変えていく。授業というのは、実はそういうものだと思います。昨日まで知らなかったことを学んで、子ども達の認知だけでなく、行動を変えていく。そういう営みだと思うんですよね。で、学校というのは、授業がそうなるように最適化したシステムをもっているべきだと僕は思います。

4 終わりに

だいぶ、長くなりました。僕のこのカリマネの捉え方は間違っているかもしれませんが、ずっと考えてきて、やっと腑に落ちた考えです。また、ご自分でも考えてみてください。

そうそう、言葉を扱う者の端くれとして、最初の「井の中の蛙」はどれが正しいのか、いま流行りのFACT CHECKを行いました。『井の中の蛙、大海を知らず。されど、空の深さを知る』の出典は何か調べてみたわけです。すると、ないんですよね。おそらく、荘子ではないかと言われていて、「秋水篇」に「井蛙不可以語於海者、拘於虚也」という言葉があるので、その箇所が「井の中の蛙」となったのではないかと。そして原文には、「空の深さを知る」は全然出てきません。だから、伝承されるうちにきっと頭のいい方が付け加えて、リフレーミングを起こさせようとされたのでしょうね。あら、そう考えてみると、この「井の中の蛙」は実は3回リフレーミングを起こさせていることが分かります。

  1. 井の中の蛙、大海を知らず」という言葉を知る。
  2. 井の中の蛙、大海を知らず。されど、空の深さを知る」であると説教を受け、ことわざの意味が変わる。
  3. 実は原典にはそのような言葉はなく、原典は「井戸の中の蛙と海のことを話すことができないのは、本当のことを知らないからだよ」ぐらいのことしか載っていないと知る。だまされたと思って飲みに行って誰かにこのことを話したくなる(そしてまた被害者が…(笑))

世の中は複雑ですね。リフレーミングは日々、様々な形で起こります。授業でもまた子ども達にこのリフレーミングの楽しさを味わせたいものですね。

(話したことは以上です)

ベネッセ「高1生の英語学習に関する調査 〈2015-2019継続調査〉」を読む

ベネッセ教育総合研究所が2015年から2019年の間、高校1年生に継続して行ったアンケート結果をまとめています。
berd.benesse.jp

結構面白い結果が出ています。ざっくり言うと、授業で英語を使う機会を増やすといいことが起きるかもしれないという感じでしょうか。

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アマゾンのAWSについて

amazonでもキーワード抽出ができることが判明。でも、これ凄すぎ。感情の起伏をプログラムが抽出可能です。高校生は、負けてないか。気になります。詳しくは記事を見ればいいですが、固有名詞を抽出したり、キーフレーズや感情の起伏を抽出できるようです。

aws.amazon.com

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Wあるいはauwawauについての一省察

alphabetについて結構いろいろと調べている。今日は文字wについて。なぜwはvが二つあるように見えるのに、double-uと呼ぶのか問題である。すぐ答えを知りたい人は英語史で著名な堀田氏のブログに書いてあるので、そちらを参考にしてほしい(クリック)。下はそれを学ぶためにえっちらおっちら調べながら書いたものなので、間違いがあっても笑って許してほしい。いや、許してください。すみません!(うん、先に謝った!)。

はじめに

まずはMatt Baker(UsefulCharts.com)氏のalphabetの歴史をみて振り返りたい。この画像はありがたいことに、Creative Commons BY-SA-NCとライセンスされており、ダウンロードしてPCやzoomなどの壁紙として使用可能である。
https://cdn.shopify.com/s/files/1/1835/6621/files/alphabet-color_09ce9b05-8fc6-475b-af04-a34e5b3314a4.png

諸説あるだろうが、上の図では、F/Y/U/V/Mが同じ文字(セム語のwaw)から分化しているのがわかる。wawについては、wikipediaを参考。また、Vが現在のU, V, Wのすべてを担っていたというのもみて取れる。

同じように、英語版wikipediaのWの項目をみると、次のようなhistoryが載っている。

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英語版wikipedia "W"の項目より(https://en.wikipedia.org/wiki/W

やはり、vから分化しているのが分かる(この鳥さんの絵、味がある)。

くわしくみる。

wの音はラテン語などではvで表されていたが、vは有声両唇摩擦音(日本語だったらバ行ですよね)を表すようになった。そのため、walkなどのw音を表すために他の文字が必要になり、7、8世紀ごろに、似た発音の文字を重ねることで表す表現法が生まれた。それが[vv]もしくは[uu]である(その頃はまだv/uは異なる文字と認識されていなかった。この2つの文字の区別には、まだあと1000年ほどの時を待たねばならない)。同時期(といっても4世紀だが)のGothicではwの音を表すのにイプシロンが使われていたらしい(上の図の6番目だ)。小文字をみると、現在のvの筆記体と同じように見える。

で、uを重ねた[uu]だが、2つの文字を使って1つの音を表すのにはやはり抵抗があったのか、イギリスでは現在のpに似た文字のwynnを使用するようになる。Beowulf - Wikipediaをみると最初の単語では、wの音をƿ(wynn)で表されている。例えばwhatは ƿæt と表記されている。

では[uu]は消えたのか? 堀田氏によれば、[uu]はフランス北部のノルマン人に広がっていたという。ノルマン人はwageなどwで始まるゲルマン系の語彙を有していて、やはりwの音を表す語が必要だったのではないだろうか。the root of the name England ("land of Ængle")とwikipediaにも記されているが、Angles人はもともとは現在のデンマークのすぐ下にいた人々であり、体格が良すぎて馬に乗れずに徒歩王と呼ばれたロロが、おそらくデンマーク人かノルウェー人であったことからも推し量られるように、ノルマン人はイギリスにいた人々と言葉や文化をある程度共有していたと想像される。言語についてもまた然りである。

そして1066年のノルマン・コンクエストにより、ノルマン人がイギリスを支配するようになり、wの文字が戻ってきたと先の堀田氏はしている。ノルマン・コンクエストは英語に大きな影響を与えたが(実際、英語はクレオールなのか問題なども出てきている)、文字にも影響を与えていたのである。13世紀には文字wynn(ƿ)は廃れてしまった。wynnの悲劇である。

double-uかdouble-vか。

で、さらに、roundhandなどを確認するに筆記体では、wはvの文字2つではなく、下がカーブで書かれているので、uの文字2つに見える。roundhandの図を良くみると、小文字のwはやはりuが二つ重なっているように見える(whichのwなど)。もともとu/vの区別がつくようになったのは17世紀以降であることから鑑みるに、「double-uでもdouble-vでもどーでも良かった説」もあながち捨てきれない。そして、「いやこれ2文字でしょ!いや1文字でしょ!」問題もきっと真面目な人には深刻だったに違いない。そう思っていたら、英語版wikipediaのwの項目に以下のことが載っていた。16世紀に書かれたものである。

かわいそうな「w」は、悪名高く無名であり、名前も形も多くの人がほとんど知らないほどだ。ラテン語ではwを必要としないのでラテン語派を志す人たちも、ドイツ人も、学校の先生でさえもwの使い方や呼び方を知らない。この文字を「we」と呼ぶ人もいれば、「uu」と呼ぶ人もおり、スワビア人は「auwawau」と呼んでいる。(https://en.wikipedia.org/wiki/Wから訳して引用)

auwawauってなんだよ!?という感じだが、ドイツ語では、wはvを表す。だからVolkswagenは[ˈfɔlksˌvaːɡn̩]と発音される。vがfになり、wがvになっている。文字というのは面白いものだ。とまれ、まだ16世紀では呼び方は定まっていなかったことが推察される。

1755年のJohnsonの辞書ではwの項目で、「学習するアルファベットには見られない文字」と書かれているので、まだ不安定な感じがする。18世紀でも、学校では正式なアルファベットとして認められていなかったようだが、辞書には項目として掲載されていたことが分かる。

1828年のNoah Websterの辞書では、23番目の文字と明確に示されている。「文字の形と名前は2つのVが結合してできたもので、これは我々がUと呼ぶローマ字の大文字の形をしている」とされている(これ訳したはいいけど、ちょっと意味がわかりかねる。どういう意味だろう?)。

堀田氏のブログの「古英語アルファベットは27文字」をみると、OEにuはあるが、vはない。やはりdouble-uと呼ばれるのは、上と合わせて、VとUの区別が曖昧であったこととUのVに対する優位性があったせいではないかと思われる。

結論

果てしなく長くなっているが(見た感じ分からないと思うが、一個一個確認しているので、すごい時間がかかっている)、wは昔一度生まれたが、他の文字にとって変わられ、そしてまたその文字を退けて、復活した。現在のフォントではvを重ねてあるように見えるものの、double-uと呼ばれている。なお、2つのuを重ねると呼んでいるのは英語だけで、他の言語では2つのvと呼ばれている。それには、u/vの区別が割と最近までなかったことや、その書き方の多様性が影響していると思われる。このwの文字が定着するまでに、多くの人が様々な人生を営みながら現在につなげてきたに違いないが、そう思うと、感慨深いものがある。文字に対する興味は尽きない。また調べていきたい。

オンライン授業に関するリンク

オンライン授業に役立つリンクをまとめました。

オンライン授業について関するリンク

まとめサイト的なもの

オンライン授業については、以下のサイトが参考になります。
(1)学校のオンライン化を進めるための7つのステップ|Manabie(マナビー)公式|note

学校全体で取り組むときの問題や、FAQ(よく聞かれる質問)など詳しいです。参考になります。

(2)オンライン授業をやってみる - Google ドキュメント

大学の授業ですが、実際の指導案も載っていて参考になります。

(3)授業をオンライン化するための10のポイント | オンライン授業実践ガイド | 私たちの取り組み | 大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部

自分の最初のエントリにも共通するものがあります。

(4)How To Teach Online - Free course on FutureLearn

オンラインで教えるための、集中講義です。無料です。

(5)オンラインzoom研修を成功させるための17の視点〜2日間の研修をzoomでやり切って見えてきたこと〜|しむしむさん(志村智彦/zoom研修プロデューサー)|note

授業ではなく、研修についてのサイトですが、講義やグループ討議などがそれぞれどのような価値をもっているのか、また、自分と聞き手の環境のチェックリストなど、参考になります。

実際にやった人のもの

(1)授業動画に使うスライドを作っていて気づいたこと|たなか じゅうごう|note

田中先生のnoteです。丁寧にされています!

ツール関係

(1)Zoomだけじゃない。無料で使えるビデオ会議アプリ徹底比較……Teams、LINEのメリット・デメリットとは | Business Insider Japan

無料で使用できるオンライン授業アプリの比較記事。役立ちますね。zoomで40分やって、あと宿題ね(または復習ねー)でも良さそうです。

(2)Zoomパーフェクトマニュアル | オンライン化であなたのビジネスを革新する / ZOOMアカデミージャパン

zoomの使い方

(3)つかい方ガイド : LINE OpenChat 公式ブログ

LineのOpen Chatの使いかた

評価関係

(1)授業タイプ別「共通ルーブリック」(学内スタンダード)

講義型・演習型・課題研究型など、授業タイプ別にルーブリックが公開されています。まず、これを自分の授業・単元にあわせて生徒にわかりやすく作り、どこまでできればいいのか示してから授業を行うと、生徒にも何をすればいいのか分かるので、いいと思います。

オンライン授業のやり方

オンライン授業についてどんなことを考えて、どんなアプリを使ってできるのか、考えたことを書きます。なお、このサイトで書いていることは、あくまでも個人的に使えそうだなと思っていることをまとめている個人のサイトに過ぎないのでご注意下さい。また、オンライン授業については、毎日情報がアップされて便利なことも紹介されますので、適宜updateする予定です(4/21追加記述あり)。なお、このエントリは前エントリのスピンアウトですので、前エントリもあわせてお読みください(ここをクリック)。

始める前に

準備

まずは準備が大切です。まず、オンライン授業では、必ずバックワードデザイン(後向き設計)が必要になります。そう、前向きでも後向き設計です!(このギャグ、いらん)。

目標と評価基準を作ろう

オンライン授業では、まず授業の目標を普段の授業よりもはっきりとさせる必要があります。生徒は目の前にいないし、時間も50分とは限らないので、その授業を通じて、学習者が何を身に付けるのかをはっきりさせます。具体的には、「知識・技能」よりも「思考・判断・表現」を中心に書くと良さそうです(思考・判断・表現をゴールにすると、それを達成するのに必要な「知識・理解」を学習者は自然と何度も使います)。このあたりを詳しく知りたい方は、「インストラクショナル・デザイン」(ID)と「責任の移行モデル」を検索されてください(一番下に参考図書を加えています)。

目標例(英語の授業の場合)
  • G1: L5 part1の別表の語句リストについて理解し、記憶している。
  • G2: L5 part1の本文に関する次の事実質問(5W1Hなどの質問)に答えることができる。
  • G3: L5 part1の本文に関する次の推論質問(ある程度行間を読む質問)に答えることができる。
  • G4: L5 part1の本文について、次の4コマの絵を見ながら説明できる。
ルーブリック例(上の授業の目標3(G2)の場合)
  • a: ほぼ全ての質問に適切に答えることができる。
  • b: 8割の質問に適切に答えることができる。
  • c: 8割未満しか答えることができない。
授業の手順(procedure)を決める。

以上のような感じで、目標と評価基準を決めます。このように目標等を先に決めると、学習者に何を学ばせたいか、どのように学ばせるか、どう評価するかということが決まってきます。特にオンライン授業では、どのように学ばせたいか(=説明やモデルを聞く部分か、協働学習か、個別学習か)をここで設計できるので、先に目標を決めることがとても大切になってきます。また、今年度中に何度か休校になったとしても(ならない方がいいですが)、何が生徒ができたら学んだと言えるかと説明できるようになるので、とても大切だと考えています。特に休校中でも、単位を出す必要がある場合は、この点が非常に重要になります。

なお、他のエントリで書いたように、ひとつひとつの授業については、ガニエの9つの教授事象を思い出す必要があります。

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9教授事象を自身の学びに活かす(稲垣忠編著「教育の方法と技術 主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナル・デザイン」2019 p.36)

以上のように考えて、授業の流れをを決めた場合、下のような順番で授業が設計されます。

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授業の流れ

授業について

流れをまず示す。

まず授業については、Word等で「L5 P1授業の手引き」などと範囲とその書類の内容を書いた名前にして作ります(日付で書いても、生徒は別の日に見るかもしれません)。内容は、「はじめに」「授業の目標」「授業の流れ」「確認してみよう」程度でしょうか。具体的には、「授業の目標」のところに上の目標を書き、「授業の流れ」のところに(1)PPTを見る→(Youtubeの限定公開リンクURL)+QRコード・・・などと続けて書きます(QRコードをつけておくと、プリンタで印刷すればすぐリンクに飛ぶことができるので学習者に便利です)。この作成した授業の手引きをホームページに載せるか、メール等で配信します。つまり、以下のようなプリントをオンラインで配布しておけば、いつ生徒が勉強を始めても手順がわかります。

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授業の手引きのイメージ

QRコードの作り方についてはここをクリック(Trendmicro(クリック)で安全性を確認したサイトです。以下示したサイトもほぼこのトレンドマイクロのサイトで安全性を確認しています)。

モチベーションをあげよう!

ここまで準備しても、学習者にはなぜ学ぶのか分かりません。そういうときは、KWLチャートか、SQ3Rを使うのがいいと思います。知っていることと、学びたいことを結びつけることができますし、自分で何を学びたいか考えることができます。
SQ3R - Wikipedia

それぞれの授業タイプについて

以下に示す授業のそれぞれの場面はWordpressなどの1つのプログラムでも割とできますが、もともとある複数のアプリ・プログラムの様々な機能を組み合わせてする方法で今回は説明します(その方がweb上にもやり方がいっぱい載っていて便利なので)。

【講義型授業】PPT(=パワーポイント)を使う

講義型の授業はパワーポイントで説明できます。例えば、授業の目標だったり、何かの説明の時にはPPTのスライドを見せながら説明すれば良いと思います。PPTには声を録音できる機能がついています(自分の映像も載せることができます)。スライドごとに説明ができるので、わかりやすいです。詳しくは下のリンクに載っています。作ったファイルはyoutubeに限定公開でアップロードするか、Vimeoでパスワードをつけて公開するかします(アップロードする際に、管理職等に許可をとる、著作権に気をつけるなど、配慮すべきことがあるので注意されてください)。

なお、PPTで録音したファイルを作ってみたのですが、2分で10MBほどでした。10分で50MBほどなので、zoomで軽くする方法を考えるか探してみたいです。
(4/21注記) Screen-o-maticを使えば、10分で20MBほどとHiroyuki Maeda先生に教えてもらいました(ありがとうございます!)。フリップスクールというところが、Screen-o-maticを使う方法を説明してくれています(Youtubeです。Youtubeなので、安全性確認はしていません)。その1(クリック)その2(クリック)

【講義型授業】PDFと音声を使う

上記で作ったPPTをPDFに変換して、アプリ等を使って講義の音声をmp3で作成し、両方公開する方法(簡単に言えば、メールに添付するかDropbox等を使って公開する。ただしセキュリティ(誰にでも公開となったり)などには気をつけて)もあります。この場合は、「はい、PDFの2ページをみてね」など、どのスライドを説明しているかわかりやすくいう必要があるとおもっています。なお、上記で書いたMP3というのは、音声等のファイルを軽くする時に使うファイル形式です。参考:Wordで文書を作成して、PDFにするときにパスワードで保護する方法

【講義型授業】PDFのみにする

すべてをプリントに書いて配布する方法もあります。パスワード付きで配信すればすぐできます。ただし、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」で様々な問題が指摘されていますので、ご注意ください。

【講義型授業/ディスカッション型授業】zoomを使って録画する

zoomの無料アカウントでも40分は使えます。zoomの使い方は下記に詳しいです(ホワイトボードの使い方なども)。録画機能がついていますので、講義型で自分の説明を録画するときは、PCでホストして、スマホ等で入室して説明を行い、録画したものを公開すればいいと思ってますが、まだ試していません。ホワイトボードを使って、難しい英文の構造を説明するときも、このやり方が使えるよなーとか思っています。いろいろと試したらまた報告します。なお、ディスカッションで使用する場合、zoomで40人いっぺんにつながると大変なので、10〜15人で時間を区切ってやる方法がいいかも、と思っています。

zoom-kaigi.com
※安全性確認済みサイト

【小テスト・アンケートを作る】Google formを使う。

Google formで自動採点ができる小テストを作ることができます。また、授業の事後アンケート(どの場面が一番難しかったですか等)もGoogle Formで作るのが一番簡単だと感じました。下のサイトは、いくつかサイトをみて、一番わかりやすいと感じたサイトです(トレンドマイクロでは安全性を確認できなかったので、他のサービスで安全性を確認しています)。Google Formでは、記述問題は一致しないと正解としませんが、センター試験や共通テストにあるように、選択問題だけれども、思考・判断・表現を測る問題も作成可能です。

www.fy1203.com

【提出】Google Formで学習者が作ったファイル(word, pdf, ppt等)を提出させる

Google Formでは、生徒が自分が使ったファイルを提出させることができます。ただし、生徒はGmailアカウントなどを作成し、Googleアカウントを作る必要がありますので、事前にやり方を説明し、gmailをとらせて自分にメールさせるなど、準備をしておく必要があります(ま、メールアドレスをとったら、メールで提出すればいいんですけど)。下記のサイトがわかりやすかったです(安全性確認済み)

www.ec-create.jp

最後に

最初の目標ですが、例では、目標1(G1)や目標2(G2)などは答えが決まってくるので、割と簡単に答えを生徒が共有します。なので、発想を変えて、例えばG2を「本文から答えが導くことができる質問を8つ英語で作りなさい。ただし、自分で答えもあわせて作ること」とすると答えを共有するとバレバレになるので学習者も自分でやらないといけないなーと考えるようになります。ただ、難しくてできないという学習者が出てくると思うので、先生のモデルをいくつか示す必要があります(PPTなどで考え方を説明して)。また、生徒一人一人の答えが違う場合は、評価の時間もそれなりにかかるということです。この辺りをどう解決するかまた考える必要があると思っています。

今回はこんなところです。さりゅ。